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「カキ」にあたる人・あたらない人、何がどう違う?→実は「あたりやすい人」には特徴があった【医師解説】

オトナンサー / 2025年1月27日 7時10分

「カキにあたりやすい人」には特徴がある…?

 冬に旬を迎える食材の一つ「カキ」。焼いても揚げても、生でもクリーミーで濃厚な味わいが楽しめるため、「大好き!」という人も多いことでしょう。一方で、カキといえば恐ろしいのが「食あたり」。カキを食べて“あたった”経験がある人たちからは「カキにあたるとマジでつらい」「カキ食べて吐き続けたの、人生で一番つらかったかも」「カキ大好きなんだけど、一回あたってから怖くて食べられない…」などの悲痛な体験談が多く聞かれるほか、「そういえばカキであたったことないな」「家族で食べたらいつも私だけあたるんだけど、なんで?」など、カキにあたりやすい人、あたりにくい人に関する疑問の声もあるようです。

 どうしてカキにあたる人とあたらない人がいるのか――。eatLIFEクリニック(横浜市旭区)院長で内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんは「実は、カキにあたりやすい人には特徴がある」と指摘します。カキと食あたりに関するさまざまな疑問について、詳しくご解説いただきました。

■生食でも加熱調理でも「あたる」可能性あり

「食あたり」は、医学用語では「食中毒」といいます。

 食べ物や飲み物に含まれていた細菌やウイルス、毒素が原因で腹痛、下痢、吐き気、嘔吐、発熱などの症状を引き起こすのが「食中毒(食あたり)」です。発症までの時間は細菌やウイルスの種類によって異なり、例えばノロウイルスは食後24時間から48時間ほどで発症しますが、黄色ブドウ球菌は1~5時間と短めです。

 カキを食べた後、腹痛や嘔吐といった食中毒の症状が出てつらい思いをしたことがある人は多いと思いますが、カキは生食と加熱調理、どちらの場合でもあたることがあります。

 カキで食あたりを起こす原因として、ノロウイルスや腸炎ビブリオ、貝毒、アレルギーが考えられます。ノロウイルスや腸炎ビブリオは加熱することで食中毒を防げますが、加熱の温度や時間に注意が必要です。ノロウイルスはカキの中心部が85~90度で90秒以上、腸炎ビブリオは60度以上で10分以上の加熱を必要とします。

 一方、貝毒はプランクトンを介して貝の中に毒素が蓄積するのですが、これは加熱しても毒性が弱くなりません。

 また、カキによるアレルギー症状として、腹痛や下痢、吐き気、嘔吐を引き起こすことがあります。アレルギーの場合、発疹などの皮膚症状や喉のかゆみなどが出る可能性も高いですが、これらが目立たずに腹痛などの症状だけを自覚するケースもあります。

 なお、カキのアレルギーであれば、腸炎ビブリオによる食中毒(食後平均約12時間)やノロウイルスによる食中毒よりも早い「食後1~2時間」で症状が出始めます。例えば、オイスターソースを食べて、毎回あたるようであれば、アレルギーの可能性が高いといえます。自己判断が難しい場合は、スギやヒノキによる花粉症と同様、カキアレルギーの有無も血液検査で調べることができます。

 このように、カキによる食中毒の原因はさまざまです。例えば、ノロウイルスが含まれるカキを食べたとしても、人によって、症状が出たり出なかったりと個人差があります。毎回あたる人はアレルギーの可能性が高いでしょう。

■カキに「あたりやすい人」の特徴は…?

「カキを食べると毎回あたるから、もう怖くて食べられない」という人もいれば、「カキが好きでよく食べるけど、一度もあたったことがない」という人もいます。この両者の違いは何なのか、不思議に思ったことはありませんか。実は、カキに「あたりやすい人」には特徴が存在します。

 まず、ノロウイルスや腸炎ビブリオなどの感染症は、その人の持っている免疫力によって、かかりやすかったり、かかりにくかったりします。子どもや高齢者は免疫力が弱いので、あたりやすいといえます。

 生活習慣でいえば、不規則な生活をしていたり、食事の栄養バランスが悪かったりすると免疫力が落ちるので、あたりやすくなるでしょう。体調が優れないときは食中毒にかかりやすくなっているので、カキなど食中毒の可能性があるものを食べるのは控えた方がよいです。

 中には「カキが大好物なのに、しょっちゅうあたるからつらい…」「カキにあたらないようにできるならしたい」という人もいると思います。しかし結論からいいますと、カキにあたりやすい人があたらないようにすることは、残念ながら難しいと思います。

 生活習慣を改善して、免疫力を高めるとあたりにくくなる可能性はありますが、カキの食中毒の原因はそもそも複数存在するので、確実とはいえないからです。

 では実際、カキにあたってしまったときはどうすればいいのか、対処法をお伝えします。

 下痢があっても吐き気がなく、水分摂取ができる状態であれば、小まめに水分を取って、自宅で安静にしておいて問題ありません。嘔吐が続く場合は脱水状態になって危険なので、必ず病院を受診しましょう。子どもや高齢者は脱水の症状に気付きにくかったり、状態が急に悪くなったりすることがあるので、早めに病院に相談してください。

 そして何より、カキにあたるリスクを減らすことが大切です。まずは、食べる前にしっかりと加熱するようにしましょう。調理前のカキが付着した調理器具を介して感染する可能性もあるので、生のカキを扱うときは、調理器具の管理や手洗いにも十分に注意してくださいね。

オトナンサー編集部

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