「迷惑極まりない」と怒りも…私はコロナに感染しないと言う人の心理とは
オトナンサー / 2021年1月28日 6時10分
コロナ禍が長期化し、感染拡大を防ぐための「新しい生活様式」を実践する人も増えてきています。しかし、中には「俺は感染しないから」「私は大丈夫だから」という根拠のない自信を誇示して、スーパーや百貨店へ入店する前の手指の消毒を拒否したり、社内外の対面での会議を積極的に設定したりと、感染リスクを考慮しない行動を取る人もいるようです。
こうした人について、ネット上では「迷惑極まりない」「私の上司も『俺は感染しない』と言い張っていて困る」「根拠のない自信で周囲を振り回すのはやめてほしい」など怒りの声が多く上がっています。「俺は/私はコロナに感染しない」と言い切る人の心理について、心理カウンセラーの小日向るり子さんに聞きました。
■体力や健康に自信あり
Q.一般的に「自分の考えに自信がある」と思っているときの心理とは、どのようなものでしょうか。
小日向さん「『自分の考えに自信がある』と思っている当人の多くは、その考えに『根拠もある』と思っているものです。その根拠のよりどころとなるものは大きく2つあります。一つは自分自身の学習や経験がよりどころとなっている場合です。『自分が実際に体験したのだから間違いない』などの発言が該当します。これは人生に成功体験が多く、社会的ステータスが高い人がなりやすい思考です。
そして、もう一つは他人の発言がよりどころとなって、自信につながっている場合です。これは尊敬している人や指示を仰いでいる人がいる場合によく見られる思考で『あの人が言うんだから間違いないだろう』といった自信の持ち方です。よって、『根拠がある/ない』というのはあくまで、第三者がする判断です」
Q.コロナ禍で「俺は感染しない」「私は大丈夫」と考え、感染対策を積極的に行わない人の心理状態とは、どのようなものだと考えられますか。
小日向さん「これには大きく分けて、いくつかの心理が働いていると考えています。一つは自分の体力や健康に自信があるケースです。『周囲がインフルエンザになっても、自分はいつも罹患(りかん)しないから』『風邪なんてめったにひいたことがないから』など自身の経験によって裏打ちされているためです。また、何でも人と反対のことをする、あまのじゃくな性格の人はコロナに関係なく、ただ、『みんなが感染対策をしているから、反対の行動を取りたくなる』という心理もみられます。
他に自暴自棄に近い状態である『セルフネグレクト(自己放置)』に陥って、それが自分の健康に対しても及んでおり、分かりやすくいえば、『コロナにかかって死んだっていいや』という心の状態も考えられます。そして、これらの心理が複合的に絡み合っているケースもあるでしょう」
Q.周囲に対し、「俺は/私は感染しない」と声に出して主張するとき、心理状態に何らかの変化はあるのでしょうか。
小日向さん「試合や試験の前に『絶対勝つ!』『合格できる』と声に出して言うとテンションが上がって、その気になったという経験を持つ人は多いと思いますが、それと同じです。一種の自己暗示と考えてよいでしょう」
Q.「俺は/私は感染しない」と考えたり、それを周囲に言ったりする心理状態や考え方はなぜ、形成されるのだと思われますか。
小日向さん「先述のように、自分に自信があるからです。こうした人を観察していると、コロナ関連だけでなく、さまざまな事象について自信満々の発言が目立つことに気付くはずです。さらに、それを周囲に言う傾向は承認欲求や自己顕示欲が強い人によくみられます。これらの欲求が強いことでリーダーシップを取れるなど、よい方向に働く場合もあるのですが、エビデンス(証拠、根拠)がなければ自己満足にすぎず、さらに、コロナなどの疾病の場合は周囲に迷惑をかけたり、社会を混乱させたりしてしまいます」
■周囲はどう接すればよい?
Q.「俺は/私は感染しない」と主張する人に対して、周囲はどのような接し方をすればよいのでしょうか。
小日向さん「『俺は/私は感染しない』というのがその人にとっての真実ですから、信頼関係が構築されていない他人が真っ向から反対意見を言っても、さらなる分断を生むだけです。
コロナも含めて本来、自然災害からの復興や疫病には皆で協力して立ち向かわなくてはいけません。しかし、今回のコロナウイルスに対してはさまざまな意見や価値観が対立し、逆に分断を生み出しているように感じます。信頼関係が構築できていなければ、アドバイスや忠告はさらなる分断を生む一方です。
物事の本質を見誤ってはいけないと思います。相手に対して『自分のアドバイスを素直に聞き入れてくれるくらい、信頼関係が築けているのかどうか』を判断基準とすれば、個別に接し方が見えてきます。アドバイスや忠告の前に、まずは信頼関係を築く努力をしてみましょう」
Q.「俺は/私は感染しない」と主張して、感染対策を積極的に行わない人が周囲の働き掛けなどによって、自分の考え・行いを自覚し、このような性質を変えたいと思ったとき、望まれる意識・行動とは。
小日向さん「他人への想像力を働かせた考え方へのシフトチェンジを意識してください。例えば、PCR検査を受けていないから分からないだけで、『実は陽性だけど症状が出ていないだけ』という可能性もあります。あるいは、今日は陰性でも明日、罹患する可能性もあるわけです。
これを自分中心で考えてしまうと『自分は体に不調が出ていないから大丈夫、以上』で終わりです。しかし、他者のことを考えて想像力を働かせれば、『症状が出ていないだけで、実は自分は陽性で、他人に感染させているかもしれない』となるわけです。このように考えることができれば、おのずと行動が変わってくるでしょう」
Q.終息の兆しが見えないコロナ禍で「『俺は/私は感染しない』と主張する人が職場にいて迷惑している」「ただでさえ不安な毎日なのに、こういう人が身近にいるとさらに不安になる」など根拠のない自信を主張する人に対して怒りや不安を感じている人は少なくないようです。
小日向さん「相手との関係性ありきで対応を考えましょう。例えば、『店主とお客さま』という関係性であれば、店の対策基準を明示して、従えない人には入店をお断りするだけで、そこに必要以上に感情を挟むこともありません。
先述したように、人と人の間に信頼関係がなければ、どんなよいアドバイスも反発を生じさせるだけです。おそらく、コロナ対策を行う中で『迷惑だ』と感じる言動・行動をする社内の人は、コロナ対策以外でも相性が合わないと感じている場合が多いのではないでしょうか。そうだとしたら、それはコロナ対策以前にそもそもの関係性に難があったということです。
感染が不安だったはずなのに、いつしか、感染対策をしない人の存在がストレスになっているようでは、精神的な負担という意味では同じです。自分がどう行動したらストレスが少ない環境になるのか、情報に流されるのではなく、自分の性格を分析して、おのおのが冷静に行動することが必要なのではないでしょうか」
オトナンサー編集部
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