「甘味処」は「かんみどころ」じゃない⁉簡単なのに読み間違える熟語10個
OTONA SALONE / 2019年4月1日 11時30分
「重版出来!」という速報を読んで、「○○さんの本、じゅうはんできだって!すごいね!」と伝えてくれた友人。ツッコミどころ満載でしたが「へー、すごいね!」と流しました。こういう言葉の訂正って、人間関係に響くので、難しい。だからこそ、皆さんには、正しい読み方を知っていてほしいと思う今日この頃です。
今回は、誰もが知っている漢字を使っているのに、誤読の多いものを選んでみました。
1・甘味処
読み間違いの例
かんみどころ
正しい読み
あまみどころ
意味
甘い味の菓子を出す飲食店のこと。特に、あんみつやだんごなどの和菓子を提供する店。
説明
甘味料(かんみりょう)から誤読する人が多いと思われます。甘味料を使っていないお店からすれば、なんだかいや~な読み間違いですね(笑)
もちろん「甘味」は「かんみ」とも読みます。しかし「甘味処」となった場合は「あまみどころ」です。
2・著す
読み間違いの例
ちょす、しるす
正しい読み
あらわす
意味
書物を書いて世に出すこと。
説明
小学校の漢字テストでよく出題されます。6年生で習う漢字で、私も作問しています(笑)
3・一見の客
読み間違いの例
いっけんのきゃく
正しい読み
いちげんのきゃく
意味
初対面。初会。
説明
「いっけんのきゃく」では意味が分かりません。「いっけん、客に見える人?」となりそうですね。たしかに「一見」は「いっけん」とも読みますが、「~の客」や「~さん」とした場合は「いちげん」です。元々遊郭で、その遊女に初めて会うことを言いました。今ではむしろ格式の高い店に対し、自分を下げて「この店は一見さん(いちげんさん)はお断りかな?」などのように使います。
4・気色ばむ
読み間違いの例
きしょくばむ
正しい読み
けしきばむ
意味
怒ったさまが表れる。意中をほのめかす。様子を顔色にあらわす。気取る。なまめかしい様子をする。
説明
現代では、怒りで顔色が赤くなった時に使うことが多いです。「批判されて気色(けしき)ばんだ」のように使います。「きしょく」と読むのは、おそらく「気色悪い(きしょくわるい)」から来ているかと思われます。「気色悪い」は「きしょくわるい」で「けしきわるい」とは読みません。怒った時に使う言葉なので、読み間違えてさらに怒りを買うことのないようにしたいものです。
5・重版出来
読み間違いの例
じゅうはんでき
正しい読み
じゅうはんしゅったい
意味
重版分の本が刷り上がり、書店に搬入されること
説明
2016年にテレビドラマ化された漫画『重版出来(じゅうはんしゅったい)!』を知っている方は間違わないかと思いますが、読めない人も多いのではありませんか。「出来」とは事件の起こること、物事ができあがることを表す言葉で「珍事が出来する(しゅったいする)」「近日出来(きんじつしゅったい)の予定です」のように使います。「出来」は「でき」とも読みますが、前後の文章から読みを判断した方が賢明ですね。
6・和む
読み間違いの例
わむ
正しい読み
なごむ
意味
和やかになる。穏やかになる。
説明
もちろん「なごむ」の意味は分かると思います。素敵な言葉ですよね。小学校3年生で習う漢字です。読みではなく「書き」のテストでよく出題されます。ぜひ、お友達に「なごむって漢字で書ける?」と聞いてみてください。
7・飲み代
読み間違いの例
のみだい
正しい読み
のみしろ
意味
酒を飲む代金。酒代。
説明
この「飲み代(のみしろ)」を「のみだい」と読むのは、慣用的なものになっていますが、辞書には「のみしろ」の方しか載っていない場合もあります。意味は「酒代(さかだい)」と同じ。酒代のように、代金を表す場合「○○代(だい)」と使うことが多いので、「飲み代」も「のみしろ」ではなく、だんだんと「のみだい」に変わっていったと思われます。
8・一入
読み間違いの例
いちいり、いちにゅう
正しい読み
ひとしお
意味
ひときわ。いっそう。いちだんと。
説明
元々は、染め物を染め汁に一回浸すことを言いました。一回染めるごとに、色が濃くなっていく様子から「ひときわ」の意味で使われるようになったそうです。「一」も「入」も簡単な漢字なのに、組み合わせると読めないものですよね。
9・幕間
読み間違いの例
まくま
正しい読み
まくあい
意味
劇場で、一幕終わって、次の幕が開くまでの間。幕を引いてある間。芝居の休憩時間。
説明
本来誤りであった「まくま」という読み方も、認められるようになってきた言葉ですが、本当は「まくあい」と言います。特に格式張った場所などで使うことが多いでしょうから、正しい方を覚えておいて損はありません。「間」を「アイ」と読むのは、常用漢字表にない読み方なので、テレビなどの放送表記は「幕あい」になっています。私はいつもこのような表記に出会うたびに「ルビを振ったら勉強にもなるのに」と感じます。
10・専ら
読み間違いの例
せんら?(笑) 読めない人が多いと思われます。
正しい読み
もっぱら
意味
そのことばかり。それを主として。まったく。
説明
「あなたが○○したって、もっぱらのうわさよ」「休日はもっぱら家にいます」などというように使います。読み間違いというより、読めない人が多いのではないかと思います。小学校6年生で習う漢字です。
私は、小学生の国語も指導しているのですが、20文字新たに学習漢字に加わることになり、現在は移行措置中です。読み書きの問題をたくさん作っているのですが、小学校で習う漢字を組み合わせた熟語に意外と読み間違いが多いことに気づかされました。また、難しい漢字なら、読み間違えてもそんなに恥ずかしくはありませんが、簡単な漢字だからこそ、読み間違いやすい漢字には、気をつけたいものですね。
≪国語教師・文章コンサルタント・文章力養成コーチ 松嶋有香さんの他の記事をチェック!≫
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