52歳独身、貯金300万。特に贅沢もしていませんが、老後資金をどうすればいいのかわかりません
OTONA SALONE / 2021年2月21日 11時30分
「休日はたまに友達とランチして、年に1、2回旅行するのが楽しみ。いまは特に不自由を感じていないけれど、老後が不安なんです……」
そうメールをくださったのは、52歳の貴美子さん。プレーンなファストファッションを小綺麗にきこなし、貧乏でもリッチでもないごく普通のアラフィフといった雰囲気。さほど悩みはなさそうです。
貴美子さんのように、特に贅沢をするでもなく普通に生活しているのに老後が不安という方はとても多いのが現状です。
「老後2000万にはとても届きそうにありません」
■貴美子さんからの相談内容■
52歳、独身会社員です。短大を卒業した22歳から、100人規模の地元企業で事務職をしています。事務職員の中では私が一番古く、後輩を指導しながら営業職員のサポートもしています。
短大の時からつきあっていた彼氏といつか結婚するんだろうなと思っていましたが、28歳の時に、彼の同僚との間に子どもができたからと言われあっさり別れました。
それ以降、恋愛すること自体に興味もなくなり、友達や親と楽しい時間をたまに過ごし、気がついたら52歳でした。あっという間に定年まで10年を切り、貯金もそれほどありません。ましてや老後2000万だなんて、どうすればいいのか。
幸いなことにこのコロナ禍でも失業はせずに済みそうで、定年後も給料は減るものの再雇用があるようです。ですが、老後を一人でどう生きていこうかと、急に不安になりました。現在の貯金は300万しかありません。私はこれからどうしていけばいいのでしょう。
■家計データ
貯金に手をつけていなければ貯まっていた?
毎月1万円、ボーナスの時は20万円貯めている貴美子さん。残りは自分へのご褒美で旅行やアクセサリーを買うとのこと。いいペースで貯めているはずなのに貯金残高は300万円しかありません。
「短大卒業から今までの32年間その貯金に手をつけずにいたら1664万円でしたね」
そうお伝えすると貴美子さんは「そんなに貯まってたんですか」と口あんぐり。家具や家電、行きたくなったら海外旅行と貯金を使っていたのです。
覆水盆に返らず。
しかし「貯金をする」という習慣があるのは貴美子さんの強みです。これからどうしていくか考えてみました。
■FP稲村さんからのアドバイス■
1・自分の好きなことに使うお金が4割は多すぎ。見直しましょう。
2・毎月5万貯金に回せます。退職まで8年貯めましょう。再雇用後は月2万。
3・5万のうち2万を運用に回せればなおベターですよ!
4・年金は「遅れて受給」で受取額をアップできます。
アドバイス1・支出内容を見直し、新しく「自由費」としてユルく設定
家計の支出をみて気になることはありませんか? 赤く色をつけた、やりくりすれば節約できそうな支出が10万円もあるのです。
手取り25万円のうち約4割以上が自分の好きなことや何に使っているかわからないのは少し使いすぎと言えます。
使途不明金を減らし、友達との交際費、服や美容費、休日に過ごす費用も含めて大きく「自由費」というカテゴリに。毎月6万円までと上限を決めてやりくりすることにします。
アドバイス2・8年間、毎月5万円貯めて800万円に
貴美子さんの素晴らしいところは、「貯金する」という習慣があることです。
減らした支出4万円は貯金に回し、今までの貯金と合わせ毎月5万円のペースで退職までの8年間貯めます。ボーナス時20万円のペースも維持。残ったボーナスは旅行など自分のご褒美に使ってOKです。
あまりガチガチにしてしまうとリタイアしてしまいますので少し緩い部分もあっていいのです。
これらを続けるだけで…
今までの貯金300万円と合わせると1100万円を60歳までに確保できます。
退職後再雇用になってから収入が手取り20万円、ボーナスなしになりそうとのことだったので60歳から65歳までは月2万円貯めるペースにします。
運用せずただ貯めるだけで、1100万円+120万円=1220万円になるのです。
アドバイス3・一部を運用できればなお盤石です
ただ貯めるだけでもかなり明るい未来が見えてきました。
さらに検討したいのが運用です。
毎月5万の貯金のうちの一部、毎月2万円だけ「つみたてNISA」などで3%13年間運用すると、312万円が381万円になります。
もちろん、運用にはリスクもあるので自分の許容範囲で行うべきですが、一部運用することも検討しましょう。
金融庁のサイトで運用のシミュレーションができますので、参考にどうぞ。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/moneyplan_sim/index.html
アドバイス4・年金を増やすために「受取時期を遅らせる」
65歳から受け取る年金は決められた額ですが、受取時期を遅らせると自分で金額を増やすことができます。1ヶ月あたり0.7%増えるので1年で8.4%増えるのです。
現在の普通預金金利が0.001%ですので、8400倍の利率です。
現在70歳まで最長5年繰り下げ受給できるので42%増やすことができ、2022年4月以降75歳まで延長できるようになります。
資金に余力があれば、少しでも受取時期を繰り下げるとその後受け取る年金額を一生アップさせることができるのです。
もし、早く寿命を全うしてしまったら元がとれないという心配もあるでしょう。おおよその損益分岐は86歳以上です。
現在の平均寿命が87歳ですから、平均的な寿命を全うできれば繰り下げ受給は現実的な年金を増やす方法といえます。
万一、繰り下げている途中で大きな病気をしてしまい余命に限界がある状況になれば、5年間まで遡って年金を請求することができます。
もちろん、受給額はさかのぼった時の支給金額になりますが、これから受け取ってもさほどもらえそうにないという場合は遡及して請求することもできることも知っておきましょう。
老後2000万問題は「毎月必要な額」で考えると急に現実的になる
厚生労働省年金局公表の「平成30年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、現在受け取っている女性の年金額はこのような割合です。
・5万円未満…7%
・5万円~10万円未満…43%
・10~15万円未満…41%
つまり、女性の半数が10万円未満で、9割が15万円未満なのです。
この給付額は、お給料でいう「額面」ですから、この額から国民年金保険料、介護保険料、所得税・住民税が引かれると手取りはさらに少なくなります。
老後2000万円問題なんて他人事と思いがちですが、女性の平均寿命が87歳なので少し余裕をみて「65歳から90歳まで」25年の間、毎月5万円貯金から取り崩して生活すると……
5万円×12ヶ月×25年間=1500万円
どうでしょうか。2000万も非現実的な数字ではないことがおわかりいただけることでしょう。
貴美子さんは、65歳までに1300万円を目標に運用しながら資産形成して、年金の繰り下げをすることで老後なんとなくやっていけそうだなとホッとされていました。
漠然とした不安を抱えず、問題を「数値」で把握して
老後の漠然とした不安を抱えている女性はとても多いです。
いくら位の年金がもらえるか、どれくらいの金額が必要なのかが把握できればそれは「漠然とした不安」から「はっきりとした目標」に変わります。
その目標に向かって具体的に動き出すことができれば、日々のやりくりも貯金もやりがいがでてくることでしょう。自分ごととして一度しっかり向き合って老後のこと考えてみませんか?
≪ファイナンシャルプランナー(CFP🄬) 稲村優貴子さんの他の記事をチェック!≫
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