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心が疲れたときに「菓子パン」はダメ? 精神科医が教える「メンタル不調時」に食べない方がよいもの

オトナンサー / 2024年10月22日 20時10分

心が疲れているとき、何を食べる?

 気分が大きく落ち込んでいる、強いストレスを感じる、「心が疲れた」感覚がある……このように、メンタルに何らかの不調を感じたとき、あなたなら何を食べますか。中には「何も食べたくない」と感じる人もいるかもしれませんが、ネット上では「菓子パンはやめとけ」「温かいものを食べて」といった意見も見受けられます。

「心が疲れた」感覚に陥ったとき、医学的に「食べるとよいもの」、逆に「食べるのを控えた方がよいもの」はあるのでしょうか。精神科専門医の田中伸一郎さんに教えていただきました。

■疲れたときこそ「普段通りに食べる」

Q.そもそも、心の状態(メンタル)と「食べる行為」には、どのような関わりがあるのですか。

田中さん「一般に、ストレスがたまってくると、食欲が落ちる、あるいは逆に食欲が高まることが知られています。これを医学的に解説すると、次のような状態となります。

(1)ストレス反応によって交感神経系が興奮し、胃の働きが弱まるために食欲が低下する

(2)その反動で副交感神経系が興奮して(あるいは、副交感神経系を興奮させようとして、いわゆる「ストレス発散」の形で)食欲が高まり、時に暴飲暴食に走ってしまう

つまり、心の状態(メンタル)と『食べる行為』は密接に関係しているといえるでしょう」

Q.医学的に、心が疲れた状態のときに「食べるとよいもの」、逆に「食べない方がよいもの」はありますか。

田中さん「まず、『普段どのようなものを食べているか』ということが重要です。心も体も元気なときには、いつもなら食べないようなものをあえて食べてみて、それが新たな刺激になって回復力が引き出される、という好循環が起こることがあるかもしれません。

しかしながら、心が疲れたときには、刺激的な食べ物を求めるのはおすすめできません。なぜなら、心の疲れと体の疲れはリンクしているので、刺激物を食べることで胃腸の負担を増やし、かえって心の疲れが増す、という悪循環を起こすリスクがあるからです。

心がとても疲れているときには、体も疲れていますから、『いつもは食べないようなものを食べる』のはやめておいた方がいいと思います。

辛すぎるもの、脂っこいもの、消化が悪いものを食べ過ぎるのはよくありませんし、よく言われるように、スナック菓子や、菓子パンといった甘過ぎるものを食べ過ぎるのもよくありません。やはり、『普段から食べ慣れているものをほどほどに食べる』のが、疲れているときの食べ方の基本となります。

疲れを感じるときには、何をやるにしてもルーティンに戻ってみるのがよいでしょう」

Q.その他、心の疲れを自覚しているときの食事について、意識するとよいこととは。

田中さん「メンタル不調時の食事については個人差があります。『いや、自分は◯◯を食べることでストレス発散になっているから、周囲の人たちからとかく言われたくない』という人もいらっしゃるかもしれません。また、メンタルと食事に関して『誰にとっても絶対ダメ』というものはないので、『疲れたときこそ、普段通りに食べる』くらいでよいことを知っておきましょう。

もちろん腹八分目が基本です。心が疲れ、体も疲れているときは、ゆっくり時間をかけ、よくかんで食べましょう。煮物やスープがあるとよいですし、洋食よりも和食、肉よりも魚がよいでしょう。栄養バランスが取れた食事をするのがよいと思います。

ただし、繰り返しになりますが、個人差があるものですし、普段と違わないことが大事なので、この記事を読んだからといって、細かいところにこだわってほしくはありません。好きなものをおいしく食べる(できれば、誰かと一緒に楽しく食べる)ことを意識するようにするくらいでよいのではないでしょうか」

オトナンサー編集部

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