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デフレの日本にどうしても移民が必要なワケ【集中連載・コロナの後#1】

OTONA SALONE / 2020年9月17日 15時30分

イミグレーション実務を専門とする行政書士法人KIS近藤法務事務所代表社員の近藤秀将です。

私は移民を専門とする社会学者でもあり、現在はベトナム国立フエ科学大学特任教授、そして立教大学平和・コミュニティ研究機構特任研究員として活動しています。

「経済は専門外では?」とも思われがちですが、実際には移民は人の国際移動ですので、経済と密接に関連します。

簡単に言えば「外国人は、景気の良い国に集まる」ということです。

これから5回に渡り、コロナによって変貌していく世界の経済についてお話ししたいと思います。最初のテーマは「デフレ」です。

 

デフレで「安く買えるからいい」とはならないワケ

 

「デフレは、絶対悪である!」

「よいデフレなんて、この地球上、どこ探してもない!」 

 

このように言うと、

「ちょっと待てよ。モノを安く買えるからいいんじゃない?」と言われることがあります。

 

確かに、デフレは、モノの値段を下げるので、これまでよりも暮らしやすくなるとも思えます。

 

しかし、ここには前提として「自分の収入は減らない」という思い込みがあります。

 

下のフローを見て下さい。

 

モノの価格が安くなる。😋

企業の利益が減少する。😅

給料が減る。     😥

モノが買えなくなる。 😭

生きていけない。   😣

 

 

人は食べずには生きていけません。

先の見えないデフレの行き着く先は、生存不可=破滅です。

 

4月以降の指数の推移は「マイナス」、つまりデフレ

そもそも、コロナ禍の日本は「デフレ」と「インフレ」のどちらなのでしょう。

 

コロナ禍は、確実に我々の消費・移動を抑制しています。モノが売れなくなれば、企業は、限られた需要に応えるために価格を下げていくでしょう。企業の売上自体を圧縮することにになり、我々の給与等も減少することになります。つまり、デフレだろうと仮定できます。

 

この仮定が正しいか、最近のCPI(消費者物価指数)の推移で確認してみましょう。

 

CPIは物価上昇率を判断する指数ですが、実際より高めの数字が出る「上方バイアス」があります。CPIの対象品目は5年に一度の見直しですが、これだけ社会情勢の変化が激しい時代では実態とのズレが出るからです。したがって、物価上昇率が0%程度であれば、実質的にはマイナスとなっていると考えるべきでしょう。

 

2020年2月以降の数値を見ると、物価上昇率マイナスもしくは0%程度で推移していることがわかります。特に、コロナ禍が本格的になってきた4月の落込みが大きいです。

 

前述の通りCPIには「上方バイアス」があるので、日本は2019年から一貫してデフレ傾向にあると考えられ、それが、コロナ禍により深刻になっていると考えられます。

 

この塹壕戦のような事態の中で、日本が手にできる限られた武器が「移民政策」です。

 

そもそも日本では「移民」の定義すらされていない

「移民」という言葉を聞くと、「日本を外国人に売り飛ばすのか?」とお叱りを受けることがあります。

ここで改めて申し上げると、日本にはそもそも「移民」の法的定義が存在していません。

「外国人」の定義はあります。出入国管理法及び難民認定法第2条第2号『外国人 日本の国籍を有しない者をいう。』です。

つまり、「移民」についての議論は、その定義すら曖昧なまま繰り広げられています。つまり、無意味な議論が多いということです。

 

例えば、Aさんは、「移民」を、「国籍又は永住権取得を目的とする国際移動(期限なき移動)」とし、Bさんは、「一年以上の在留を目的とする国際移動(期限ある移動)」とするならば、AさんとBさんでは「移民」の定義が全く違います。これでは議論が噛み合いません。

 

Aさんのように、ずっと日本に住む人を移民とするのか、Bさんのように5年や10年で帰国する人も移民とするのか。この2つでは日本が用意すべきインフラも違います。その人たちの家は?医療は?教育は?このような食い違いがあちらこちらで起きています。

 

なお、安倍前総理は、2018年10月29日衆議院本会議の代表質問に対して「国民の人口に比して、一定程度の規模の外国人を家族ごと期限を設けることなく受け入れることによって国家を維持していこうとする政策」と答弁しています。

 

したがって、日本政府の「移民」の定義は、Aさんに近いでしょう。

 

この点、私は「移民」の定義をBさんのように幅広く考えており、旅行者等の短期滞在者以外の在留外国人は、「移民」に含まれると考えています。

 

私のBさん寄りの幅広い定義では、すでに約300万人の1年以上の在留期間を持つ中長期在留外国人を受け入れている日本は「移民大国」ともいえ、移民是非の議論には、もはや意味はないと思っています。その是非以前に、「移民」は「すでに、“隣”で生活している人々」なのです。

 

そんな「終わった議論」に執着するよりも、日本はすでに受け入れている「移民」を活用し、どのようにデフレを脱却するかという視点での議論が必要です。

 

「移民」を「すでに、“隣”で生活している人々」と言われても、「どうして?」「いつのまに」と戸惑う方もいるかもしれません。

 

確かに「最近、外国人の姿を見ることが多くなってきたな」とは思っていたけど、日本が「移民大国」と呼べるようになっているとまでは……嘘でしょ?

 

そんな戸惑いや疑問を持つ方々が多いと思います。

 

だからこそ、次回以降に、「移民大国 日本」の実態と、それを「政策」として発展さえれば、〈絶対悪としてのデフレ〉に対する有効な武器となることをお示したいと思います。

 

 

≪特定行政書士・フエ科学大学特任教授 近藤秀将さんの他の記事をチェック!≫

 

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