「離婚=もう一生会わない」とは限らない…離婚後に元パートナーと会い続ける女性たちの“赤裸々な事情”
オトナンサー / 2025年1月25日 9時10分
離婚した元パートナーと、別れた後も定期的に会う――。そう聞いて、「いい関係性」とうらやましく感じる人もいれば、「あり得ない」と拒否感すら覚える人もいるかもしれません。
「恋人・夫婦仲相談所」所長の三松真由美さんは、そうした“離婚後も良好な関係の元夫婦”について「意外と存在する」とした上で、「離婚のいい面にフォーカスすれば可能」と指摘します。さまざまな理由から離婚を選択したものの、元夫と会い続ける2人の女性の実話……そこには“離婚したからこそ”といえるかもしれない、新たな関係性がありました。
■「大人になれないピーターパン」のような夫との暮らし
「離婚後も良好な関係を保っている元夫婦」は意外と存在します。傷つけ合い、憎しみ合った離婚劇を乗り越えてきた人たちにとっては信じられないような話ですが、離婚後もお互いSNSでつながっていたり、一緒に食事をしたりもする元夫婦は実際にいるのです。
「そんなに仲良しなら、なぜ離婚したの?」というツッコミも聞こえてきますが、それはそれで当人たちにしか分からない理由があるようです。
紙一枚のことですが、結婚しているか、いないかで男女の気持ちは大きく変わります。住居のことや子どものことなど、夫婦という理由でさまざまな問題が絡んでくる現実があるからです。
「今でも月に1~2回は元夫と会っているかも」と笑うのは、雑誌編集者の美希さん(仮名、36歳)。
編集者とカメラマンという仕事関係で出会った彼。好きな音楽や服の趣味が一緒で、もともと、仕事以外でも気の合う仲間だったそうです。そのうち、一緒に暮らすようになり、第1子の妊娠が分かったところで結婚。「典型的な似た者同士の“お友達婚”でした」と美希さんは振り返ります。
「彼はイクメンだったし、カメラマンは時間の自由が利く。一方で、私の仕事は不規則な勤務だったので、息子の育児に関わった時間は彼の方が長かったかもしれません。夜遅くに私が帰ると、息子に添い寝しながら一緒に寝落ちしている子どもみたいな彼の寝顔を見て、『いい夫を見つけて、私って幸せ』と思っていました。だって、他の働くママたちは仕事と育児のはざまでいつもイライラしていて、夫の悪口しか言っていなかったですから」
転機が訪れたのは、息子が2歳になった頃。彼が突然、「フォトジャーナリストとしてキャリアを積みたい」と言いだし、海外へ頻繁に出かけるようになってからです。
「最初は仕事の合間を縫って2週間ぐらいの滞在を繰り返していましたが、そのうちに『定期的に受けていた仕事を降りて、アフリカで暮らしたい』と言いだしたのです。私は仕事があるし、子どももいるし、もちろん、簡単にOKは出せません。話し合った末、1年間の期限付きで、彼には1人で行ってもらうことにしました」
現地からはあまり連絡もなく、たまに更新されるFacebookを通じて、かろうじて様子が分かる程度。彼いわく、現地で撮った写真を通信社に持ち込むなどのジャーナリスト活動はしていたそうですが、結局、はかばかしい成果はなく帰国。
これでフォトジャーナリストは諦めたかと思いきや、今度は環境保護活動にのめりこみ、「地球環境が危機にひんしていることを発信したい」と東南アジアの熱帯雨林地域に住みたいと言いだしました。
「1年間、育児も私、稼いできたのも私。彼は『自分の貯金を使ったので、君に迷惑はかけていない』と言いましたが、家族の将来を考えれば、本当は貯金を崩すどころかためなければいけない時期。『私と息子の将来はどう考えているの?』と問いただすと、『海外の物価の安い所に住めば、何とかなるよ』って。これはダメだと思って、こちらから離婚を切り出しました。
人としては魅力的だし、今でも気の合う人ですが、しょせんは大人になれないピーターパン。将来を一緒に歩いていけるパートナーではないと判断しました。でも、夢を語る姿を見ていると、生き生きしていて。息子にも、夢を語れる人になってほしいと思うこともあります」
結局、彼がマンションを出ていく形で離婚。元夫は今でも息子に会いに家へ来て、ご飯を一緒に食べるそうです。
