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便秘解消に役立つ「下剤」 誤った使い方で貧血&心不全に? 知らないと危険な5つの注意点【薬剤師解説】

オトナンサー / 2024年12月1日 20時10分

下剤は正しく服用すること(画像はイメージ)

 便秘の際によく使われる薬の一つに下剤(便秘薬)があります。便秘解消に効果がある一方、製品によっては効果が強いものもあるため、誤った方法で服用すると副作用を引き起こす恐れがあるといわれています。下剤の主な効果や使用時の注意点などについて、薬剤師の真部眞澄さんに教えていただきました。

■下剤は「刺激性」「非刺激性」の2種類

Q.そもそも、下剤とはどのような薬なのでしょうか。また、どのようなときに服用するのが望ましいのでしょうか。

真部さん「下剤とは、腸内の動きを促したり、便を軟らかくして排便を促したりする効果を持つ薬のことを指します。下剤には大きく分けて2種類あるんです。1つは腸のぜん動運動を刺激して、便を肛門へ送り出す『刺激性下剤』で、もう1つは腸内に水分を引き込み、便を軟らかくすることで排便を促す『非刺激性下剤』です。

刺激性下剤には『小腸刺激性下剤』と『大腸刺激性下剤』があり、特に大腸刺激性下剤は緊急時など、短期間での便秘解消に向いています。

一方、非刺激性下剤には『浸透圧性下剤』『膨張性下剤』『浸潤性下剤』などがあり、いずれも緩やかに効果が出るのが特徴です。その他にも『座薬』や直腸内で便を軟らかくして直腸の刺激を強めて排便を促す『浣(かん)腸』という下剤もあります。浣腸は便が硬くて出にくい頑固な便秘の解消や排便時に痛みがある場合にも効果的です。

市販の下剤は、基本的に一時的な便秘を解消するために使用することが望ましいとされています。長期間使用し続けると、腸が自然に動かなくなる可能性がある下剤が多いため、短期間の使用が推奨されているんですよ。

便秘が慢性的に続く場合や腹痛や吐き気、血便など、便秘以外の症状もある場合は、自己判断で下剤を使用せず、医師に相談することが重要です」

Q.下剤を服用する際の注意点や間違った使用方法について、教えてください。

真部さん「注意点として『(1)症状に合った薬を選ぶ』『(2)服用量・用法を守る』『(3)長期間の連続使用を避ける』『(4)医薬品の種類によっては、服用を避けるべき人がいる』『(5)一部の薬は併用に注意が必要』があります。

便秘の原因によって使用する下剤が異なるため、『症状に合った薬を選ぶ』ことが重要です。特に刺激性下剤は強い作用があるため、過剰に服用すると腸を刺激し過ぎて下痢や腹痛の原因となるため、服用量・用法を守るようにしましょう。

併せて、下剤依存症や耐性の形成に陥る可能性があるので、『長期間の連続使用を避ける』必要があります。下剤依存症になると、腸が下剤なしでは動かなくなり、さらに便秘が悪化してしまうので注意が必要です。

そのほかにも、高齢者や妊娠中の人、腸の病気や腎臓病、心臓病の持病がある人は、一部の下剤を服用することで症状が悪化することがあります。『医薬品の種類によっては服用を避けるべき人がいる』ため、自己判断で下剤を服用する際は注意が必要です。

加えて、下剤によく使用される酸化マグネシウムは貧血の薬と併用すると貧血の薬の作用が弱くなってしまうので、『一部の薬は併用に注意が必要』です。

間違った使用方法として『ダイエット目的で使用する』『他の薬と併用する際に確認せず服用する』があります。下剤を使った体重の減少は、体内の水分や栄養素が失われているだけです。そのため、体の電解質のバランスが崩れて脱水症状や心不全などを引き起こす可能性もあり、非常に危険なのでそのように使用するのは避けましょう。

また、一部の下剤と血圧の薬や抗うつ薬を併用することで、薬の効果が低下したり、逆に副作用が強まったりすることがあります。特に酸化マグネシウムなどの塩類下剤は他の薬の吸収を妨げることがあるため、服用タイミングをずらさなければならない場合があります」

Q.下剤の服用期間の目安について、教えてください。例えば、症状が改善するまで服用を続けるべきなのでしょうか。それとも、1~2日服用しても効果が見られない場合、服用をやめて医療機関を受診した方がよいのでしょうか。

真部さん「具体的な使用期間は下剤の種類によって異なりますが、市販の下剤は、基本的に一時的な便秘解消のために短期間使用することを目的にしています。

刺激性下剤のほか、酸化マグネシウムなどの浸透圧性下剤は、効果が1~2日以内に見られない場合は使用を中止し、医師に相談しましょう。刺激性下剤を1週間以上、継続して使用すると、腸の機能低下や下剤依存症のリスクを高めるため、お勧めできません。

また、浸潤性下剤や膨張性下剤は数週間程度の比較的長期間にわたって使用しても問題が少ないです。ですが、2週間以上使用しても効果が見られない場合は、使用を中止して医師の診察を受けるようにしましょう。

座薬や浣腸は、緊急的な便秘解消や便を軟らかくするための使用が原則です。通常1回の使用で効果が見られない場合は、他の原因がある可能性があるため、受診した方が良いですね」

* * *

 下剤の服用期間の目安や具体的な注意点などは製品によって異なるため、それぞれの薬の特徴を理解した上で服用することが重要です。服用期間の目安を過ぎても便秘が解消されない場合は、医療機関を受診しましょう。

オトナンサー編集部

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