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【岩井志麻子】「不倫する男」にあるモノ、「不倫する女」にないモノとは?

OTONA SALONE / 2021年4月6日 21時0分

もちろん男女の区別がないあれこれもあるし、何事も十人十色ではあるけれど。

男が不倫するのって、俺様ってイケてる、僕はまだ若いんだ、といった自信がまずはあり、その自信の裏打ちとして若くきれいな女を求める、というのが多いんではないか。
しかし女は、何かしら内外に不安や不満があり、自信のなさを補完したくて、若くなくても金持ちでなくてもイケメンでなくても、とにかく私を誉めてくれ求めてくれ愛してくれる男を探す、というのが多いように見受けられる。

男には自信があり、女には自信がない

知り合いを例に出すが、六十後半のA男は社会的地位も学歴も収入も申し分なく、誰からも美人といわれる奥様とお嬢様がいる。イケメンではないが、いかにもパワフルな風貌と言動で、大勢の人に慕われている。そして、今は孫みたいな年頃の愛人に夢中だ。

B子はもうすぐ三十路で、職場結婚したばかりの同い年の夫がいる。今どきのファッションと化粧でギャルっぽくも見えるが、真面目で仕事もできる。
しかし、厳格なお堅い親から「お兄ちゃんは優秀なのに、お前は落ちこぼれ」といわれ続け、虐待などはなかったが、誉められたこともないそうだ。夫とは彼女の片思いから始まり、追っかけまくったそうで、「今も私の片思いみたいな関係」と自嘲する。
そんな夫に隠れて合コンや出会い系にハマり、パパ活や風俗バイトまでしている。

 

男には恐怖、女には自己愛

この二人を見ていると、私の「男女における不倫の違い」の定義にぴたりと当てはまっていそうで、そうでもないのが趣深い。

A男はあらゆるものを手に入れたが、老化とその先の死だけは避けられないのを実感するようになり、若い女と一緒にいることでその恐怖から逃れようしているのではないか。

B子は親に溺愛はされず、夫にも熱愛してもらえず、今一つ自分に自信が持てないため、たくさんの男に会って可愛いきれいといわれたいようだが、実は自分大好きの自分第一で、とにかく不特定多数の男にチヤホヤされるのが純粋に快感なのだろう。

いっそ、この二人が出会って組み合わさったらと想像してみたが、うまくはいかないだろう。A男にとってB子のどこか暗い自信のなさは、裏打ちとして機能しないし。B子にとってA男の俺様気質は、チヤホヤしてくれないから補完にはならないのだ。

 

≪作家 岩井志麻子さんの他の記事をチェック!≫

 

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