実はイタい?身の丈に合わない「ポジティブ思考」をやめるべき3つの理由
OTONA SALONE / 2020年1月18日 16時0分
オトナサローネの読者のみなさん、こんにちは。「予防医療」のスペシャリストで、医師の桐村里紗です。
この連載では、人生100年時代の折り返し地点、50歳になる前にやめたい悪習慣についてお伝えしていきます。
平成の時代に良しとされた「ポジティブ思考」。でも、実は、無理なポジティブ思考は、「イタく」見られてしまう上に、カラダにも悪いってご存知ですか?
【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」#11】
「ポジティブは良い、ネガティブはダメ」は古い
ポジティブな性格の人って、誰もが憧れますね。
その人がいるだけで、場が明るくなります。
人生には行き詰まるシーンもありますが、ストレスフルな辛い状況でも、ポジティブに考えて行動できると、立ち直りが早く、上手く物事が運びやすいような気がします。
友達にするなら、同僚として働くなら、ネガティブ思考の人よりも、ポジティブ思考の方が好まれやすいことは間違いありませんし、「あなたって、ネガティブね」と言われたら、まるで「ダメ」のレッテルを貼られているように感じてしまいがちです。
このように、平成の時代は「ポジティブ思考」であることが絶対的に良いと考えられてきました。
そのため、「ネガティブな思考や感情は、良くないもの」だから、「ネガティブに考えてはいけない」「ネガティブな感情を持ってはいけない」と思いがちになってしまっていたのではないでしょうか。
ポジティブ思考の悪い面
でも、実は、ポジティブ思考の良い面だけでなく、悪い面も分かってきました。
■リスクの読みが甘く大失敗する可能性
何でもかんでもポジティブに考えると、慎重に計画を立てなければならないシーンで、読みが甘くなります。
「まぁ、大丈夫でしょ」「オッケーオッケー!」
と現実を見ずに判断することで、無計画に散財してしまったり、怪しい話に引っかかったり、仕事で大失敗してしまうこともあります。
その点、ネガティブなタイプの方が、現実から将来を慎重に検討できるので、危ない橋をむやみに渡らず、撤退する勇気を持っているとも言えます。
■反省がなく成長しない
失敗しても、その自分を楽観視してしまったり、自分の都合の悪いことに耳を塞いでしまうと、欠点をそのまま放置してしまうことになります。これでは、成長できず、常に同じ失敗を繰り返すことになり兼ねません。
その点、ネガティブなタイプは、失敗や欠点をストレートに受け止めて脳内反省会を繰り返します。ですから、次に活かすことができます。
■ネガティブな感情の蓄積はストレスに
人の感情には、喜怒哀楽。本来、全てがあるものです。
素直に表現され、表にアウトプットすることが健康的ですが、「ネガティブな感情は出さない方が良い」と押し殺してしまうと気づかないストレスになります。
ストレスがかかると、人は無意識に筋肉を緊張させるので、全身の血流が悪くなります。
肩こりや疲れやすさ、冷え、胃腸などの機能低下、更にはウツなどの心のアンバランスの原因にもなってしまいます。
表情筋も緊張するので、笑顔も引きつり、「イタい」感じにも見えてしまうので、要注意です。
「無理してる感」が表情や雰囲気から溢れていることを、周囲の人は敏感に感じ取るものです。
ネガティブな感情は湧いて当然
人間として、ネガティブな感情は、湧いて当然。
ネガティブな感情がまだ出し切れていないのに、無理に蓋をしてポジティブにしようとすることは、実に不自然で不健康です。
悲しい出来事があった時、ようやく泣くことができたら、体も緩んで楽になった経験があると思います。
ネガティブな感情が湧いたら、味わい尽くし、出し尽くし、空っぽにしましょう。
罵詈雑言シャウトもあり
「ばか!」「アホ!」「この、なすび野郎!」など罵詈雑言をシャウトするのも大ありです。
とにかく、一切の感情を全て絞り尽くすくらいのつもりでいきましょう。
すると、ようやくすっかり気が晴れて、終了。
「さあ、次に行こう!」と、自然にポジティブに転換します。
これこそが、無理のない健康的な「ポジティブ」の在り方です。
引きつった表情筋もようやく緩んで、心からの笑うことができるようにもなります。
令和式は、ポジティブもネガティブも、両方使いこなせる「バランス思考」で無理なくいきましょう。
【ネオヘルスケアドクターLISAの「50歳になる前にやめる100のこと」、週1回、土曜の夕方に配信!】
文/内科医・認定産業医 桐村里紗
tenrai代表取締役医師。1980年岡山県生まれ。2004年愛媛大学医学部医学科卒。内科医・認定産業医。治療よりも予防を重視し、最新の分子整合栄養医学や生命科学、常在細菌学、意識科学、物理学などをもとに、執筆、webメディア、講演活動などで、新しい時代のライフスタイルとヘルスケア情報を発信。著書『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学』(光文社新書)ほか。
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