標準的な体重の人よりも“ちょいデブ”の方が健康的? 米機関調査の真偽とは

オトナンサー / 2019年5月19日 6時40分

 肥満の人は「自己管理能力が低い」「生活習慣病になりやすい」などネガティブな印象を持たれがちです。しかし、先日ネット上に「標準的な体重よりも少し重い、いわゆる『ちょいデブ』の人が最も健康的」という調査結果を米国の公的機関が発表した、との情報がアップされました。世の中では一般的に「肥満=不健康」と認識されていますが、果たしてその常識は誤っているのでしょうか。内科医に聞きました。

■「肥満=不健康」は覆らない

 調査結果を発表したのは、米国疾病管理予防センター(CDC)です。さまざまな人種の約288万人を対象に行った調査で、BMI(肥満度を示す体格指数)が「18.5~25未満の標準体重グループ」と「25~30未満の過体重グループ」を比べると、過体重グループの方が、死亡リスクが6%低いことが分かりました。内科医の市原由美江さんに聞きました。

Q.BMIは肥満度を示す体格指数とされています。どのようなものですか。

市原さん「BMIは『Body Mass Index』の略です。『体重(キログラム)÷身長(メートル)÷身長(メートル)』で計算し、22が標準体重、25以上が肥満とされます。ただ、筋肉質で体重が重い人が肥満とされたり、逆に内臓脂肪で腹囲が大きくても標準体重とされたりすることもあり、全ての人に対して完璧に標準化した指標ではありません」

Q.CDCの調査では、BMI25~30未満の「ちょいデブ」が健康的との調査結果が出ています。日本人も同じ傾向といえるのですか。

市原さん「BMIから見る死亡リスクは、人種ごとに異なります。日本人では、男性で23~26.9、女性で19~24.9の人が、死亡率が低い傾向にあり、この範囲以上に痩せても太っても死亡率が上昇する傾向があるというデータを、2002年に国立がん研究センターが発表しました。それまでは、BMI22の場合の死亡率が低く健康的であると考えられていましたが、特に男性では23未満の死亡率が上昇することが分かりました」

Q.なぜ、標準体形よりも少し太っている方が健康的なのですか。

市原さん「調査では『少し太っている方が健康的』という結果が出ていますが、理由は分かっていません。とはいえ『肥満=不健康』という認識が覆ることはないでしょう。肥満が、生活習慣病や心血管疾患、がんの危険因子であることは、過去の多くの研究から明らかになっているからです」

Q.日本の医学界で、標準体重よりも少し太っている方が健康的という認識は広がっていないのですね。

市原さん「そのような認識は広がっていません。健康に関する研究は、その方法やデータの量、種類、解析方法などで異なる結果になることがよくあり、例えば肥満が健康的だという根拠を確立するためには今後、十分な検討が必要でしょう」

Q.健康診断でBMIが25を超えると、肥満と判断され、食生活など生活習慣の見直しについて注意喚起されます。この基準が近い将来、変わることはないでしょうか。

市原さん「すぐに変わることはありません。今までの常識を覆すような新たな基準が確立されるためには、多くの研究が必要であり、かなりの時間がかかります。ただ、肥満の中でも少し太った状態が健康的であるという研究が多く発表され、各学会などで検討されれば、将来的に変わる可能性はゼロではありません」

Q.日本では、脂肪がつくことを嫌う風潮が強いですが、体にとってある程度は必要な要素だと思います。脂肪があることで、人の体にどのようなプラス面がありますか。

市原さん「体脂肪が極端に少ない痩せた人には栄養不足が多く、免疫力が低下しやすいと考えられます。これに比べて、適度に脂肪がある体形の人の方が、免疫力は下がりにくいと考えられます」

Q.BMIがどの値の幅であれば、健康的に過ごせるといわれているのでしょうか。その数値で保つためにすべきことは。

市原さん「繰り返しになりますが、国立がん研究センターの発表からは、男性で23~26.9、女性で19~24.9であれば死亡率が低い、すなわち健康的であると考えられます。体重が増えたり減ったりすることも、死亡率を上げる原因であるとの報告もあり、太り過ぎず痩せ過ぎず、かつ体重の増減があまりないように心がけましょう。そのために、ありきたりですが『規則正しいバランスのよい食生活』『適度な運動』が基本だと思います」

オトナンサー編集部

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