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家族がコロナに感染したら「消毒」「トイレ」「お風呂」はどうする?医師が解説

OTONA SALONE / 2021年1月30日 16時0分

「予防医療」のスペシャリストで、医師の桐村里紗です。

 

編集部から「もし家庭内で家族が新型コロナウイルスに感染したら、家庭内隔離の際には何に気をつければいいか?」と質問されました。

 

マスクや手洗いなどの話題が沸騰していますが、忘れられているのが「トイレ」のこと。

 

家庭内で感染が疑われるときだけでなく、外出先でちょっとトイレを使う際にも盲点になっているのが、トイレ周りに付着するウイルスです。

 

日本環境感染学会のとりまとめは以下の8項目

まず、家庭内での対策は、厚生労働省ホームページ「新型コロナウイルス感染が疑われる人がいる場合の家庭内での注意事項(日本環境感染学会とりまとめ)」をご参照ください。詳しい解説も掲載されているので、項目を転記します。

1.感染者と他の同居者の部屋を可能な限り分ける
2.感染者の世話をする人は、できるだけ限られた方(一人が望ましい)にする
3.できるだけ全員がマスクを使用する
4.小まめにうがい・手洗いをする
5.日中はできるだけ換気をする。
6.取っ手、ノブなどの共用する部分を消毒する
7.汚れたリネン、衣服を洗濯する
8.ゴミは密閉して捨てる

 

 

この内容を踏まえて、私が特に注意してほしいと考えるのは、以下の内容です。

  1. トイレ使用後に水洗する際には、必ず蓋を閉めること
  2. トイレから出たら、口や目、鼻などを触らず、まず手洗いをすること
  3. 手洗いは、石鹸を使い流水でしっかり流すこと
  4. アルコールなどウイルスに効果のある消毒剤で消毒をすること
    なければ、十分な手洗いだけでも流すことができる
    手荒れがあれば、アルコールはむしろ控える
  5. タオルは人と共用しない
  6. ドアノブや手すりなどは、家庭用塩素系漂白剤で拭き、その後水拭きする
    次亜塩素酸ナトリウムが主成分の塩素系漂白剤を0.05%に薄めて使用する
    (製品の濃度が6%の 場合、水3Lに液を25ml)
  7. 感染が疑われる人の下着類の洗濯物は、ビニール等に入れて保管し、家庭用洗剤で洗濯して十分に乾かす

その理由を以下に解説します。

 

コロナ感染の受容体は実は小腸に多い

新型コロナウイルスは、ACE2受容体を介して感染することがわかっています。この受容体は、肺や心臓、血管、また味覚や嗅覚に関連する舌や鼻の粘膜にあることが知られています。

 

が、実は、この受容体、意外なことに、小腸に多いということは、あまり知られていません。小腸からアミノ酸を吸収する際に重要な役割を果たしており、全身の中でもこの受容体が多い場所なのです。

 

コロナで注意してほしい、トイレなどの「糞口感染」

そのため、新型コロナウイルスに感染した人が、トイレで排便した場合、その便にはウイルスが含まれます。

 

トイレットペーパーを使ってその便を直接触ることはなくとも、ミクロのウイルスは手に付着します。

 

そして手に付着したウイルスは、ドアノブ、水道の蛇口などに付着し、無意識に手で口元に触ると、口に入ることになります。

 

これを糞口感染と言います。

 

また、トイレの水洗によって水が飛び散り、周りにも付着することになります。今日からトイレはまず蓋をして、それから流す習慣を身につけてください。

 

公共の場では、誰がトイレを使用したかわかりませんから、基本的に「ウイルスはいる」という前提で使う必要がありますね。

 

家庭内で家族が「コロナ疑い」である場合にも、マスクや換気、隔離だけでなく、トイレ対策も必要になります。

 

入浴はどうすればいい?

その他、「入浴はどうしたら良いの?我慢すべき?」という疑問の声も頂きました。

 

家庭内でコロナ感染が疑われる期間、お風呂を我慢したというお話も。

 

日本環境感染学会は、感染者(感染が疑わしい人)は、「浴室の利用を最小限に」としています。

具体的には?ということは示されていませんが、水蒸気の多い浴室では、ウイルスは飛散はせず、水に流れます。

感染者(感染が疑わしい人)の浴槽への入浴は禁止ではありません。

 

浴槽を使う場合には、先に体を石鹸と流水で洗い流し、入浴後にはお湯を抜き、浴槽や浴室を水や浴槽用洗剤で洗い流すことで、ウイルス量も減らすことができます。

 

その後、健康な人が入室する場合、一旦換気をすれば、ウイルスを吸い込むリスクは少ないでしょう。

 

感染者が入った浴槽の水を直接飲むようなことがなければ、入浴によって口からウイルスを取り入れてしまうリスクもまずないと考えて良いでしょう。

 

水で洗い流す環境ですから、神経質になって怯えながら入浴する必要はありません。

 

洗濯物も、分けて洗わなくても大丈夫

同様に、洗濯物にも質問をいただきました。

 

日本環境感染会によると、一般的な家庭用洗剤でウイルスの量が減らせるため、洗い物や洗濯物については、「別々に分けて洗う必要はない」とされています。

 

ただし、「体液で汚れた衣服、リネンを取り扱う場合は、手袋、マスクを使用」することは必要とされています。

 

取り扱いに注意しながら、使用したタオルも含めて、1日1回は洗濯機を回すと良いでしょう。

 

怯える前に免疫を維持すること

「ウイルスに触らないように!」と感染対策はバッチリでも、生活習慣が乱れて免疫力が低下していては元も子もありません。

 

逆に、免疫の防御がしっかりと働けば、仮に少量のウイルスが粘膜に付着しても、ウイルスの細胞への侵入を許さず、感染はせずにすみます。

 

睡眠をしっかりとり、バランス良く食事をし、適度な運動を心がける。免疫機能をしっかり維持することも、同時に行って、防御力を高めてくださいね。

 

≪内科医・認定産業医 桐村里紗さんの他の記事をチェック!≫

 

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