「息子にとっては昔から、『パパ=たまに帰ってくる人』でしたから、今でも離婚したとは思っていないかも。小学校に入るときまでにはきちんと言わないと、と思っています」
■結婚して1年…突然の土下座
「こんな、映画みたいなことが自分に起きるなんて、想像もしていなかったです」と話すのは麗奈さん(仮名、32歳)。美容師の彼と出会ったのは、麗奈さんが30歳のとき。最初に結婚したDV夫と、やっとの思いで別れた直後でした。
「本当に大変な経験をして、男性不信だった時期に出会ったのが彼です。いつも指名しているサロンの美容師さんが、たまたま体調不良でお休みされていて、代わりに髪を切ってくれたのが彼でした。『いつもの担当者でなくて申し訳ない』ってとても恐縮してくれて、優しい人だなと思ったのが第一印象です。
次の来店時に彼を指名しようとしたら、別の店に移ったって言われて。彼にもう一度髪を切ってほしくて、新しいサロンに通うようになりました。職業柄か女子力が高いし、話しやすい。常に“俺さま”の上から目線だった最初の夫とは真逆で、男性にもこんな人がいるんだなって、好意を持ちました」
その後、半年付き合って、麗奈さんはプロポーズされました。
「『傷ついた麗奈ちゃんを僕が幸せにしたい』と言ってくれました。『もう男なんて一生いらない!』と思っていたけれど、この人だったら一緒にいて楽だし、人生をやり直せるかなと思って再婚しました」
麗奈さんにとって、彼は理想的なパートナーでしたが、唯一の不安はEDだったこと。結婚前も何度かセックスを試みたそうですが、一度もうまくいかなかったといいます。しかし、DV夫の“俺さまセックス”に耐えてきた麗奈さんにとっては、たとえ2人が一つになれなくても、一生懸命愛してくれる彼とのベッドタイムは十分満ち足りたものだったそうです。
そんな彼が、結婚して1年近くたったある晩、「話があるんだけど」と真顔で切り出しました。「麗奈を幸せにしたかったけど、もう僕にはその資格がない。申し訳ない」と、いきなりリビングで土下座をしたのです。
「やっぱり…ってその瞬間思いました。その2~3カ月前から、夜遅くまで飲み歩いたり、私が話しかけても上の空だったり、1人でものすごく落ち込んでいたりと様子が変だったんです。
『もしかして、他に好きな人ができたの?』と聞くと、『そうじゃない。でも気付いたんだ。自分は男の人が好きなんだって』とボロボロ涙を流しながら彼が言ったんです。私は怒るよりもあっけにとられて、二の句が継げませんでした。
そういえば、その数カ月前に映画『ボヘミアン・ラプソディ』を見たとき、妙に彼が号泣していたなとか、女子力の高さとか、一緒に暮らした際の同性同士のような居心地のよさとか、私に対してEDだったこととか、頭の中でいろんなことが一気に結び付きました」
涙の告白から2カ月後、2人は正式に離婚。元夫は現在、新しい男性パートナーと暮らしているそうです。麗奈さんの髪は今でも彼が担当。麗奈さんにとって、今でも一番話しやすい男性であることに変わりはないそうです。
■離婚の「いいところ」にフォーカスすると…
「恋人・夫婦仲相談所」で相談を受けていると、さまざまな夫婦、元夫婦に出会います。離婚したからこそ2人の風通しがよくなり、腹を割って話せるようになった人もいます。苦しい結婚生活を重ねるより、離婚して対等に向き合うことができるようになれるなら、それも選択肢の一つです。
離婚をためらう人へのアドバイスです。離婚しない理由を「生活費のため、子どものため、世間体のため…」などと並べてみて、たとえどれかを、あるいは全てを犠牲にしてでも離婚する方が「自分らしくいられる」と思ったなら、パートナーに「離婚したら、2人の気持ちはいい方に変わると思う? それとも、顔も見たくない?」と切り出してみてもいいのではないでしょうか。
離婚には悪いところといいところ、両面あります。いいところにフォーカスすれば、「離婚後も一緒に食事できる大人の関係」を築くことも可能です。まずは「離婚=一生会わない」という固定観念を捨ててみてください。
「恋人・夫婦仲相談所」所長 三松真由美
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