松田聖子、昭和から平成を駆け抜けた歌姫の強さとは
OTONA SALONE / 2019年5月3日 21時0分
30歳をすぎた女性芸能人サマが、サバサバしたキャラクターを売りにするのは、サバサバしたキャラが、一般人にウケると思っているからではないでしょうか。
サバサバ女子とぶりっ子、豪快なのはどっち?
私はそもそも、この世にサバサバした女性はひとりもいないと思っています。自分の興味のあることや大事なものに対して執着してねっとりするのは当然ですし、そうでないことなら、「そうなんだ」と無関心でいられるだけのこと。
もし、あなたが「私はサバサバしている」と思っているとしたら、それは「現在、懸念事項がゼロ」なだけです。
そうはいっても、芸能人のみなさんはキャラを掲げないと商売になりませんから、サバサバを選択する人がいるのも理解できます。
でも、サバサバした女性を描いたドラマに顕著ですが、主人公の女性ってなんのかんの言って、妙にオンナを感じさせるファッションであることが多いですよね。
パンツスーツを着ていても、胸の谷間が見えるまでシャツのボタンを開けている。ロングヘア率も高い。スポーツ刈りとか、洗いざらしのよれよれのTシャツを着ているサバサバした主人公はいません。
つまり、サバサバとは「外見はオンナっぽく見えるけど、気さくですよ」という意味であり、男性に都合のいい存在だと思うのです。
サバサバ売りする女性芸能人を豪快だということがありますが、これにもまた私は首をかしげてしまうのです。
サバサバ売りする人って、やんわりと男性に「誘っていいですよ」とメッセージを送り、女性には「色気をウリにしていませんよ」と言っているわけですから、男女両方に好かれたい臆病な人だと思うのです。
本当に豪快と言っていいのは、サバサバの対局にいるとされるぶりっ子ではないでしょうか。
ぶりっ子界のレジェンドと言えば、松田聖子をおいていないでしょう。彼女が4月29日放送の「総決算!平成紅白歌合戦」(NHK)に出演すると告知されたとき、NHKも安心して聖子にオファーをかけられるようになったんだと感慨深いものがありました。
いっときの聖子は歌手としての実績は十分でしたが、男性スキャンダルが多く、クリーンを第一とするNHKに敬遠されていると週刊誌に書かれたこともあったのです。
ぶりっ子トップアイドルから、スキャンダル女王への軌跡
ミス・セブンティーンコンテストから芸能界入りした聖子。「青い珊瑚礁」が大ヒット、トップアイドルの仲間入りをはたしますが、当初は男性ファンのほうが多かったそうです。
長く活動するためには、女性ファンからの支持は不可欠ということで、事務所が「女性にウケる歌を」と発注したのが、優柔不断なオトコを描いた「赤いスイートピー」でした。事務所のもくろみはあたり、この曲以降、コンサートの男女比は逆転したそうです。
タレントは商品ですから、事務所の命令に逆らうのは難しいと思いますが、事務所の意向だろうと、聖子の素だろうと、ぶりっ子をやる人というのは肝が据わっているなあというのが私の意見です。
だって、ぶりっ子をすればある種の人から嫌われていることは目に見えているわけで、それでも堂々とぶりっ子をするというのは、根っから男性の方向を向いているか、プロ意識が高いかのどちらかだと思うからです。
聖子の場合は、どっちのタイプ?次ページ
おそらく、聖子の場合、根っから男性を意識しているタイプなのではないでしょうか。聖子はシロウト時代からファンだった郷ひろみと交際するなど、ほしいものをつかみ始めます。
「生まれ変わったら、一緒になろうねって約束した」という破局会見の涙も乾かぬうちに、俳優・神田正輝と結婚。もっと驚いたのは、子どもを産んだ後も仕事をやめないだけでなく、実母に子どもをまかせて全米進出という大きな賭けに出たこと。
アメリカでは白人青年と不倫をし(のちにこの青年に暴露本を書かれています)、近藤真彦との密会も写真週刊誌に撮られました。
もちろんバッシングされましたが、「オトコが女房子どもを置いて、アメリカで一旗揚げてくると言ったら、それでこそオトコだとほめるのに、なぜオンナが同じことをすると叩かれるんだ」とか「オトコがしたいことは、オンナだってしたいんだ!」といった具合に、女性論客から擁護の声が上がります。
聖子が不倫を本当にしていたのだとしたら、それはほめられたことではないのですが、にも関わらず擁護する声が上がったのは、オトコ社会の身勝手さ(男は仕事のためなら何をしてもいい)に女性論客がうんざりしていたことに加え、女性が異性に関心があるのは気持ち悪い(男の不倫は甲斐性、若くない女性が男性にときめくのは気持ち悪い)という空気が蔓延していたからではないでしょうか。
聖子は表立ったぶりっ子行動はやめますが、男性重視の姿勢は変えることはありません。神田正輝との離婚後に「婦人公論」(中央公論社)のインタビューで「主人と呼べる人がほしい」「将来、病院に行くときに一緒にいってくれる人がほしい」と答えていましたが、娘や事務所の人とではなく、男性と行きたいのが聖子というお人なのでしょう。
有言実行というべきか、聖子はその後、歯科医と結婚し離婚、現在は大学病院勤務の歯科医と結婚しています。その一方で、子どもにはあまり興味がないようです。ひとり娘の神田沙也加を名門校に入れようと血眼になるわけでもなく、彼女が芸能界デビューしたあとも、何が何でもスターにしてやるというようなごり押しもない。しかし、それがかえってよかったようです。
沙也加が苦労したことは間違いないでしょうが、声優というお母さんとは全く違う畑でポジションを築くことができました。聖子も57歳となって落ち着いたのでしょうが、おイタをしているという情報は入ってきません。
ヤワな女はぶりっ子になれない。
歌が好き、かつオトコも好き。たとえ、ぶりっ子と罵られようが、気にしない。それが聖子の人生なのではないかと思います。たとえば、上述した聖子の第一回目の全米進出はセールス的には失敗しましたが、96年に再挑戦、また2017年にはアメリカの名門JAZZレーベルから、日本人シンガーとして初のアルバムをリリースするなど、日本での活動と並行して挑戦を続けています。ダメだったからすぐにあきらめるほど、ヤワではないのです。
真のぶりっ子とは、聖子のように狙ったもの(オトコ&歌)は何年かかっても何度失敗しても挑戦し続けて必ず仕留める、凄腕スナイパーのことを言うのかもしれません。
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