「褒め過ぎる親」と「全く褒めない親」…教育上“よくない”のはどっち? 子育てアドバイザーに見解を聞いた結果
オトナンサー / 2024年8月4日 9時10分
あなたは「褒め過ぎる親」と「全く褒めない親」、どちらの方針の親が“教育上よくない”と思いますか。昨今、子どもの自己肯定感を育むことの重要性から「褒める」子育てを推奨する声が高まっていますが、中には「褒め過ぎるのもどうなの?」「褒められ過ぎて育つのもよくなさそう」といった声も聞かれます。一方で「全く褒めない」ことに対しても「悪影響が多そう」「褒め過ぎるよりはいい気がする」など賛否が分かれているようです。
「褒め過ぎる親」と「全く褒めない親」、どちらの親の方が“教育上よくない”のでしょうか。子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんに見解を聞きました。
■「褒め過ぎ」には2つある
Q.まず、「褒め過ぎる親」についてどう思われますか。
佐藤さん「褒め過ぎの“過ぎ”が何を指すのかによると思います。大きく分けると、回数をたくさん褒める“褒め過ぎ”と、言葉で持ち上げ過ぎる“褒め過ぎ”の2つがありますが、前者は子どもの様子をよく観察していることの現れですし、おそらくは小さな成長に気付いているからこそ褒めが増えていると思うので、むしろ望ましい形といえます。
一方、後者は時に注意も必要です。自信をつけさせたいからと大きく褒めたくなるのですが、あまりに大げさだったり、できていること以上に褒め過ぎたりしてしまうと、過信させてしまうこともあると思います。特に、『地頭がいい』『もともと天才だ』というように、持って生まれたその子の能力を褒め過ぎてしまうと、『ならばやらなくても自分はできる』というような思いになっても不思議はありません。
自分の能力を適切に信じることはとても大事ですが、過信してしまうとまた諸々悩むことになりかねないので、『地道に努力してもらいたい』と思っている親であればなおさら、この部分の持ち上げは過剰にならないよう気を付けた方がいいかと思います」
Q.次に、「全く褒めない親」についてどう思われますか。
佐藤さん「人間には承認欲求というものがあり、他者から認めてもらいたいと思うのはごく自然な欲求です。全く褒めないというのは、そこを満たせないことになるので、どこかで影響が出てきかねません。子ども時代であれば、親の注意を引きたい気持ちが過剰に出たり、自信が持てなかったり……などです。
そして、私の相談室でとてもよく聞くのが、大人になってからの問題です。自ら、『自己肯定感が低い』と悩む人の多くが、『幼少期に親に褒めてもらえなかった』とおっしゃいます」
■教育上“推奨できない”のはどっち?
Q.「褒め過ぎる親」と「全く褒めない親」は、どちらが教育上“よくない・推奨できない”でしょうか。
佐藤さん「先述したように、『褒め過ぎ』も時には問題になり得ますが、『全く褒めない』方が諸々の問題につながりやすいと考えます。なぜなら、褒めるというのは、日常のコミュニケーションの一つとして、大事な役割を果たしているからです。
私たちが褒めるときというのは、表情がやわらかくなるものです。多くの場合、笑顔で、トーンの高い声で声がけしています。これは、人間同士のコミュニケーションで“快”として捉えられるものですから、それが存在しない親子のコミュニケーションは問題が生まれやすくなるのです」
Q.子を褒めること、褒めないことについて迷うことのある親も少なからずいるようです。
佐藤さん「『叱ること』と比べると、『褒めること』の方が、悩みとして感じることは少ないと思いますが、実際に深堀りすると奥が深く、“どのように褒めるか”がカギを握っているのが分かります。今回は『褒め過ぎ』と『全く褒めない』という大局的なアプローチがテーマでしたが、褒めるか褒めないかだけがポイントではなく、褒め方の“質”も大事ということです。
また、褒めることに抵抗を感じている人の中に、『褒められないとやらない子になるのでは?』と感じている人がいます。確かに、大人になってからは『褒めて褒めて!』という環境ではないことも多いので、自分で動機付けできるセルフモチベーションの力が大事になります。ただ、小さいうちからそれができるかというとそうではないので、まずは、周囲に褒めたりねぎらったりしてもらってエネルギーを受けつつ、前向きに物事に取り組む姿勢を習慣化できると望ましいと思います」
オトナンサー編集部
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