あのね、私不倫してるんだ。あまりにも罪悪感のない人妻の意識は
OTONA SALONE / 2021年5月11日 22時0分
後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。
不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。
【不倫の精算#30前編】
「家庭内別居」は非常によくある。ここにもまた、もう1つのお話
43歳のMさんが不倫にハマったのは、夫との不和が原因だった。
一人娘の育児から家事などほとんどをMさんはひとりで担う。仕事をして生活費を入れるだけの夫にはすでに愛情はない、とはっきり口にしていた。
「家事なんて、週に2回のゴミ出しだけなのよ?
それすら忘れるときがあって、でもごめんの一言もないの」
呆れたように肩をすくめて話すMさんは、その日有給の消化で午後から休みをもらっていた。
「娘が産まれてからね、変わったのは。
おむつを替えるのは面倒くさい、泣かれてもうるさい、大変なことはしたくないって丸出しで。
それまでは仲がよかったのよ、これでも」
待ち合わせたレストランで、Mさんはお肉がメインのランチメニューを選んでいた。
「今日は、これから?」
そう言うと、ぱっと笑顔になる。
「そう、13時から。
ワクワクする」
からっとした表情で笑うMさんは、切り分けたステーキをためらいなく頬張った。
あまりにも罪悪感がなさすぎる、いっそほがらかな不倫
「ねえ、不倫ってどんな感じなの?」
少し前に、Mさんから電話でこんな質問を受けていた。
「うーん、本当に人それぞれだね。
相手が独身とか別居中とか、いろんなケースがあって」
こちらが不倫の記事を書いている、当事者に取材していると知ると、こんな質問をしてくる人は多い。
“よくあること“とは思っても、実際はどんなものなのか、みんな興味があるのだ。
「女性って、やっぱり自分の旦那に罪悪感って持つもの?」
そのとき、Mさんは重ねてこう尋ねていた。
「いや、それは、うん、人による」
短く切るのは、簡単に答えが出ない部分であり、「ない」と言い切る女性でも実は内心で大きな葛藤を抱えていることが多いからだ。
「そうか、そうだよね。
あのね、私、不倫しているんだけど」
あっさりと告げられた事実に、思わず口が開いた。
「え?」
「私、旦那に対して悪いとかまったく思わないのよね。
これって、変なの?」
それで、会って話そうということになり、Mさんが有給を取る日にランチを約束したのだった。
そんな都合のいいことを…「既婚者でも不倫する理由がある」
Mさんは、ある会社の総務部に15年以上勤務している。
娘さんは中学生。元気よく挨拶をする姿を思い出していた。
夫とは顔を合わせたことはないが、以前Mさんの家に食事で招かれたとき、夫の私物と思われるものが少ないリビングを記憶している。
「相手は友達の飲み会で知り合った人なんだけどね」
Mさんは、お店で注文を済ませるなり勢い込んで話しはじめた。
飲み会とはいわゆる合コンのようなもので、既婚のMさんは人数合わせとして呼ばれたものらしい。
そこで隣に座った既婚の男性と意気投合し、すぐに連絡先を交換してやり取りがはじまったそうだ。
「向こうも奥さんとは仮面夫婦らしくって、冷めた家庭についていろいろ打ち明けることができたの」
聞いていると、既婚の彼とMさんの関係は順調に進んでいた。
LINEで二週間ほど話し、また会おうということになり、週末の居酒屋で待ち合わせをする。
そこまでとんとん拍子と言えるくらい簡単にまとまる流れに、違和感を覚えた。
「向こうは、奥さんとか自分の家族のことはまったく気にしていなかったの?」
そう尋ねると、Mさんはうなずいた。
「そうね。
私たち、既婚者でも不倫する理由があるんだよねって、そんな話ばかりしていたから」
「似たような境遇の男女」が出会ってしまった
最初から不倫に対する後ろめたさのなさを確認しあっていたのなら、関係が深くなるのは早いだろう。
常に「隙あらば」「相手さえいれば」と無意識に思っている既婚者ほど、実現する機会を目の前にすると大胆になる。
Mさんと既婚の彼も、出会ったときからすでに「そんな相手」としてお互いを見ていたのは明白だ。
スムーズに約束ができること、そして本当に実行できること。
配偶者と子のいる家庭であっても、ためらわずに不倫関係を選べる人は、自分のいびつさに気が付かない。
配偶者以外の異性と肉体関係を持つことの異常さを忘れるほど、夫婦や家庭への愛着を失っているのだ。
Mさんが以前尋ねた疑問、
「不倫する女性は夫に対して罪悪感を持つものか?」
という言葉は、持たない自分を客観的に見ているからだった。
「既婚者でも不倫する理由がある」
この言い訳は、それを楽しむことを責められたくない、という不倫する側の都合のいい開き直りと感じた。
Mさんは自分の不倫話を聞かせてどうしたいのだろうか、とふと思った。
その答えは、デザートが運ばれてきたときに明らかになった。
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