コロナが時間の動きを変えた。不倫する二人の末路【不倫の精算#34前】
OTONA SALONE / 2022年1月26日 22時0分
後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。
不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。
【不倫の精算#34前編】
既婚女性が気づいてしまった「不倫相手の様子がおかしい」
Qさんから久しぶりにLINEでメッセージが届いたのは、新型コロナウイルス感染症対策での会食規制が緩やかになった頃で、地域の感染者数も1桁台か0が報道されていた。
そろそろ外食もできそうかな、と親しい友人たちと話していたので覚えているが、Qさんから挨拶もそこそこに「電話してもいい?」と質問が飛んできたときは、“再会”を楽しむ雰囲気ではないことが伝わった。
もちろんいいよ、と返したらすぐに着信があり、出てみると
「急にごめんなさい、どうしても不安で……」
と上ずったQさんの声が流れてきた。
既婚のQさんは37歳、夫は自営業で自身はその事務のお手伝いをしており、最後に話したときは経費について個人事業主の私との違いで盛り上がった。
「どうかしたの?」
と尋ねると、
「私が不倫している人の話、覚えている?」
と間髪入れずに返ってきて、そっちか、と記憶をたぐる。
Qさんの不倫相手は同じく既婚の男性で、知り合ったのはQさんの友人が経営するバー、たまに見かけるくらいだったのが気がつけば親しくなり、情熱を覚えたまま肉体関係を持っていた。
「覚えてるよ、会社員の人だったよね?」
そう答えると、「うん」とうなずいたQさんは
「この間久しぶりに連絡したんだけど、何だかすごく冷たくて。
こういうときって、どうすればいいの?」
と、早口で尋ねてきた。
揺れる口調にQさんの動揺を感じながら、詳細を聞くことにした。
半年ぶりに連絡をとった不倫相手が明らかに冷たいときに
「市の警戒レベルが下がったじゃない?
感染者の人数も落ち着いているし、私、やっと会えると思って彼にLINEを送ったの。
そうしたらすぐに既読がついて、『久しぶりだね』って返してくれたのだけど、こう、ずっと他人行儀なのね、書き方が。
『寂しくなかった?』って私が送ったら、『仕事が忙しかった』とか『飼い犬が病気になって』とか、はぐらかすのよ。
会うような話なんて全然出なくて、そのときはすぐ会話が終わったの』
Qさんの声には戸惑いが見えた。
自分と同じように逢瀬を楽しみにしている様子が不倫相手になければ、不安になるのは当然だ。
“ああ、警戒されているな”と男性の状態を聞いて思ったが、それは言わずに先を促すと、
「それで、そのLINEから三日後だったかな、また私のほうから送ったのね。
電話してもいい?って。
『後で』と言われて、その時間に彼からかかってきたのだけど、何ていうかすごく距離を感じるというか……。
私のことを名字にさん付けでずっと呼ぶから、最初は奥さんに聞かれるのを心配しているのかなと思ったけど、結局最後まで会う話は出なくて。
前なら『後でご連絡します』って必ず言ってくれていたのに、この間は『それでは』であっさり終わり。
ねえ、これってやっぱり冷められているの?」
「……」
聞く限り、関係を続けることに前向きな気配が男性には感じられない。
電話に応じたのは、Qさんの状態を知りたかったのと、“温度差”を伝えるためのような気がする。
呼び名を以前と変える慎重さがそれを思わせて、いわゆる“塩対応”で彼女を遠ざけようとしているのかもしれなかった。
関係に“取り残された“既婚女性の気持ち
「離れている間、連絡は取っていないって言っていたよね?」
思い出しながら尋ねると、
「うん、お互い家庭もあるし、あのときは『会えないなら連絡しても仕方ない』って私も思っていたから。
こっちは旦那の仕事の手伝いで忙しかったし、あの人も在宅になったとかで環境が変わったって言っていたから。
でも、私はずっと、また会えるときを楽しみにしていて……」
答えるQさんの声は小さくなる。
自分はコロナが落ち着けばまた会えることを信じて疑わなかった。連絡がなくても、彼も同じ気持ちだと思っていた。
その信頼が裏切られた可能性と、“自分だけが彼との関係を望んでいる”現実が、Qさんを苦しめているのだった。
「もう少し様子を見たほうが」
「諦めたほうがいいのかなあ?」
こちらの声にかぶせるように流れてきたQさんの言葉に、彼に向けていた期待の深さが見えるようだった。
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