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「10時に駅に伺います」が微妙にNGなワケ。「行く」の敬語いろいろ

OTONA SALONE / 2021年7月12日 11時30分

対象によって変化する敬語はいくつかあります。「行く」もその一つ。尊敬語の「行く」と謙譲語の「行く」は言葉が違います。また謙譲語の「行く」にはさらに使い分けが。今日はそんな「行く」の敬語をチェック!

 

問題です。図の四角には、「行く」の敬語が入ります。何か分かりますか?

 

ここでパッと答えが出た人は優秀ですね!
実は、最近の学校(2008年~)では、敬語の分類は5種類で教えています。
尊敬語、謙譲語、丁重語、丁寧語、美化語です。
私が小中学生の頃は、丁重語と美化語はありませんでした。
今日答えてもらうのは、「行く」の謙譲語と尊敬語です。
「行く」の尊敬語は3パターンあります。謙譲語はさらに2種類に分かれます。

まずは、尊敬語の方の答えを……

 

どうでしたか?答えられましたか?

これは割と簡単だったのでは。

 

それでは、次の問題です。

謙譲語の方です。謙譲語は2種類あります。

ヒントとして、最初の1文字を表示しました。

これなら分かる人も多いのでは?

 

どうでしょう? 分かりましたか?

さて、正解は……

 

「行く」の謙譲語は「伺う」「参る」の2種あります。まずは「伺う」の説明です。

 

謙譲語Iについて「敬語の指針」文化庁より

「先生のところに伺いたいんですが…… 」と述べる場合 「先生のところに行きた いんですが(先生のところを訪ねたいんですが)…… 」と同じ内容であるが 「行く(訪ねる 」の代わりに「伺う」を使うことで )「先生」を立てる述べ方になる。この ように 「伺う」は <向かう先> に対する敬語として働く。この種の敬語は,一般 に「謙譲語」と呼ばれてきたが,ここでは「謙譲語II」と区別して,特に「謙譲 語I」と呼ぶこととする。

 

つまり「伺う」は <向かう先> に対する敬語ということですね。

それに対して「参る」は謙譲語Iです。

 

謙譲語IIについて「敬語の指針」文化庁より

「明日から海外へ参ります 」と述べる場合 「明日から海外へ行きます 」と同じ内容であるが 「行く」の代わりに「参る」を使うことで,自分の行為を,話や文章 の相手に対して改まった述べ方で述べることになり,これが,丁重さをもたらすことになる。このように 「参る」は<相手>に対する敬語として働く。この種の敬語は 一般に 謙譲語 と呼ばれてきたが ここでは謙譲語Iと区別して,特に「謙譲語II」と呼ぶこととする。

 

そう、「参る」は<相手>に対する敬語なのです。

  • 尊敬の対象が話題の主の場合、「伺う」を使う。
  • 尊敬の対象が聞き手の場合、「参る」を使う。

このように覚えると良いでしょう。

 

そして、この二つの条件が重なる場合もありますよね。そう、話題の主がまさに今話している相手だという場合です。

この場合は、どちらでも可です。

例えば、先生と話していていて、先生の家に「行く」なら

「先生のお宅に伺います」でも「先生のお宅に参ります」でもどちらでもOKなのです。

 

冒頭の「10時に駅に伺います」がなぜ微妙にNGかというと、駅は話題の主ではないからですね。

駅に誰かと待ち合わせをしている場合、「10時に駅に参ります」が適切というわけです。

もちろん、駅で働いている人、駅の所有者?なら「伺います」でもOKです。

 

日本語は奥が深い言語です。「日本語って難しい!」の一言で終わらせず、少しふんばって考えてみるのもお勧めです。

 

≪国語教師・文章コンサルタント・文章力養成コーチ 松嶋有香さんの他の記事をチェック!≫

 

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