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自閉症の息子は「5歳」になっても言葉を発しない…焦る母に主治医が告げた「真理」

オトナンサー / 2025年1月13日 8時10分

自閉症の息子が発した「初めての言葉」は…(画像はイメージ)

 言葉を年相応に話せるようになるかどうかは、幼い子を育てている親にとって、とても気がかりなこと。まず、単語が出て、それが「ごはん食べる」「お外行く」などの2語文になってきて、親にいろいろ要求するようになってくるとうれしいものです。しかし、発達障害の子の中には、単語が増えても、それがコミュニケーションにつながっていかない子がいます。

■息子は5歳まで言葉を話さなかった

 子育て本著者・講演家の私には、現在24歳になる自閉症の息子がいます。

 息子は5歳まで言葉を一切話しませんでした。知的障害も伴っていたせいなのか、通常、1歳児が発する「ブーブ」「マンマ」といった類の喃語(なんご)も出ず、2歳を過ぎても3歳を過ぎても話すことはありませんでした。

 保育園の送迎時、ママ友の子どもたちがイヤイヤ期を迎え、「嫌だ、嫌だ」と言葉を発しているのを見て、うらやましく思いました。

 そんな息子が6歳になる直前、渋谷のうどん店に連れて行ったときのこと。店員が、うどんの切れ端が1本残っていた食器を「お下げいたします」と持って行こうとしたそのとき、息子が一言放ったのです。

「まだ食べる!」

 単語ではなく、相手に自分の意思を伝える立派な言葉で、店員とコミュニケーションを取ろうとしていました。

■主治医の言葉「言葉をいくら教えても…」


うどん店で食事を楽しむ息子(立石美津子さん提供)

 息子が3歳のとき、周りのよくしゃべる子やママ友を見て焦り、小児精神科の主治医に「言葉を話すようになるトレーニングを受けたい」と申し出ました。

 けれども医師は一言、「お母さん、言葉をいくら教えても単に単語数が増えるだけで、これを操ってコミュニケーションを取れるようにはなりませんよ」と告げました。

 5歳を過ぎてもオムツが外れないことについても、「何度教えてもトイレでおしっこができない。どうしてもオムツを取りたい」と訴えました。でも、担当医師には「お母さん、オムツだけを取っても、オムツだけが取れた赤ちゃんのままです。言葉の発達も、オムツが取れることも、全体発達の中でできるようになっていくものです」と言われました。

 息子がうどん店で「まだ食べる!」と言ったとき、主治医に言われたこれらの言葉を思い出しました。言葉だって、それだけが独立して発達するわけではなく、「あの子と遊びたい」「あのおもちゃを取り返したい」という気持ちが生じることで発せられるもの。全体発達の中で出てくるものなのです。

 何事も、強い動機があることで人は動きます。息子の場合は「うどんを最後の1本まで食べたい。このことを、器を下げようとしている店員に伝えたい」という動機でした。

 知人である重度の自閉症の青年が、リンゴの銘柄を「陸奥、ジョナゴールド、王林、世界一…」と正しく言えても、それはコミュニケーションではなく、単語を並べているだけでした。「ママ、このリンゴ、おいしそうだね」「このリンゴ、買ってほしい」といった会話にはなかなか発展しません。

 言葉だけのトレーニングをしても、単語を「覚えるだけ」。これを使って「話す」ようになるまでには、時間がかかることがあります。ただし、単語だけを発していても、それが本人の要求や興味のあることならば、それも「立派な会話だ」と受け取ることも、親側には必要な姿勢だと感じます。なかなか難しいですけれどね。

子育て本著者・講演家 立石美津子

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