オミクロン感染のピークは節分ごろ?現場看護師が「危惧すること」とは
OTONA SALONE / 2022年1月19日 22時1分
「あまりに感染力が強いため、南アフリカのように国民の7割が感染して自然にピークアウトということもあり得るかも。ちなみに、いま私たちのいる現場では、感染のピークは節分ごろではないかと感じています」
こう語ってくれたのは、関東近県の宿泊療養ホテルでコロナ陽性者の健康観察を担う看護師、山下麻衣子さん(仮名・35歳)にこの1年の流れを聞きました。後編です。
(個人特定を避けるため一部を編集していますが、コロナの病状にまつわる部分はご本人の体験通りです。また、体験を可能な限りそのまま迅速に伝えることを目的とするため、内容は生の声をそのまま納め、感染症専門家の査読を経ていません。趣旨ご理解の上お読みください)
味覚や嗅覚の障害が少ない。ワクチン接種済でも感染割合は同じ
腹痛が出ると言われることも多い第6波ですが、もともと発熱・咳・呼吸苦・1日3回以上の水様下痢がコロナの典型症状。オミクロン株でも下痢を訴える人は一定数いるものの、その割合は第5波までと変わらない印象です。
「第5波でも腹痛は2割3割の人が訴えていて、それは変わらない印象です。第6波は味覚嗅覚の障害が少ないのですが、ゼロでもありません」
ですが、そもそも何株なのかがわからないというのも現状。現在のところデルタ株でなければオミクロン株として扱っています。
「とはいえ、デルタではないと保健所から連絡が来るのは3割程度。私は何株なんでしょうと言いながら退所していく人が多いくらいに、保健所のゲノム解析のキャパも溢れています。検査数にもキャパがありますから、この指数関数的な増加だと感染者数の把握そのものが難しくなる可能性も?」
ワクチン接種の効果はどうでしょうか。ブレイクスルー感染という言葉も聞こえてきます。
「2回目を接種してから2週間以上経過した人を完了と数えていますが、正直、接種と未接種の差を感じません。打っているから軽症なのだと言われるのはその通りでしょうが、打っていなくても軽症なんです。たとえば、発熱者はだいたい50人に1人、眠れないほど症状が辛そうな人は2人。中には下痢やめまいがします、ものの味が薄いですという人もいるものの、これならばインフルエンザにり患するほうがつらい可能性もあります」
それだけ感染力の強いオミクロン。自分たちが看護の現場で感染する恐怖と紙一重ではないのでしょうか?
「いえ、それはありません。感染者と医療関係者の導線は交わらないように設計されていますし、私たちはリスクに応じて防護服を着るので感染の可能性はほぼありません。それよりも、これだけ市中感染が多いとなると、いまは通勤の電車の中で感染するリスクのほうがはるかに高いのでは。密な満員電車に乗るたびにヒヤヒヤします。在宅勤務ができる人はできるだけ在宅できるといいですね」
2月末には収束しそうな気配だが、最後のリスクは子ども層か
前述のとおり、現場に第5波のような悲壮感はないものの、ワクチン未接種である子ども層の感染が未知である点は危惧されています。
「冬休みが明けて、学校での感染数がどのくらいまで増え、どんな症状が出てくるのか。大人はワクチン接種の有無に関わらず症状が出ていますが、12歳未満の子どもは100%打っていません。身体の弱い子、基礎疾患を持つ子もいるので、なるべく大人が市中感染を広げないよう努力をしたい。また、高齢者の感染も少しずつ増え始めました。母数が激増すると医療リソースもおのずと逼迫するので、不安がないといえばウソになります」
ただし、第5波以降、抗体カクテル療法など、治療手法も確立されつつあります。決して楽観はできないものの、過剰に恐れる必要もありません。
「感染者の差別などもってのほか、いまPCR検査を受けてみたらあなたも……?と脅しではなく思います。重症化リスクのある方の治療を圧迫しないよう、できるだけ感染リスクを減らして、でももう経済は止めずに、うまく世の中をまわしていけたら私たちもうれしいです」
そう山下さんは締めくくりました。
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