“暑さ”で食欲不振、便秘…疲れた体を回復させるには? お勧めの対処法“4選” 専門家が解説
オトナンサー / 2024年9月25日 9時10分
9月以降も気温が高い日が続いたため、食欲不振や倦怠(けんたい)感など、体の不調を感じる人も多いのではないでしょうか。暑さにより、体にどのような影響が及ぶのでしょうか。暑さで疲れた体を回復させるには、どのような取り組みが有効なのでしょうか。
対処法について、パーソナルトレーニング事業を行うReblood(リブラッド、福岡市中央区)代表で、パーソナルトレーナーの野田博之さんに聞きました。
■栄養バランスの取れた食事と良質な休息が重要
Q.暑い日が続いた場合、体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。
野田さん「暑さが続くと、私たちの体にはいろいろな影響が出てきます。特に、次のような症状が現れやすいので、注意が必要です」
(1)脱水症状
暑さで汗をかくと、体の中の水分とミネラルがどんどん失われてしまいます。米国国立衛生研究所(NIH)の報告によると、脱水症状は、軽度、中度、重度の順に段階的に進行する可能性があり、次のような症状が現れます。
【軽度】
倦怠感や頭痛、めまいを感じることがあります。この段階でしっかりと水分補給をすれば、症状の悪化を防ぐことができます。
【中度】
軽度の状態が進むと、口の渇きや頻脈、血圧の低下が見られます。集中力も低下することがあるので、この時点で塩分やミネラルを含む飲料を取るのが効果的です。
【重度】
中度の状態が悪化すると、意識障害や錯乱状態という症状が出ます。最悪の場合、昏睡に陥ることもあるため、緊急の医療処置が必要です。
(2)自律神経の乱れ
暑さが続くと、体は体温を調整しようとフルに働くため、自律神経の働きが乱れるようになります。その結果、次のような症状が現れます。
【睡眠の質が低下】
暑さで夜もなかなかリラックスできず、眠りが浅くなってしまいます。寝汗や不快感で夜中に何度も目が覚めることもあります。
【胃腸の不調】
自律神経のバランスが崩れると、胃腸の働きも低下するため、消化不良や腹部の張り、下痢、便秘などの症状が起こりやすくなります。特に、暑い日が続くと食欲がなくなることもあります。
【慢性的な疲労感】
日中、交感神経が過剰に働いてしまい、体がずっと緊張している状態が続きます。そのため、夜に休んでも疲れが取れず、翌朝になっても体が重く感じることがあります。
【めまいや頭痛】
自律神経の乱れで血圧や血流が不安定になり、めまいや頭痛の症状が出ることがあります。
(3)胃腸の機能低下
暑さが続くと、体はエネルギーを節約しようと消化器官への血流を減らし、胃腸の働きを抑えてしまいます。これにより、消化機能が低下し、食欲不振や消化不良が起こりやすくなります。
■暑さで疲れた体を回復させるには?
Q.では、暑さで疲れた体を回復させるには、どうすればよいのでしょうか。
野田さん「暑さで疲れた体を回復させるために、次の4つの取り組みを実践するのがお勧めです。いずれも家庭で手軽にできるので、ぜひ試してみてくださいね」
(1)水分と塩分を十分に摂取する
暑さによる汗で失われた水分や塩分をしっかり補給することが大切です。1日当たり1.5~2リットルの水分を摂取しましょう。その際、一度に大量に飲むのではなく、小まめに飲むのがポイントです。特に大量に汗をかいた後は、スポーツドリンクや経口補水液で水分と塩分を同時に取るとよいでしょう。
また、食事のときに塩分を適度に補給するには、例えば、朝食の際に梅干しや塩昆布、野菜ジュースなどを取り入れるのがお勧めです。外出時はスポーツドリンクや経口補水液を携帯するとよいですね。
(2)バランスの取れた食事で疲労を回復
暑さで体がバテ気味のときは、消化に良い食材で体に必要な栄養素を補給しましょう。特にビタミンB群やタンパク質、ビタミンCをしっかり摂取するのがポイントです。
【ビタミンB群】
豚肉や鶏レバー、納豆、卵は疲労回復に欠かせません。エネルギー代謝をサポートしてくれます。
【タンパク質】
白身魚や鶏の胸肉、大豆製品などを中心に、タンパク質を含む食べ物を毎食時にバランス良く取り入れると、体力が回復しやすいです。
【ビタミンC】
ビタミンCには、疲労や老化を引き起こす活性酸素を抑える効果や免疫力を高める効果がある一方、ストレスにさらされると大量に消費されるといわれています。そこで、ビタミンCが豊富なブロッコリーやかんきつ類などを摂取し、夏の疲れをしっかり癒やしましょう。
朝食にフルーツ入りのヨーグルトを取り入れたり、夕食に鶏の胸肉を使ったサラダを食べたりすると、バランスの取れた食事が無理なく実践できます。
(3)質の良い休息と体温調整でリラックス
暑さで乱れた自律神経を整えるには、良質な休息を取り、体をリラックスさせることが大切です。就寝前に38~40度のぬるま湯に10~15分つかり、リラックスしましょう。寝室の温度を25度前後に保つと快適に眠れます。
また、寝る前に10~15分程度の軽いウオーキングやストレッチを行うと、血流が促進されて疲労回復が早まります。ヨガマットを使ってストレッチをしたり、ウオーキングで体をほぐしてあげたりすると、心身ともにリフレッシュできるのでお勧めです。ぜひ日課にしてみてはいかがでしょうか。
(4)「朝晩のルーティン」で自律神経を整える
自律神経の乱れは、朝晩の習慣を整えることでリセットできます。
【朝に日光を浴びる】
カーテンを開け、日光を浴びて体内時計をリセットしましょう。起床後、10~15分のウオーキングやストレッチでさらに効果が上がります。
【夜はリラックス】
先述のように、就寝前にぬるま湯につかり、体を温めてリラックスしましょう。また、就寝前はスマホやパソコンの使用を控え、リラックスした状態で眠りましょう。
これらの対策を今から少しずつ取り入れることで、夏の疲れを引きずらずに元気に過ごすことができるようになります。少しずつ無理なく始めて、疲れに負けない体をつくりましょう。
(参考文献)
・自律神経と気温変化(日本自律神経研究会)
・Journal of Gastroenterology:Impact of Heat on Gastrointestinal Function
オトナンサー編集部
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