不倫相手が「浮気」していた…軽すぎる既婚男に手を出した彼女の末路【不倫の精算#37】前編
OTONA SALONE / 2022年2月9日 22時0分
後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。
不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。
不倫相手の“浮気”に愛想を尽かした独身女性
Tさんから電話がかかってきたとき、そういえば連絡があるのは半年ぶりくらいだなと思いながら着信のボタンをタップした。
「久しぶり!
どう? 元気にしている?」
スマートフォンから流れてくる快活な声は以前と変わらずで、懐かしさにテンションが上がるのを感じながら、しばらくお互いの近況について話していた。
バツイチで子どもがふたりいるTさんは43歳、よく顔を合わせていた頃は仕事にジムにとエネルギッシュに動く姿が印象的だったのを覚えている。
「ねえ、○○さんのこと、覚えている?」
話が一段落ついた頃、改まった口調でTさんがある男性の名前を出した。
「ああ、はい」
私も見たことのある男性だったが、ふと不穏な予感がしたのは、Tさんはその既婚男性と以前不倫関係にあったのを思い出したからだった。
まだ続いているのか、と思ったら、次の言葉に声を失った。
「あの人、私以外の女性とも不倫していたのよ」
「……」
頭のなかで当時の男性の姿がぐるぐると回り、Tさんがいる場でも別の女性に気安く声をかけていた場面が蘇ったとき、“そうだ、あの頃も軽い人だなと思ったのだった”とそのときの冷めた感覚が戻ってきた。
「ずっと別の人がいるのは気づいていたけど、誰かはわからなかったの。
それがね、この間やっと知ることができて」
淡々と続けるTさんの声は、怒りはないが静かな響きがかえって痛みを伝えるようで、黙ったまま聞いていた。
「それで、すぐ別れたの。
聞いてくれる?」
耳に装着したイヤホンを、改めて深く差し直した。
コロナ禍で離れている間に
Tさんの話では、新型コロナウイルス感染症の影響で気軽に外に出ることが難しくなり、普段はLINEや電話で話していたのだが、
「何食わぬ顔で私に『好き』とか言いながら、裏では別の女性にちょっかいを出していた」
ということらしかった。
「会えないのは誰でも同じはずですが、それでも浮気したいのですかね」
不倫に“浮気“があるのかどうかは別として、すでに相手がいるのにまだ別の女性を求める既婚男性の気持ちが、ちょっと理解できなかった。
「会えないから余計にほしくなるのかもよ」
こちらの言葉に低く笑いながら返すTさんの声色は、最初とはまったく別のものになっていた。
「私もそう思っていたのよ、誰と会うのも難しいだろうって。だから浮気なんてしないだろうって。
でも、あの人ね、同じ会社の人とホテルに行っていたの」
Tさんには「万が一感染したら、経路の特定で困るし不倫がばれるから」と会うのは避けていたくせに、「以前から仲が良かった」という会社の女性とはホテルに足を向けていたのだ。
不倫中の“浮気”がばれた経緯
「……ホテルに行っていた、のは確実なんですよね?」
恐る恐る尋ねると、「そう」と力強い声が返ってきて、
「この間ね、感染者も減ってきたし、久しぶりに行こうかって話になったのよ。
それで、いつも行っていたあの○○町のホテル、どうかなって言ったら『今は改装中だよ』って。
そんなこと、雑誌やチラシで手に入る話じゃない、実際に行った人しかわからないじゃない?
それで喧嘩になって、あの人が全部吐いたの」
と、そこまで話してTさんは大きくため息をついた。
そのホテルは小さな町の外れにあり、そこに用事がない限り行かないような場所に建っている。
男性は最初「たまたま通りがかって知った」と苦しい言い訳を続けていたそうだが、Tさんが「本当のことを言わないのなら別れる」という言葉で観念し、別の女性とホテルに行ってみたら改装中だったことを打ち明けたそうだ。
「ねえ、馬鹿みたいよね、本当のことを教えないなら別れると言われて浮気を白状するとか。
許すわけないじゃない、ただでさえ自分たちは不倫なのに」
そう続けるTさんの声は歪んでいたが、「不倫相手に浮気をされた事実」は、“堕ちた自分”を実感させられるに十分なことだと感じた。
その嫌悪感、不快感が、いまだTさんを苦しめているのだった。
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