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【年末年始】闇バイト強盗は防犯カメラ恐れない 警察官、弁護士装う詐欺も 元刑事が教える、必ず押さえるべき“防犯の3鉄則”

オトナンサー / 2024年12月27日 6時10分

闇バイト強盗や特殊詐欺などの犯罪から身を守るには?

 年末年始は窃盗事件のほか、オレオレ詐欺や架空料金請求詐欺といった特殊詐欺事件が増えるといわれています。特に今年は首都圏で闇バイト強盗による事件が増えており、注意が必要です。闇バイト強盗や特殊詐欺などの犯罪から身を守るにはどうしたらよいのでしょうか。犯罪の主な手口や防犯対策などについて、元埼玉県警刑事部捜査第一課警部補で、パナソニックの防犯アドバイザーを務める佐々木成三さんが解説します。

■街灯が少ない地域は要注意

Q.どのような住宅が闇バイト強盗に狙われやすいのでしょうか。

佐々木さん「高齢者の単身世帯もしくは高齢者の二人世帯の戸建て住宅が狙われやすいです。現在、首都圏では闇バイト強盗による被害が相次いでいますが、関東の場合、郊外で比較的治安が良い地域ほど、かえって犯罪組織に狙われる傾向にあります。治安が良いために街灯や防犯カメラが少ないからです。

また、住宅と住宅の間隔が広い地域や周囲に住宅がほとんどない地域に住んでいる場合、強盗の侵入があったときに『助けて』と叫んでも、声が周辺に届きにくいため要注意です。

闇バイト強盗のような手口は2019年ごろから存在していますが、犯罪の手口が巧妙化しており、2024年に一気に広がった印象があります。

『高齢者がいるかどうか』『資産をたくさん持っているかどうか』などが記載された闇リストと呼ばれるものが出回っています。闇バイト強盗の指示役はその情報を基に侵入する住宅を決め、SNSで募集した実行役に金銭を奪ってくるよう命じています。

年末年始は多くの人がお金を使ったり、家を留守にしたりすることが多く、多くの犯罪者が動く時期でもあります。特に注意が必要です」

Q.闇バイト強盗の実行役の特徴について、教えてください。

佐々木さん「闇バイト強盗の実行役は素人が多いのが特徴で、指示役から命令されて現場に向かいます。窃盗の常習犯が事前に住宅の下見を入念に行い、住宅の住人と鉢合わせるのを嫌う一方、闇バイトの実行犯は初めから住人を緊縛し、金銭を盗む目的で押し入るため、手荒な行為に及ぶことが多いです。

また、窃盗の常習犯の多くが、防犯対策が万全で侵入に5分以上かかる住宅を敬遠する一方、闇バイト強盗は侵入に時間がかかる住宅や防犯カメラが設置されている住宅でも無理に押し入ろうとすることがあるため、防犯カメラを設置したり、窓に防犯フィルムを貼ったりするだけでは不十分です。今は総合的な防犯対策を講じないと、あらゆる犯罪から身を守れないと考えています」

Q.最近は「オレオレ詐欺」という言葉を聞かなくなりましたが、近年、特殊詐欺の被害に遭うケースは増えているのでしょうか。

佐々木さん「オレオレ詐欺のような特殊詐欺が相次ぐようになったのは2003年といわれています。その後、警察やメディアなどの呼び掛けもあり、私たちは『特殊詐欺は危険』と認識するようになりましたが、警察庁の犯罪統計によると、2023年の特殊詐欺の被害額は約453億円、2024年は10月末時点ですでに約487億円と被害が拡大しています。

なぜかというと、手口がどんどん巧妙化しているからです。例えば、特殊詐欺の実行犯は『オレ』という言葉を使わずに、警察官や弁護士、自治体の職員などをかたり、口座番号やキャッシュカードの暗証番号といった個人情報を聞き出して金銭をだまし取ろうとします」

Q.闇バイト強盗や特殊詐欺の実行犯から身を守るにはどのような対策が必要なのでしょうか。

佐々木さん「侵入前の備え(外部との接点)、侵入時の備え(侵入防止、威嚇)、侵入されない備え(留守偽装、警戒)という一連の防犯対策が必要です。私はこれらを“攻める防犯”と呼んでいます。順番に説明します」

