「好きと言われる努力」を本当にしたの…?男が逃げる女って【彼女がモテない理由#1】後編
OTONA SALONE / 2022年2月18日 22時1分
40代。未婚でもバツイチでも、「独身」を楽しみたいと思いながら恋愛でつまずいてしまう女性たちは、どこで間違えてしまうのか。
アラフォーの女性たちが経験する「勘違いの恋、痛い姿」をお伝えします。
「無駄な恋」に時間をかけたくない。そんなこと言ってる場合?
Aさんの気持ちはわかる。
一方通行で終わる片思いなど、40代になってまでしたくない。
「両思いが前提のつながり」でこそ、コミュニケーションを楽しめる。
それは、仕事も家庭も抱えるAさんの望みであり、「無駄な恋」に時間をかけたくないのだ。
だが。
「うーん、好かれてから好きになるって、それこそ時間がかかると思うよ?」
そんな都合のいい現実はない。
バツイチで10年過ごして、異性と恋愛感情を育てる機会がどれほど少ないか、また大変か、Aさんが知らないはずはなかった。
「まあ、そうだけど」
唇を曲げてAさんは目をそらす。
「LINEでね、食事に行こうって、このお店はどう? って、いろいろ言ってくれるのね。
私の家まで迎えに来てくれて、もちろん送ってくれるしその後で電話をくれたりするのよ。
会社では仲良くできないから、LINEとか電話でいろんな話をするの。
そこまでしてくれるなら、告白は考えないものかなって……」
視線を戻してから、Aさんは熱のこもる口調で一気に話してくれた。
力の入った目を見つめ返しながら聞いていた。
「ここまでやっておいて、後で『実は好きじゃなりませんでした』とかさ、絶対にイヤじゃない?」
瞳によぎる怯えの色は、「報われない恋心」を恐れているのだった。
「好かれている証」を躍起になって探す前に、することがあるでしょ
「あのさ」
同じようにラッシーを一口飲んでから、
「それで、あなたは彼に何をしてあげたの?」
なるべく静かな口調になるよう意識しながら、そう言った。
「え?」
「自分のためにあれこれと動いてくれる人に、あなたは何かしてあげた?」
重ねて尋ねると、Aさんは唇をすっと閉じた。
さっきの言葉以外にも彼とのやり取りは聞いていたが、彼女は常に受け身だった。
デートの約束も彼が言い出すのを待ち、お店も彼が見つけてくれるまでは提案せず、送迎だって、「うちは両親もクルマを使うから、休日はあまり出せなくて」と“あえて”移動手段がないことのみを伝えていた。
それらすべてに彼は応えてくれているのに、彼女からは「私はこうしたの」がない。
“好かれている証”をいちいち確認するくせに、自分から好意を伝える言動はないのだ。
「LINEとか電話をしているけど……。
ありがとうも言うし、毎日『お疲れさま』って送るし……」
低い声で返ってきた言葉には、瞳に見た色と同じ、怯えと不安が混ざっていた。
「告白するきっかけって、何なのだろうね」
内容には触れずにそう答えたが、Aさんは無言だった。
子どもみたいな「告白待ち」を繰り返す女。男性が逃げていく
「……焦りすぎ?」
Aさんは上目遣いでこちらを見ながら言う。
「焦りすぎというか、先に好かれてから好きになるつもりって、たいてい相手に伝わるからね。
自分だったらさ、『ああこっちからの告白待ちだな』と感じる人に、好きとか言うの? って」
そんなデートをもう5回は繰り返しているのに、一向に付き合ってと言う気配のない彼に、Aさんは苛立っている。
だが、その余裕のなさが、彼の恋心を削いでいるのだとしたら。
「甘えちゃっているのかなあ」
「そうだね」
思わず間髪を入れずに返したが、その身勝手な甘えが、女性と距離を取って丁寧に接しようとする彼には窮屈さになるかもしれなかった。
ふたりの時間を聞いているとわかる、彼は「食事に行って帰る」デートしかしていない。
いま以上に距離を縮めるような“提案”はない。
あくまで礼儀正しく彼女を誘い、彼女が居心地よく過ごせることを優先してお店を考え、食事が終われば彼女を家の前まで送る。
その姿が、Aさんにとっては「好意の証」と感じるのかもしれないが、客観的に見れば“ただの食事デート“でしかなく、彼の真意などどこまでも推測しかできない。
それを確かめるなら、自分から踏み込んでいくしかないのだ。
期待は向けるものではない、コツコツと育てるものです
「時間の無駄って、わかるけどね、自分だってそんな簡単に人を好きにならないでしょう」
「うん」
ふう、と息を吐きながら、Aさんは肩の力を抜いた。
彼と出会うまで、Aさんは誰とも恋愛をしてこなかった。
離婚してすぐ新しい人を好きになれるようなエネルギーはなく、充実した仕事と安定した家庭に満足を見出してきたAさんは、やっと息をつける余裕ができて「おひとりさま」の自分を振り返り、恋に焦ったのだ。
「好かれてから好きになる」、そんな恋愛は理想かもしれないが、自分で手をかけられない恋心がいつまでもつのか、疑問だった。
「期待、しちゃったのかも」
空になったグラスを見つめながら、Aさんがぽつんとつぶやいた。
「わかるよ。人を好きになるとどうしても期待するよ。
でもさ」
その期待は、相手に向けて何とかしてもらうのではなくて、自分で大切に育てていくものだよね。
そう続けようとして、彼女の瞳にうっすらと浮かぶ虚無感のような翳りを見た。
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