自分で食べるだけ…レジャー感覚でシジミ、ワカメ、ウニを取ったら「密漁」 罰金&逮捕の可能性も
オトナンサー / 2024年7月15日 7時10分
7月15日は「海の日」です。これから本格的な夏を迎え、海水浴や釣りなど海へ出掛ける人も多くいるでしょう。海水浴場で楽しんでいると、魚や貝、タコ、ナマコなどに遭遇することもあると思います。時折、海藻類やアサリなどを目にすることもあります。近年、悪質な密漁も問題になっており、個人的に食べることを目的にしていても、捕ったり、持ち帰ったりすると「密漁」になることがあります。そこで、芝綜合法律事務所の弁護士・牧野和夫さんに解説してもらいました。
■ワカメ、アサリは100万円以下の罰金 アワビ、ナマコは3000万円以下
日本のほとんどの沿岸部には、一定の水面において特定の漁業を一定の期間排他的に営む権利で、他者の侵害に対して差し止め請求ができる「漁業権」というものが設定されています。一般の人が漁業権の対象となっている水産動植物を捕ることはできません。また、漁業権には、大きく分けて、大型定置などの「定置漁業権」、真珠養殖や藻類養殖、魚類小割式養殖といった「区画漁業権」、採貝採藻といった「共同漁業権」の3種類があります。以下で詳細を説明します。
(1)定置漁業権(存続期間:5年)
大型定置(身網の設置水深が原則27メートル以上の定置)等を営む権利。
※小型定置は、共同漁業権等に位置付け。
(2)区画漁業権(存続期間:5年又は10年)
一定の区域において養殖業を営む権利。
ひび建て養殖(ノリ)、築堤式養殖(くるまえび)、藻類養殖(昆布、ワカメ)、垂下式養殖(カキ、ホタテ貝)、小割り式養殖(クロマグロ、ブリ、マダイ)
※このほか、第三種区画漁業たる貝類養殖業
(3)共同漁業権(存続期間:10年)
採貝採藻など、漁場を地元漁民が共同で利用して漁業を営む権利(海岸線に沿った沿岸域のほとんどに設定)
密漁になる生物には、アワビ、アサリ、シジミ、ハマグリ、サザエ、ナマコ、シラスウナギ、伊勢エビ、ウニなども含まれます。
貝類、海藻類、伊勢エビやタコといった水産資源として有用で定着性の水産動物は「第一種共同漁業権」の対象になっています。共同漁業権が設定された沿岸域沿岸域には、禁止行為やルールについての注意が書かれた看板が立てられていたりします。
このような場所で、一般の人が漁業権の対象になっている水産動植物を無断で取ると、漁業権の侵害および密漁になり、漁業法第195条1項の規定に従って、100万円以下の罰金が科されます。
中でも、2018年に、アワビ、ナマコ、シラスウナギ(ウナギの稚魚)が特定水産動植物として指定されたことにより、これらの密漁に対しては「3年以下の懲役又は3000円以下の罰金」という厳しい罰則が設けられました。
■潮干狩り、浜辺に打ち上げられたワカメも罰金?
磯遊びや海水浴をしていると、貝や小魚を発見することがあります。「海水浴場にたまたま迷い込んだ貝や小魚を採った場合は、漁業法第195条1項の『組合員の漁業権や行使権を侵害』は、故意が必要(過失は処罰されない)ですので、禁止行為に当たらない場合が多い」ということです。また、海岸に打ち上がった貝やウニなどの場合でも、たまたま迷い込んだ貝やウニを採った場合は、故意がない場合が多いので、「組合員の漁業を営む権利を侵害」する行為に当たらない場合が多いということです。
潮干狩りで、アサリやシジミを採ることもあります。この場合はどうなるのか、気になるところ。牧野さんは「アサリやシジミなどは第一種共同漁業権の対象になっていますので、漁業法第195条1項の罰則(100万円以下の罰金)が適用される可能性がありますので注意が必要です。ただし有料の潮干狩り場で潮干狩りをする場合は問題ないでしょう」といいます。
また、堤防や海岸で釣りをする場合の法的問題や注意点として「海で釣りをすることは基本的には問題ありませんが、立ち入り禁止区域で釣りをした場合は漁業法など法規制に違反する可能性がありますので、注意してください。川で釣りをする場合は、基本的に『游漁券』が必要となり、禁漁期間や禁漁区域などが決められているので注意が必要」ということです。
出来心でついやってしまったことが、思わず、夏のつらい思い出にならないよう気を付けましょうね。
オトナンサー編集部
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