(1)侵入前の備え(外部との接点)
不審な電話には出ないようにし、万一出てしまった場合も相手と会話をしないようにしてください。例えば、不審な電話に出たときに家族構成を聞かれ、「息子は1人暮らしをしています」と答えてしまうと、この住宅には高齢者しかいないとみなされ、犯罪組織に狙われる確率が高まります。

またドアホンが鳴ったときは相手をよく確認し、少しでも怪しいと感じたときは出ないでください。対面時に相手に侵入される恐れがあります。こうしたことから、迷惑電話防止機能付きの固定電話、録画機能付きのドアホンは必須といえます。

(2)侵入時の備え(侵入防止、威嚇)
防犯カメラを設置し、外部からの侵入に気付くことが大切です。ただ、防犯カメラは録画機能があるだけでは不十分です。例えば、人が家に近づくとライトが光る、人感センサー付き防犯カメラのようなプラスアルファの機能が求められます。

以前、私は取材で闇バイト強盗の被害に遭った住宅を何軒か訪問しましたが、ほとんどの住宅では人感センサーが設置されていませんでした。また、防犯カメラを約10台設置していた住宅がありましたが、センサーがあるにもかかわらず作動させていなかったため、闇バイト強盗に侵入された事例があります。

闇バイト強盗の実行犯は素人が多く、犯行に慣れていないため、威嚇に弱い傾向にあります。そのため、侵入されそうなときに光や音声で威嚇できる機器があると有効です。外部からの侵入者に対し、音や光で威嚇するタイプの防犯カメラも販売されているので、確認してみてはいかがでしょうか。

このほか、闇バイトの実行犯は窓から無理やり侵入しようとする傾向にあるため、窓の開閉部などに防犯用のセンサーを設置するのも有効です。

(3)侵入されない備え(留守偽装、警戒)
外出時は、留守だと気付かれないための対策が必要です。例えば、スマホで遠隔操作できる照明があると便利です。夜間の時間帯に自動的についたり消えたりするようにすると、相手は「この家には人がいる」と認識し、容易に住宅に侵入しようとは思わなくなります。

Q.もし年末年始に帰省や旅行で自宅を留守にする場合、防犯上、どのような対策が有効なのでしょうか。

佐々木さん「侵入しようとする相手に留守だと悟られないためにも、可能な限り、郵便ポストに郵便物や新聞などがたまらないようにしてほしいです。先述のように、遠隔操作できる照明器具を夜間に活用するとよいでしょう。このほか、近所の人に留守にすることを伝え、何かあったら110番通報するようお願いするのも有効です」

■在宅時に強盗に侵入された場合の対処法は?

Q.もし在宅時に人が侵入してきた可能性がある場合、どう対処すればよいのでしょうか。

佐々木さん「『大きな物音がした』『窓際に設置していたセンサーが鳴った』など、外部から人が侵入してきた可能性がある場合は確認しに行かずに、すぐに内鍵のある部屋に避難し、110番通報してください。防犯対策として、後付け可能な鍵を購入し、設置しておくとよいでしょう。

また、これは最終手段ですが、内鍵がある部屋に強力ライトを常備するのもお勧めです。強力ライトとは、300ルーメン以上の光が出る製品を指します。ルーメンとは光の強度を表す単位で、300ルーメンの光を見ると目がくらんで動けなくなります。万一、強盗に部屋に侵入されたときは、強力ライトで相手の目をくらませるとよいでしょう」

Q.最後に、必ず押さえておきたい防犯のポイントについて、教えてください。

佐々木さん「『常に冷静な判断を心掛けること』『自分は大丈夫という考えを改めること』『最新の犯罪手口をしっかり知っておくこと』の3点を押さえてください。常に冷静な判断を下すには、防犯機能が充実した固定電話やドアホン、防犯カメラなどの機器をしっかり取り付けることが大切です。

また、『自分はだまされない』と考えている人ほど要注意です。犯罪組織はだましやすい人の特徴を熟知しているからです。特に頑固な人や性格が良い人ほどだまされる傾向にあります。

先述のオレオレ詐欺の事例でも少し触れましたが、犯罪は年々、巧妙化しています。最新の犯罪手口をしっかり知ることも、防犯対策として非常に大事です。日々、警察やメディアなどが公表する情報をチェックしてみてはいかがでしょうか」

オトナンサー編集部

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