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千倍返しどころではない!一流レストランの本当の凄さとは|女のギアチェンジVol.14

OTONA SALONE / 2020年9月30日 20時30分

最高なのは「そのひととき」

ドラマ「半沢直樹」のクライマックスで半沢が倍返しどころか、「千倍返しだ!」と敵役の銀行頭取、常務、与党の幹事長を前に啖呵を切るシーンのロケ地は、ホテルニューオータニ東京のフレンチレストラン・トゥールダンジャンだった。

ドラマの撮影のために普段のダイニングルームのしつらえがずいぶんん変えられていたが、カラフルで繊細な前菜料理やパン皿にのった美味なる特製バゲットも画面上に登場し、しばしドラマの内容よりそちらが気になってしまった。

私は一年に一度、同じ月の誕生日の友人とトゥールダルジャンでバースデーランチを恒例としている。今年、友人は私に青磁のマグカップをくれ、私は毎年の例で彼女に財布をプレゼントした。この会はかれこれ10年続いていて、財布は引出いっぱいになっているそうだが、二人にとっての最高のプレゼントは「そのひととき」である。

なぜ、トゥールダルジャンなのか。ただ美味しいというだけの理由なら、東京には世界に誇るフレンチレストランが数多ある。しかし、真にファビュラスでエレガントなレストランとなるとトゥールダルジャンの右に出るものはいないのではないか。

 

美食とハイファッションの関係

その素晴らしいレストラン空間の中で私が最も魅力的だと感じるのは「客」である。間違っても「半沢直樹」に出てきた下品な悪党達や「三人まとめてえ!千倍返しだああ」と大音声をあげる者はいない。本来の客は一様に品よく適度な音量で会話をしているから隣のテーブルの声もまったく気にならない。

特筆すべきは客のファッションだ。ちなみにトゥールダルジャンのドレスコードは「男性はジャケット着用」。数年前まではネクタイも着用だったが、本店パリ同様カジュアルダウンされた。女性については特に記載されないがあえていうなら「忖度」。

ただトゥールダルジャンの凄いところは、ドレスコードを客が守るどころか、上回ってしまっているということだ。ネクタイ着用の男性も多いし、女性はランチタイムでも華やかなスーツや上質な素材のワンピースドレスなどを着用していて、豪華な空間に見事に溶け込んでいる。巷のレストランでたまに見かける、ジャケットは着ているけどだらしない男性とか、ゆる楽ワンピースの女子とか、そういう服装の客はいないのだ。

いまどきそんなのは堅苦しくて古臭いだろうか?でも考えようによっては、昨今のファッションこそ、なんでもかんでも、いつでもどこでもカジュアルになってしまって、「自然体」「ありのまま」を旗印にだらしなく緩んでしまっているともとれる。カジュアルは悪いことじゃないのだが、境界線が曖昧になって、きちんとすべき場ですら、カジュアルブームに圧されて消滅するか、または迎合しつつあるのが現状だ。

トゥールダルジャンは、集まる客も含めてまさに絶滅危惧レストランなのだ。美食とハイファッションは恋人同士のようなものなのだとあらためて気づかせてくれる。

あえて言おう。カジュアルはファッションのメインストリームではない。一年に一度くらいはゴムのスカートを脱いで、「一張羅」に身を包み、稀なるレストランに足を運びたい。

 

≪フリーアナウンサー、ナレーター 近藤サトさんの他の記事をチェック!≫

 

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