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【岩井志麻子】それは「ズルい女」なのか?

OTONA SALONE / 2019年10月15日 21時0分

ズルいってのは、一般的な考えと解釈では、法的に罪に問われるほどではなくてもあまり正しくない手段で得をした、とか。正々堂々、正攻法、正面からは行かず、裏から手を回しただの横入りしただのいわれる方法で、何かを獲得する、って感じか。

そりゃまあ、そういうのを目の当たりにすれば私だってズルいわね、といいたくなるが、自分のこととなれば、「これは戦略」「要領よくやった」「なかなか私って頭いい」といった言い訳、いや、自慢までするかもしれないわ。

 

「ホラー大賞が欲しい」と思ったとき

私はどうしても作家になりたい、あの憧れのホラー大賞が欲しいとなったとき、それまでの受賞作である、科学の基礎知識と高度な研究の成果を基にした『パラサイト・イヴ』、綿密な取材と実体験に裏打ちされた保険金詐欺を題材にした『黒い家』を読み、

「この人達に、正面からぶつかって勝てるわけがない。真っ向勝負は無駄でしかない」と考えた。

前者は、作家自身がその分野の立派な学者であり、後者の作家も有名な保険会社にお勤めだったのだ。対する私は、ちゃんとした勉強も勤めもしてないただの人。

だから、彼らの来ない分野に行き、彼らの上がらない土俵に上がろうと考え、明治の岡山県が舞台の土俗、土着ホラーを書いた。そして、大賞を取った。

 

「ズルい」と「戦略」のちがいって?

いや、盗作だの審査員を買収だの編集者に色じかけだの、そんな真似はしていないけど、(したくてもできない諸般の事情あり)私なりに戦略は立てた。その根底にある思想は、ある種の裏道、裏口、横入りを探り、狙うものであった。

これ、ズルとはされてない。私の大賞受賞は、戦略を立てて成功したといってもらえる。

世間やライバルにはズルをしたといわれる女も、本人としてはそのように思っているんじゃないの。いや、戦略とズルって紙一重でしょう。

 

四十を過ぎたら「手腕」がないと

恋人のワガママに辟易している男に、素直さ従順さをアピールしてみせる、とかね。変なもん飲ませてベッドに引きずり込んだら、そりゃズルじゃなく犯罪だって。

女も四十路になれば、ズルさを戦略にしてみせる手腕がなきゃね。

蹴落としたライバルにズルといわれたって、勝てば官軍じゃないけど、勝てば戦略成功なんだから。四十も過ぎてあの人ズルいズルいいってるだけの女は、敵の戦略に負けっぱなしだぞ。

 

≪作家 岩井志麻子さんの他の記事をチェック!≫

 

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