「女性はクリスマスケーキ」から数十年…昭和・令和の結婚観「変化と進化」の歴史【結婚今昔物語】
オトナンサー / 2024年12月14日 8時10分
結婚は“人生の大きな節目”として、長い間、多くの人々にとって特別な意味を持ってきました。しかし、その価値観は時代とともに移り変わり、昭和時代と、令和時代の現在では、結婚に対する考え方が大きく変化しています。この劇的な変化について、結婚相談所「ツヴァイ」を運営するZWEI(ツヴァイ、東京都中央区)代表取締役社長の中野大助さんは「日本人の価値観が、グローバルな世界標準にシフトした表れ」と分析します。
昭和と令和の結婚スタイルはこんなに変わった――。そんな“変化と進化”の歴史、背景について、婚活業界を熟知するプロフェッショナルの視点から解説していただきました。
■昭和時代:結婚は人生の「型」だった
2024年12月2日に発表された「ユーキャン新語・流行語大賞トップ10」の年間大賞に選ばれ、時代を象徴するフレーズとなった「ふてほど」。同年1月期の連続ドラマ「不適切にもほどがある!」(TBS系)の略称ですが、そこで描かれた“昭和的価値観”には、昭和世代にとっては「そんな時代もあったな」と思わず笑ってしまうエピソードが満載でした。
当時の価値観から、男性側の結婚観をひもといていくと、例えば「婚約指輪は給料3カ月分」。この名言(迷言?)に心当たりがある人も多いのではないでしょうか。昭和の結婚観を語る上で欠かせないこのフレーズは、婚約指輪が「男性の本気度」や「社会的ステータス」を測る物差しのような存在だった時代を物語ります。
さらに、「3高(高学歴、高収入、高身長)」は女性が結婚相手に求める条件として広まり、男性陣にはプレッシャーそのもの。昭和世代にとっての結婚は、恋愛の延長というより、「人生最大のプロジェクト」だったのかもしれません。
一方で、女性側の結婚観はというと、「女性はクリスマスケーキ(25歳を過ぎたら売れ残り)」や「腰掛け(結婚までの仮の仕事)」という、今なら間違いなく炎上案件な言葉がまかり通っていました。結婚適齢期を過ぎると、親や職場からの「肩たたき」攻撃が始まり、プレッシャーの嵐が吹き荒れる……今考えると「なんて時代だ」と思いますが、当時はこれが“当たり前”でした。
そんな昭和的価値観が、令和の現代にどう影響しているのか。次世代の結婚観と比べながら、そのギャップを探ってみると、思わずうなずく「結婚の進化」が見えてきます。
■令和時代:多様化する結婚観と現実的な価値観
令和の現在、結婚に対する価値観は大きく変わりました。「ZWEI」が2024年11月に行った最新の調査によると、婚約指輪については「贈りたい」と考える男性が82.6%と、依然として高い割合を示していますが、予算は現実的な傾向にシフト。最多は「10万〜30万円」(22.1%)、次いで「5万〜10万円」(19.0%)、「1万〜3万円」(18.1%)と続きます。かつての「給料3カ月分」のような固定観念は消え、現実的な予算感覚が主流となっています。
また、「ジミ婚」という言葉が広く浸透し、身内や親しい人のみを招いた結婚式や、挙式自体を行わない選択をするカップルも増えています。結婚式をしない理由には、「お金を他に使いたい」「派手なことが苦手」という意見が多く、こうしたトレンドを受けて「届け出婚」というシンプルで実用的な結婚セレモニーを提供する自治体も登場するほど。
かつては、結婚式が人生の晴れ舞台だった時代もありました。しかし今、結婚に求められているのは、「自分らしさ」を重視した現実的な選択。これこそが令和の結婚観の真髄といえます。
■日本人の結婚観が「世界基準」に?
こうした変化について、海外のブライダル事情を熟知し、台湾でブライダル会社を経営した経験も持つ筆者は、日本人の価値観が、グローバルな世界標準にシフトしたと考えています。
国際的には、シンプルで実用性を重視する結婚スタイルが支持される地域も多く、日本人の国際化が進むにつれ、結婚観も影響を受けています。特に若い世代では、結婚の形にとらわれず、自分たちにとって心地よいスタイルを選ぶ傾向が顕著です。高価な指輪や豪華な挙式よりも、結婚してからの2人の生活に必要なものや経験に金銭をかけることを重視し、自然体でいられる関係性を重視するようになっているのです。
ただ、こうした時代の流れの中でも、結婚という行為そのものの重要性は変わりません。結婚は、人生を共に歩むパートナーを見つけ、支え合いながら未来を築くものです。その形やスタイルは時代によって変わっても、幸せの本質は普遍的なものといえるでしょう。
昭和から令和へと続く結婚観の変化は、私たちに大切な問いを投げかけています。「結婚とは何か」「幸せとは何か」を改めて考え、時代に合った選択をすることが、これからの新しい結婚観を形作っていくのではないでしょうか。「自分たちらしい結婚」を選び取るために、結婚相談所のような専門的なサポートを活用するのも、今の時代の賢い選択肢の一つかもしれません。
ZWEI 代表取締役社長 中野大助
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