更年期ってどう終わりましたか?59歳「2度の更年期」の末にたどり着いた結論は
OTONA SALONE / 2021年4月18日 20時1分
オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。
【100人の更年期#46後編】
私やっぱり、日本が合わない…馴染めないまま48歳で再び更年期障害が
42歳で会社を退職、思い切ってニューヨークに留学したNさん。45歳のときに子宮ガンが見つかり、現地に滞在したままホルモン治療を選びました。疑似更年期に襲われながらも治療が終わり、デザイン学校も時間をかけながら卒業することができました。
「卒業後も日本には戻る気にならなかったのですが……高齢の母の世話をしている姉から戻ってきてほしいと言われ、仕方なく帰国準備を始めました」
しぶしぶの帰国でしたが、やがてつてを頼ってフリーランスでジュエリーデザインを手がけるようになり、しばらくすると仕事も軌道に乗ってきました。すると、デザイン学校での経験を活かして服飾の仕事にも声がかかるようになりました。
「そこからは絶好調。通販番組のゲストとして招かれたり、テレビでのスタイリングを担当したり。こうして仕事が順調に回ると、自分が必要とされている心地よさが戻ってきました」
でも、やっぱり日本の社会の窮屈感を感じ始めます。
「目立つようになったら、出る杭は打たれるんですね。良かれと思って言ったことが誤解されたり、行動が空回りして悪目立ちしているって言われたり……自分らしく振舞っているだけなのに、型にはめられていくんです」
自分のあり方のギャップに苦しんだというNさん。そして、ついに本当の更年期がやってきました。
「毎朝、だるくて起きられない。ホルモン療法を終えてから再開していた生理が不順になる。そんな、ニューヨークで経験した疑似更年期の不調が戻ってきたんです。
クライアントとのミーティングの時に、なかなか気持ちが伝えられず泣き出したこともあります」
ニューヨークでの人間関係はフランクで何でも言えたのに、日本では仕事をもらっているんだからこちらが我慢しなくてはならないという意識が根強く、我慢が積もり積もった感じでした。
「そんな調子だったので、どんどんと大型のクライアントとの仕事が減っていきます。こんなはずじゃなかったのに、どうして母語なのに自分の気持ちが伝わらないんだろう、と感情のジェットコースターに乗っているみたいでした」
必用なのは「自分の思い込みを変えること」だった。49歳、更年期はチャンス
本当の更年期がやってきてから半年ほど経った頃、Nさんは「アドラー心理学」と出会います。
「本をサラサラと読んでみて、あれ?自分のことが書いてある?って思ったんです。
更年期ってホルモンバランスからくるのもあるけど、むしろ心理学で自分を理解してあげれば楽になるんじゃないかって」
身体はホメオスタシスという恒常性を保とうとする機能があるから、心理学的に自分を楽にしてあげればいい!そう気持ちを切り替えたNさん。そこからは再び雲が晴れていきます。
「会社相手の理不尽と感じる取引でイライラが募るのならば、自分を求めてくれる個人のクライアントを探せばいいんですよね。
できないことがあるなら、その時にできることを考えればいい」
周囲に合わせるのではなく、まずは自分が楽になる方法を最初に考えよう。そう行動し始めると、だんだん思考そのものが変わっていったそうです。
「1回目と同様、滝汗、そして太る、同じような症状に苦しみました。でも、擬似更年期の時に不調は味わっているんだから、2度も経験できるなんて逆に珍しいじゃない? これって私だけなんじゃない? とポジティブに考えられるようになっていったんです」
結局、本当の更年期は、自分の考え方を変え、メンタルを安定させることで対処したNさん。婦人科への相談も、漢方も、これといった対症療法はしないままでした。
「更年期症状は本当に人によりけり。私みたいなケースもあるんだな、くらいに思っていただいて、辛いなら我慢せず治療を受けてほしいです。
でもね、禍福は糾える縄の如しと言いますが、悲しいこと、不幸なことのあとには、同じくらいの量の嬉しいこと、幸せなことが訪れるはずです。気持ちを切り替えたあとは再び運命が好転しました」
今は新たに、アクセサリーだけでなく、ファッションやメイクなどをトータルでアドバイスをする仕事もしています。なかなか相談する相手がいない同世代に、口コミでどんどん広がっているのだそう。
また、引きこもりの若者と対面して、外見を変え、ポジティブシンキングに導くという、まったく新しい分野のお手伝いもするように。
自分の身体の不調もポジティブに捉えるようになったら、飾らない性格が周りの人にウケ始めて自分でも驚いたというNさん。59歳の今、更年期はもう卒業して頭も身体もクリアです。
「もうすぐ還暦ですが、もっともっと活動量を増やして、私を受け入れてくれる場を探していきたいです!」
そう、余裕の笑顔をみせてくれました。
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