「甘栗の頂点」京都の専門店、林万昌堂の天津甘栗【近藤サトのセンスがいいおすすめ手土産】
OTONA SALONE / 2021年5月24日 22時0分
あぁ、買えなかった
その日の日付を見てもしかしたらと思い、日本橋高島屋の銘菓百選に電話をかけた。
「林万昌堂の甘栗はまだありますか?」
「昨日入荷でしたから、さっきまで一つ二つあったような…ちょっとお待ちください。あっ、すみません売り切れです」
やっぱりもう無かったか。
毎月第2・第4金曜日に京都の甘栗専門店、林万昌堂の天津甘栗が数量限定で入荷される。入荷日に行けば大抵買えるが、日を跨いでしまうと売り切れてしまっていることも多い。
私は甘栗のみならず、和栗やヨーロッパの栗菓子も大好物だが、中でも何が一番好きかと言われればやっぱり天津甘栗である。ただし、あらかじめ剥いてあるものは、ワクワク感が味わえないという理由であまり買わない。
「林万昌堂は別格」ほかの甘栗は明らかに違う
ぴかぴかに光る天津甘栗の鬼皮をパカっと割って中からぷっくりとした飴色つやつやの甘栗が顔を見せたときのあのときめきは、何百個剥こうが、褪せることがないのだ。
そんな甘栗好きの私が、いつもと変わらぬ心持ちで林万昌堂の甘栗を初めて食べたとき、「嘘でしょ?」と唸った。私が今まで食べてきた甘栗は甘栗でなかったのか、それとも林万昌堂の甘栗が全く別物なのかどっちなのだろう。でも前者だと、甘栗が大好物で正月には必ず娘の私と炬燵にあたりながら「天津甘栗早むき競争」を繰り広げた、今は亡き父がだいぶかわいそうなので、後者だということにした。
別格なのだ。
すでに剥く前から栗の形、太り具合、照り、全て揃って姿が良く、どれもこれも粒揃いは一目瞭然。職人の気概がビシビシ伝わってくる。肝心の味はというとこの上なく品がいい。甘栗と言っても甘けりゃいいってもんじゃない。甘味に加えて栗本来の旨味を熟練の焼き加減でバランスよく引き出しているから、甘い栗を食べているという感覚ではなく、甘いがとても美味しい栗を食べていると次第に分かってくる。
この天津甘栗は、皿にてんこ盛りにして競って剥きながら食べるものではなく、自然の恵や人の手の有り難さに感謝しつつ、じっくり味わう逸品であり、甘栗の頂点なのだ。
こだわり抜いた職人技を味わう贅沢
ところで天津甘栗というのは、なんとなく中国産の甘い焼き栗の総称と思われているが、栗自体は河北省原産。古来より中国貿易の拠点だった天津から輸出された栗だったため日本でそう呼ぶようになったそうだ。
和栗よりずっと糖度が高く中国でも貴重な高級栗が、甘栗として伝わったのが1900年代、同じく海外貿易の拠点であった神戸の南京町が最初だという。以降歴史の中で輸入が途絶えたこともあったが今私たちが美味しい天津甘栗を食べられるのは平和な時代のあかしでもある。
そんな河北省の高級栗の中でも林万昌堂が使用している栗は栽培に適した土壌と気候を兼ね備えた青竜満族自治県の河北栗子と呼ばれるもの。それを日本に輸入し、さらに厳正に選別がされ、熟練の職人が焙煎、河原町の店頭に並べられる。さらに売るのはその日に焙煎したもののみで「宵越しの甘栗は販売しない」という一徹ぶり。
ただ買いに行けない人のためには焼き立てを発送直前に真空パックにして、デパートやオンラインで販売している。ありがたいことだ。
手土産にする相手に応じて袋入りから木箱入りかを選べるのも嬉しい。
近藤サトさんのおすすめ手土産
じっくりと時間をかけて厳選した素材のみを使い、伝統の焼き技法により丹念に焼き上げた甘栗。程よい食感と上品な甘さが噛みしめるほどに滋味深く、また自然の豊かな風味が広がります。発送直前に焼き上ったばかりの甘栗を封入するので、袋を開けると甘く芳ばしい香りがふわりと立ちのぼります。写真の厳選大甘栗で通常粒の1.5倍の大きさの栗を使用。
厳選大甘栗 200g 860円/300g 1,290円/450g 1,940円/
600g 2,580円/900 g3,870円/1,500g6,450円 (すべて税込)
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