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親が子どもの「お年玉」を“横領” 教育費に使うのもアウト? 弁護士が解説する意外な“法律の落とし穴”

オトナンサー / 2025年1月3日 7時10分

親が子どものお年玉を勝手に使ってしまった場合、法的責任を問われる?(画像はイメージ)

 正月を迎え、子どもが祖父母や親戚からお年玉をもらう機会が増えます。子どもが幼児や小学校低学年の場合、親が管理する目的でお年玉を預かることがよくありますが、中には無断で教育費や生活費などに充ててしまうケースがあるようです。

 そもそも、親が子どものお年玉を預かる行為自体に問題はないのでしょうか。もし親がお年玉を勝手に使ってしまった場合、法的責任を問われる可能性があるのでしょうか。佐藤みのり法律事務所の佐藤みのり弁護士が解説します。

■無断使用は財産管理権の濫用に該当

 一般的に、お年玉は、子どもに対する贈与と考えられるため、その所有権は子どもにあります。民法3条1項には、「私権の享有は、出生に始まる」とあり、生まれたばかりの赤ちゃんも所有権の主体になることができます。

 ただし、18歳未満の未成年者は、お年玉で何かを買ったり、サービスを受けたりするとき、原則として、親(法定代理人)の同意を得ることが必要です(民法5条1項)。同意を得ずに、子どもの判断でお年玉を使ってしまった場合、親は子どもが行った契約を取り消すことができます(民法5条2項)。

 また、親は、子どもの財産を、自分の財産を管理するのと同様の注意を払って管理することになっています(民法824条、827条)。従って、親がお年玉を預かること自体に問題はありません。

 では、親が子どもに無断でお年玉を教育費や生活費などに充ててしまった場合、どうなるのでしょうか。先述のように、お年玉は子どもの財産なので、親がお年玉を自分の遊興費や買い物の代金として使った場合、財産管理権の濫用に当たり、法的に問題になります。親は、使ってしまった分の金額を子どもに返さなければなりません。

 習い事の月謝など、子ども自身の教育に使うことも適切ではないでしょう。本来、子どもの監護や教育のためにかかる費用は、親が負担しなければなりません。従って、子どもの財産であるお年玉を教育費に充てるのは望ましくないと言えます。

 しかし、家計の事情によっては、お年玉を教育費に回したいこともあるでしょう。そのような場合に、教育費として支出したとしても、財産管理権の濫用とまでは言えないと思います。子どものために教育費として活用したい事情があるのであれば、子ども本人に相談し、お年玉の使い道について話し合ってみるのがよいと思います。

 子どもが成人すると、親の財産管理権は消滅し、「遅滞なくその管理の計算をしなければならない」ことになっています(民法828条)。そのため、子どものお年玉をためて管理していたのであれば、子どもに返す義務があります。

 ただし、子どもが成人し、親の管理権が消滅したときから5年間、子どもが返還を求めないままでいると、返還を求める権利が時効によって消滅します(民法832条1項)

 親は、自分の財産と子どもの財産を区別して管理することが大切です。お年玉は、あくまで子どもの財産なので、ためておく場合は、子ども名義の銀行口座を用意するなどして管理するようにしましょう。

 また、お年玉は、子どもがお金の使い方を学ぶ良い機会だと思います。子どもと一緒に使い道を相談したり、計画的に使う方法を考えたりするとよいのではないでしょうか。

オトナンサー編集部

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