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岩井志麻子 男女の別れは醜い?美しい? 私が離婚したときのこと

OTONA SALONE / 2019年2月5日 21時0分

私がやってる唯一のスポーツは射撃で、つまり猟銃を所持している。最初に所持許可をもらうのもなかなか大変なんだけど、三年に一度の更新ってのもかなり手続きが煩雑。モノがモノだけに、所轄の警察署から関係者に聞き取り調査までされるのは、まぁ当然だ。

 

円満な離婚なんてない?

さて。前回の更新も無事に済ませたが、警察署での面接で離婚歴があることも話した。そのとき私は、銃を持たせても大丈夫な人であることを強調するため、「元夫とはとても円満な離婚で、息子がいることもあって今も連絡を取り合ってます」てなことをいったら、担当の警官にフッと苦笑された。「円満な離婚なんてないでしょう」警官はそれ以上のことはいわなかったが、何か強く心に残った。

 

私は、嘘をついたつもりはまったくなかった。離婚は互いの合意の元に署名しあうだけの協議離婚だったし、その後も揉めずに揃って再婚し、それぞれの幸せを築いていたし。

 

年月が激しい争いさえも浄化する

確かに離婚の前後は泣きわめき、情緒も不安定になった。夫だった人を強く憎み、恨んだ。もちろん、あっちだってそんな感じだった。あの一番激しい状態を第三者が見たら、泥沼離婚、醜い別れといい切っただろう。でもって、こんな人に銃なんか持たせていいのかと不安になったはずだ。

 

ところが年月の流れというものは時間薬なんて言葉もあるように、いろいろなものを癒し、浄化し、変えていく。息子のことで相談したり協力したりしていくうちに、復縁だのよりを戻すだの、それらとはまったく違う種類の新たな関係性が生まれていたのだ。今夫の愚痴を元夫に聞いてもらってるし、現在は息子が元夫の元で働いているので、あいつ元気にしてるよ、なんて電話がかかってきたりもする。

 

どんな別れも、その後の生き方で変わってくる

その、今現在ののんきな状況だけを見て、美しいとまではいわないが良い別れ方をしたと思いこんでいた。いや、それはそれで現在の事実ではあるし、傍目にも良い別れ方をした元夫婦、と見られている。完璧に美しい別れ方なんてものは、ない。そもそも本当に円満なら別れないわけで。でもその後の生き方で、泥沼も美しい湖に変えることはできるんだよ

 

 

≪作家 岩井志麻子さんの他の記事をチェック!≫

 

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