「これって更年期かな…?」悩む前に知っておきたい「セルフ更年期指数チェック」って
OTONA SALONE / 2022年6月14日 16時30分
こんにちは、オトナサローネ編集部井一です。「更年期といえばオトナサローネ」、そんな私たちの更年期アンケートにいちばん多く寄せられるのが「これって更年期症状なのでしょうか?」という疑問です。じつに70%を越える人が「これって更年期?単なる不調?それとも老化なの?」と判断しにくい症状を抱えています。
そもそも更年期とはどう判断したらいいのでしょうか? 更年期医療の手引き『女性医学ガイドブック 更年期医療編(2019版)』を参考にお伝えします。
そもそも「いつ更年期に入ったのか」は、更年期も半ば過ぎるまでわからない!
「私はもう更年期なの?」とみんなが迷うその「わからなさ」は、「更年期の決め方」に原因がありそう。たとえば視力や高血圧のように「こういう数値だから私は更年期ですね!」と言えないのが難しいのです。
まず、前提条件です。更年期とは「閉経の前後5年ずつ」10年間を示します。
閉経は、最終月経から12か月経過した時点で「1年前に閉経したね」と遡って判定します。生理がなくなって1年たってはじめて「私は閉経したんだ、つまりその前5年は更年期だったんだ」と確認できるというわけです。日本人の平均的な閉経は50歳代なので、45歳くらいから更年期に入る人が多いと考えられます。
ですので、「私はもう更年期なの?」という疑問については、「45歳を過ぎていたら、結構多くの人が更年期」というのがおおむね確実なお返事でしょう。
以下ちょっと難しく、「女性医学ガイドブック」を片手に数値の話をします。「数値はいいや」の人は次の見出しまで飛ばしてくださいね。ホルモン検査数値がお手元にある人はご参考まで。
子宮摘出などで月経での判断ができない場合は、卵胞刺激ホルモン(FSH)値40mIU/mL以上、かつエストロゲン(エストラジオール・E2)値20pg/mL以下をもって閉経後と判断します。
40代に入り、閉経8~2年前は無排卵月経が増え始めます。以下すべて平均年齢での例ですが、44歳ごろからFSH値は上昇を始め、48歳ごろからLH(黄体形成ホルモン)値が上昇します。「女性ホルモンが下がる」のが閉経だというのになぜこれらの値は上がるのかというと、「卵巣機能が低下したため、脳下垂体が卵巣を働かせる刺激をたくさん出すから」からです。
E2値は閉経の6か月から1年前までは正常を保ちますが、そこから閉経を挟んだ2年ほどで一気に下がります。人によってFSHの上昇に伴いE2が軽く上昇することもあるそうです。やがて閉経を迎え、52歳ごろにE2値が落ち切ると、体内のエストロゲンは卵巣外由来のエストロン(E1) 主体に切り替わります。E1は主に副腎や脂肪組織から作り出され、更年期前後で身体が脂肪を蓄えるのはこのためと言われます。結果的に、エストロゲン全体の活性は閉経前の約10分の1以下に低下します。
ですが、こうしたE2値の低下やFSH値の上昇で閉経を予測することはできないそう。FSH値の上昇は「閉経の予兆」であるものの、10%程度の人は閉経後も数値が低いままとのこと。
みんな同じように閉経を迎えるにもかかわらず、身体に現れる症状は本当にさまざま。こうしたホルモン数値の挙動からもその多様さの様子が見て取れるのです。
更年期に見られる症状と、考えておくべき疾患
読者からの質問にもう一つ非常に多いのが「病気なのか、更年期なのかの見分けがつきにくい」ということ。まず、更年期はそのステージごとに「目立って現れる」症状があります。以下も「女性医学ガイドブック」を参考にご説明します。
【時系列・更年期に目立って現れる症状とは】
◆最初に出てくるのは自律神経失調症状(血管運動神経症状)…閉経後1~2年でピークを迎える
のぼせ(ホットフラッシュ)、異常発汗、めまい
◆追いかけて出てくるのが精神神経症状
頭重感、倦怠感、不眠、不安、憂うつ、記憶力低下
◆閉経前後に泌尿生殖器の萎縮症状…膣乾燥は閉経後3~5年でピークを迎える
萎縮性膣炎、外陰搔痒症、性交障害、尿失禁
◆閉経後に見られる心血管系疾患
動脈硬化、高血圧、脳卒中、冠不全
◆閉経後リスクが増大する骨粗しょう症
脊椎椎体骨折、大腿骨頚部骨折、橈骨(とうこつ・手首の骨)骨折
前述の通り個体差があるため、人によって出現の順番は違いますが、大まかに言って上にあるものから出ていきます。ポイントの1つめは、序盤でみんなが悩まされるホットフラッシュは、ホルモン分泌が低下しきったのち2年程度でピークを迎え、その後は収まっていくということ。いつまでもこの汗に苦しめられるわけではないのです。いっぽうで、55歳ごろには女性ホルモンのご加護が完全に切れ、動脈硬化や高血圧、骨粗しょう症など「老年の病」が増大しはじめます。これらの病気は生涯に渡ってリスクが減りません。更年期の前半と後半では「警戒すべきこと」ががらりと変わるのです。
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