「熱が出てもむやみに解熱剤を飲まないで」医師が警告するコロナ禍の発熱と対応

OTONA SALONE / 2020年12月5日 16時0分

こんにちは。「予防医療」のスペシャリストで、医師の桐村里紗です。

今年の冬は、特に「発熱」にナーバスになりますね。
市販の解熱剤や医師からもらった解熱剤(消炎鎮痛剤)を家にキープしている人も多いと思います。

でも、待ってください。発熱の原因がわからない状態で、むやみに飲むと重症の合併症を引き起こす危険もあります。インフルエンザでは脳症を起こす可能性もありますし、新型コロナウイルスに至っては、まだ不確定で未知数です。

 

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熱が出たからといって「解熱剤」はマストではない!

熱が出たら「解熱剤飲まなきゃ」と思い、すぐに解熱剤を飲む人はいませんか?
それ、不要ですし、種類を考えずに飲むことで危険な合併症を引き起こすリスクがあります。

 

むしろ、インフルエンザで解熱剤を飲むと脳症の原因に

最も避けたいのは、その発熱がインフルエンザであった場合です。
解熱剤には、2種類あります。

アセトアミノフェンと非ステロイド系消炎鎮痛剤(NSAIDs)です。

インフルエンザの場合、前者は安全に解熱剤として使用できますが、問題なのは、後者です。
後者は、けいれん、意識障害、異常行動が急激に起こる「インフルエンザ脳症」を引き起こすリスクになります。

 

実際、インフルエンザ脳症は、後遺症も残る重症な病気

私自身も救急外来を担当していた頃に、インフルエンザの高熱に対して非ステロイド系消炎鎮痛剤の一種であるジクロフェナク(ボルタレン®︎)を使用して脳症を発症した男性患者さんを診察したことがあります。

大学で教鞭をとっておられる方だったのですが、急に叫び出し、窓から飛び降りようとするなどの異常な言動で発症し、退院後も後遺症が残ってしまったために職を辞さざるを得なくなりました。

老若男女、健康な人であっても誰にでも起こるリスクがあります。

 

自己判断で飲んで良いのは1種類のみ

発熱の原因がわからない場合に、自己判断で飲んで良いのは、アセトアミノフェンのみと考えましょう。

アセトアミノフェンの商品名は、アンヒバ®やカロナール®、タイレノールA®︎などです。

一方で、非ステロイド系消炎鎮痛剤( NSAIDs)は、種類がたくさんあります。

  • アスピリン:バファリン®など
  • ロキソプロフェン:ロキソニン®
  • ジクロフェナク:ボルタレン®など
  • インドメタシン:ブルフェン®︎・インダシン®など
  • メフェナム酸:ポンタール®など

ロキソニンやバファリンは、市販薬として簡単に手に入るものなので、注意が必要です。

 

特に注意してほしいのは整形外科で痛み止めをもらっている人

最近の一般的な傾向として、小児科医や内科医は、リスクを避けるために解熱剤としてはアセトアミノフェンをチョイスすることが多いです。

ただ、普段から整形外科で痛み止めとしてロキソニンやボルタレンを処方されている人は、発熱がある際には内服を控えたり、アセトアミノフェンに切り替えるなど、工夫しておいた方が良いと思います。

 

新型コロナでもリスクは避けておく

新型コロナウイルスに対しては、イブプロフェンがウイルスの受容体を増加させる可能性が指摘されています。
※the Lancet,vol8.issue4,April,01,2020

ただ、同時に、特に死亡率や重症化が変わらないという統計も報告されており、まだ実際の確定的なリスクはわからないといったところです。

医学の場合、後から致命的な問題が判明することも多くありますから、分からない場合、リスクを避けるためには、その時点でより安全な可能性が高いものを選んでおいた方が無難です。

特に、発熱の原因は、検査しないとわかりませんから、いずれの場合も想定して選択するのが賢明です。

 

今年はインフルエンザ患者が少ない、とはいえ油断は禁物

2020年の南半球の冬であった6月〜8月には、いずれの国も極端にインフルエンザの患者数が少なかったことが報告されています。
今年の冬、日本でも、インフルエンザの報告数は、例年の1%未満という状態です。

とはいえゼロではありませんし、油断は禁物です。

 

そもそも解熱剤は必要か?

そもそも、解熱剤は、発熱を抑える効果がありますが、感染症に対してあくまでも対症療法に過ぎません。

感染症の場合、発熱の原因となるのは、免疫細胞が病原体と戦っている「炎症」が起きているからです。

非ステロイド系消炎鎮痛剤は、この炎症自体を抑える効果があるのですが、免疫細胞の活躍を抑えることは必要でしょうか?

高熱であまりにも辛い時を除いて、解熱剤を飲むメリットはありません。

医師の中でも、自身がすぐに解熱剤を飲む人と飲まない人がいますが、飲まない人の理由は、ここにあります。

 

この冬は特に、予防に努めるのが大切

特に、この冬は、風邪であってもインフルエンザであっても、症状が似ている新型コロナウイルスの可能性を常に考えておかなければなりません。

病院は既にパンク状態ですし、例年のように発熱したからといって簡単に病院に受け入れてもらえません。

いずれの感染症であってもとにかく、この冬は特に予防に努めて、発熱するような感染症にかからないようにすることが1番の対策ではないでしょうか。

 

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