既婚男性の処理係であまりに長く時間を費やしてしまった【不倫の精算#40】後編
OTONA SALONE / 2022年2月24日 22時0分
後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。
不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。
「知ってた?バツイチ子持ち女はがんばっても恋愛対象外なの」
Wさんは35歳で離婚した。仕事は順調、まだまだ女盛りといえるころだった。今だってリネンの柔らかいワンピースに身を包み肌になじむカラーで可愛らしくメイクをしている彼女は、「枯れている40代」とはほど遠い印象だ。
チャンスがあれば交際する独身男性はいたはず、と確信できるが、以前それを口にしたとき、Wさんはこう返した。
「私だって、仕事で大変なときとか息子が反抗期で手を焼いたときとか、誰かに頼りたかったわよ。
でもね、その年くらいで独り身の男って、そんな不安定な女なんて相手にしないのよ。
『わかるよ』くらいで切り捨てられて、その後は敬遠されるの。
そんな自分を見て、バツイチで子持ちってこういうことなのだな、としみじみ思ったわ」
つらさに寄り添ってくれる独身男性が、Wさんの周りにはいなかった。
仕事、息子との生活、慌ただしい毎日を送る彼女を気軽な恋愛対象からは敢えて外す独身男性の気持ちは想像できる。
付き合っても、ふたりの関係をじっくり深めていくような余裕はないかもしれない。
そう思ったら、ひとりで子どもを育てる女性など簡単に視界から外されてしまうのだ。
そんなとき、Wさんの手をしっかり掴んでくれたのが、今の不倫相手だった。
仕事で知り合った彼は既婚者だったが、ふたりが関わったプロジェクトの打ち上げで、酔ったWさんがこぼす愚痴にしっかりと耳を傾けて
「俺も子どもがいるからわかるよ。
いつでも相談に乗るから」
と、LINEのIDを交換したのがきっかけだったという。
それから個人的な話をするようになり、Wさんの関心はどんどん彼に引き寄せられていった。
多くを望まないバツイチ女性は、既婚者男性のカモでしかない
ふたりが肉体関係を持つまで時間はかからず、そのことについて「不倫はダメと思ったけれど、寂しさに負けたの」とWさんははっきりと自分の過ちを感じていた。
既婚の彼は、奥さんも同じくフルタイムで勤務しており、彼の実家近くに家を建てたので子どもたちの世話も両親に頼みやすい。仕事と嘘をついて家を空けやすい、奥さんからの理解も得やすい状況だった。
逆に言えば「その環境から逃げられない」のも事実で、自分の両親に家事も育児も押し付けて仕事を優先する妻に腹を立てても、両親によく懐き元気に育っていく子どもたちを見れば「このままが最善」となる。
Wさんと抵抗なくホテルに行けるのも、要は離婚するほどの不満はなく、でも鬱屈は溜まるから不倫で発散したいからだ。要するに既婚者に一番多いタイプの男性だった。
彼に離婚も自分との再婚も望まないWさんは、「ただ寂しいときに相手をしてくれればいい」と割り切って不倫関係を続けており、実際に揉めるような場面もなく、淡々と月日は流れていった。
その「過程」を聞いていると、お互いに楽な位置に収まって都合よく利用しあっているように見えるが、Wさんには既婚者にはない「事情」が存在したのだ。
何一つ未来がない関係に、自分から区切りをつける強さを
「50を過ぎても不倫とか、さすがにヤバいかなって」
婚活を応援する言葉が返ってきたことで安堵したのか、Wさんは気楽な口調に戻って言った。
「うーん、確かにヨボヨボになっても続けられるイメージはないですよね」
そう答えると、あははと笑いながら
「あの人は奥さんも子どももいて、幸せな老後が約束されているけれど、私は違うのよね。
息子が独立してひとりになるなら、今度こそまともな恋愛をするのがいいと思うのよ」
既婚の彼と特に喧嘩をしたわけではなく、こちらが離婚を迫っているのでもない。
それでも、「安定した関係」がかえって招く孤独がある。
「そうですね、婚活を諦める年でもないし」
相槌を打ちながら、一向に話に登場しない彼のことはあえて尋ねずにいた。
その決定を彼は承諾したのか、いま現在彼とはどうなっているのか。彼女が黙っているのはすでに蓋をしたからだと感じたからだ。
(その人にはこれから打ち明けるのですか?)
(ちゃんと別れられたらいいですね)
そこまで踏み込めないのは、彼女が自分の決意を話す相手に私を選んでくれたことに感謝するからで、ふんわりとカールされた前髪が揺れるのを見つめながら、背中を押す言葉以外は不要だと決めた。
前編>>>不倫相手はいずれ妻の元へ帰る。そのとき私はどうするの
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