大人の素直さは心のスキル。ラクに生きられる、魔法のフレーズ【有川真由美さんに聞く】
OTONA SALONE / 2022年6月23日 19時30分
つい、思ってもいないことを言ってしまう。考えすぎて素直に意見が言えない。少しの情報で、先入観で人を決めつけてしまう。人を褒めたり、感謝したりすることを気恥ずかしく思ってしまう…。
年を重ねるにつれて、私たちはどこか「素直さ」を徐々に失っていってしまいます。そんな「大人の素直さ」に着目した書籍『私を苦しめてたのは、「素直じゃない私」だったかもしれない。』が発売されて以来、話題を呼んでいます。
「大人の素直さは、性格ではなく心のスキル」。そう語る有川さんが、88の「素直になれる魔法のフレーズ」とともに、素直になるためのコツがぎゅっと詰め込まれているこちらの書籍。
今回は、著者の有川真由美さんに「大人が素直に生きるコツ」を、さらに語っていただきました。
PROFILE
有川真由美(ありかわ・まゆみ)
鹿児島県姶良市出身、台湾国立高雄第一科技大学応用日本語学科修士課程修了。 化粧品会社事務、塾講師、衣料品店店長、着物着付け講師、ブライダルコーディネーター、フリー情報誌編集者など、多くの職業経験を生かして、働く女性へのアドバイスをまとめた書籍を刊行。韓国、中国、台湾でも翻訳される。旅をするように国内外で転々と住らし、旅エッセイも手掛ける。著書に『感情の整理ができる女(ひと)は、うまくいく』『一緒にいると楽しい人、疲れる人』『なぜか話しかけたくなる人、ならない人』(PHP研究所)、『いつも機嫌がいい人の小さな習慣』(毎日新聞出版)、『「気にしない」女(ひと)はすべてうまくいく』(秀和システム)など多数。2014・2015年内閣官房 すべての女性が輝く社会づくり推進室「 暮しの質」 向上検討会委員。日本ペンクラブ会員。
素直じゃなくなるのは「怖がりすぎてしまっている」から。
そもそも、「子どもの頃は素直でいられたのに、大人になるとどうして素直ではなくなってしまうのだろう…」と思ってしまう方も多いのではないでしょうか。
それはそれで、自然なこと。素直でなくなってしまう理由の多くは、「何かを怖がりすぎてしまうこと」から来ています。子どもがあれだけ素直なのは、怖がるものがないから。やってみたい、面白そう、食べてみたい…と、自分がやりたいことにまっすぐですよね。人にどう思われるか、失敗したらどうしよう、傷ついたらイヤだと、怖がることがありません。
けれど、人生を重ねて経験が増えると、どうしても怖がるものが増えてしまいます。「辛かったな、痛かったな、恥ずかしかったな、失敗してみんなから白い目で見られたな」と、ネガティブな気持ちとセットになった経験も、たくさんあるはずです。
そう、「大人になって、素直ではなくなってしまうこと」は、そういった過去の経験から、自分を守るための生きる知恵や防衛反応でもあります。だからまず「素直じゃない自分はダメだ」とジャッジしてしまう必要はありません。必ずしも悪いことではありません。
ただ、自分を守るために「これをしたら、あの人からこう言われるんじゃないか」「自分が言っても、受け入れてもらえないんじゃないか」と、無意識のうちに相手を怖がり、不信感を持ってしまうと、途端に素直ではなくなってしまいます。
でも、そもそもそれは本当に怖がるべきことなのか、一度考えてみてください。
もし受け入れてもらえなかったとしても、長い目で見たらほとんどのことはたいしたことではありません。不要な怖がりを手放してみると、いい結果になることが多いですよ。
他人を恐れず、素直な心をオープンにして、相手を認めたり、尊重したり、ほめたり、助けたり、感謝したり……。相手を認める言葉から始めて愛を与えることで、恐れが和らいで、あなた自身も好意的な目で見られるようになります。
「ありえない!」と思うことには「なるほどね」で対処する
この書籍では、たくさんの「素直になるコツ・フレーズ」を紹介していますが、どこから始めていいかわからない…と迷われたら、まずは「違うと思ったことを、拒否するのではなく、受け入れてみる」ことをおすすめします。
日頃私たちを苦しめるストレスの原因を考えてみると、結局は「おかしいな」と思うことや、受け入れられず拒否してしまうことから来ているのではないでしょうか。もちろん、人それぞれの考えがありますから、すべての意見を素敵だと思うことは難しいと思います。そこまですべてを受け入れようと頑張りすぎなくていい。受け入れられないものに対してまで「それもいいね」までの肯定をすることは、むしろ自分の気持ちにウソをついてしまうことになります。
