今井翼、約1年半の療養を経て語る「過去・現在・未来」

歌に、芝居に、踊りに……。ドラマや舞台などを中心に表現者として幅広く活躍している今井翼さん。4月に幕を開ける新たなミュージカルへの意気込みや自身の過去・現在・未来について語っていただいた。

 

ゴヤ絶望の中から生まれた芸術性が、ゴヤの魅力

1995年に芸能活動を始め、以降、テレビドラマや舞台などで俳優としてもチャレンジを続けてきた今井翼さん。そんな今井さんが約１年半の療養を経て、４月から舞台の主演に挑む。タイトルは『ＧＯＹＡ-ゴヤ 』。「スペイン最大の画家」とも称されるフランシスコ・デ・ゴヤの生きざまを描いたオリジナルミュージカルだ。

 

ゴヤは18世紀半ばに生まれ、フランス革命やナポレオンとの戦争など激動の時代を生き抜いた異色の画家として知られる。

 

「若い頃のゴヤは出世欲が強く、権力を利用して宮廷画家にのし上がっていきます。でも、最後には彼の実力が認められたからこそスペイン最大の画家にまで上りつめられたはず。だから僕はゴヤがまだ青かった時代と、もがきながらも人間らしく生きる道をつかみ取っていった彼の人生を、この作品ならではの『画家・ゴヤ』として描いていきたいと思っています」

 

ゴヤは40代でようやく画家としての地位を得たものの、人生の半ばで聴力を失ってしまう。今回の舞台では、出世をもくろみ、自分の信じた道を突き進むゴヤの野心と策謀、そして聴力を失い自暴自棄となりながらも、再び描くことへの情熱を取り戻すまでの愛と葛藤が描かれる。

 

「名だたる画家の中には天才とか奇才とかいわれるタイプがいますが、僕はゴヤは普通の人間だったんじゃないかと思うんです。自らの病によって絶望感を抱き、もがき苦しんだ末に自分の病を現実として受け入れた。だからこそ、何者にもとって代われない彼ならではの芸術が生まれたんじゃないか、と。それこそがゴヤ本来の魅力なのかなと僕は思っています」

 

ミュージカル『ゴヤ－GOYA－』

 

ゴヤが描いた写実的なヌード「裸のマハ」は、スペイン画壇でスキャンダルを巻き起こした。

スペイン最大の画家と名高いフランシスコ・デ・ゴヤ。混沌とした社会の中で芸術家として大成する波瀾万丈の生きざまを描くオリジナルミュージカル。原案・脚本・作詞／G2　演出／鈴木裕美　作曲・音楽監督／清塚信也出演／今井 翼、小西遼生、清水くる み、山路和弘、キムラ緑子 他4月8日（木）～29日（木・祝）東京・日生劇場、5月7日（金）～9日（日）名古屋・御園座

 

病で立ち止まることが、自分を知るきっかけに

シャツ2万円＋税／ato（SianPR）☎ 03-6662-5525　ジャケット11万円＋税／beautiful people（ビューティフルピープル 渋谷パルコ2F）☎03-6452-5622　靴 参考商品／［Milok］（GOOD LOSER）☎ 03-6455-1440　その他／スタイリスト私物

 

苦難の末に光を見いだした偉大な画家の生きざまに、今井さん自身、重なるものがあるという。今井さんもまた病を患い、１年余りの休養を経て昨年２月、システィーナ歌舞伎『ＮＯＢＵＮＡＧＡ』で舞台復帰を果たした。

 

「苦難を乗り越えようと思えば思うほど苦しくなる。だから乗り越えるのではなく、一度立ち止まってでも、自分と向き合う・自分を知るという気持ちでいることが大事だと思います。今後も自分の体をしっかり管理していきたいと思っています」

 

自他ともに認める完璧主義者。だが病を経て、元来の性格にも少し変化が表れたと自己分析する。「作品をつくるのは１つのチーム。各セクションの方々がいて僕が生かされているわけだから、僕は自分がやるべきことに集中するべきだ、と。気になる部分があったとしても、自分の管轄外のことはお任せするというように考えれば、本来自分が悩むべきことに集中できる。そんなふうに思えるようになりました」

 

──今井翼さんのインタビューはまだまだ続きます。続きやプライベートスナップは、発売中の『ゆうゆう』2021年4月号に（こちら）を。是非チェックしてみて下さい。

【プロフィール】

いまい・つばさ●1981年、神奈川県生まれ。95年より芸能活動を始め、歌手、俳優、タレントとしてテレビや舞台など多彩なジャンルで活躍。舞台でフラメンコと出合い、本格的に勉強を開始。休業期間を経て昨年、システィーナ歌舞伎『NOBUNAGA』で復帰。NHK大河ドラマ「麒麟がくる」、ドラマ「おじさんはカワイイものがお好き。」（日本テレビ系）などに出演。

 

 

撮影／中村彰男　スタイリング／渡邊奈央（Ｃｒｅａｔｉｖｅ ＧＵＩＬＤ）
ヘア＆メイク／中谷圭子（ＡＶＧＶＳＴ）　取材・文／本木頼子

 

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