おすすめしたいのは、そのもう少し手前の「なるほどね、そうなんだね、それもあるかもね」くらいで一度受け入れてみること。仮にそれは違うと思ったことに対しても、反射的に「ありえない!」と思うのではなく、「なるほどね」と、存在すること自体は認めることで、ストレスを感じることが少なくなり、感情に踊らされることなく、だいぶラクに生きていけます。
人はどうしても、これまでの経験の中で作り上げられた「自分ルール」の中で生きるクセがあります。自分の考えに照らし合わせて「いい・悪い」をジャッジしようとすると、考えから外れたものに対して「ありえない、許せない」と思ってしまい、不安や怒りが生まれてしまいます。そのクセがあると、自分に対しても「これはいい・悪い」といちいちジャッジして、自分を追い詰めてしまいます。すべてをジャッジせず、一度受け入れる。すると、心がオープンになるはずです。
SNSの時代、「いいね!症候群」のようなものを少なからず抱えている人もいらっしゃると思います。いいねがもらえないと不安や寂しさを覚えたり、逆に誰かに対してもいいねをしないといけないようなプレッシャーがあったり…。でも、全部「いいね」はしなくてもいい。「なるほどね」くらいの、「ゆるい肯定」を考えのベースにすることが、素直になるための第一歩としておすすめです。
素直になるための「自分軸」は、自分との対話で見つける
素直でいて、よりよく成長するためには、まず「やりたいこと」「これからどうなっていきたいか」など、自分の軸となるものを持っておくことが重要です。
でも、日々目の前のことや誰かのサポートに一生懸命になって頑張っている人ほど「そういえば私って、本当は何がしたかったんだっけ?」と、自分を見失って、やりたいことがわからなくなってしまう…そんなこともあると思います。
もし、やりたいことが見えなくなってしまっていたら、すごく単純なことですが「ひとりの時間」を意識的に取り入れてください。「誰かといる時間」は、どうしても何かの役割を演じ、周囲によって自分を作っています。でも、いざ物理的にひとりの時間を持つと、無意識に「今日の私がとった行動は、これでよかったのかな」「明日はどうしようかな」と自分と対話をしているはずです。
「本当のところはどうしたいの?」と、自分に何度も問いを繰り返してみてください。私自身、寝る前に「本当はどうしたい?」という問いを続けています。
誰しも持っている「自分のことを、どこか客観的に見ている自分」との「ひとりミーティング」だと思うとやりやすいと思います。自分を応援してくれる、信頼できる親友のような存在の「自分」に聞かれているような立場で、自分との対話をすると、ふと本当の考えにたどり着くことがあります。
「ひとりミーティング」のススメ
私がまだ30代後半で、鹿児島の新聞社で働いていた頃。会社の都合で辞めざるを得なくなったとき、毎晩「本当はどうしたいの?」と問いかけていたところ、ある朝にふと「カメラを抱えて、世界を飛び回る自分」が思い浮かびました。突拍子もないことかもしれませんが、「本当はこうしたいんだ」と、自分の魂が本当に喜ぶ衝動にアクセスできると、不思議とあらゆるすべてが後押しをしてくれるように、流れに乗って行動に移せてしまうときが来ます。実際に、私は数か月後にその思い描いた自分になりました。
これは極端な話かもしれませんが、毎日のように自分と対話を繰り返していると、「本当にやりたいことに正直になる自分」が生活のあちこちに出てきて、毎日への向き合い方が変わってきます。もし1日でやりたいことができなくても、「やるべきことになんとなく振り回されて、いつのまにか時間が過ぎてしまう生活」から「自分がやりたいことを選び取る生活」になります。
そうやって自分に素直になって生きられる人は、なにをするにも最強です。自分の気持ちに正直で、周囲から多くのことを吸収して、好きなものを好きだと言える人は、幸せになれます。
この「素直になるコツ」は、まだまだごく一部。仕事で、恋で、そして人生で幸せになるためのコツが、書籍ではたくさん紹介されています。ぜひチェックしてみてくださいね。
≪ライター・エディター 後藤香織さんの他の記事をチェック!≫
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