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「更年期離職」はこうして起きる 婦人科医の酷すぎる言葉、職場での追い詰め【100人の更年期#68】後編

OTONA SALONE / 2022年6月15日 12時11分

オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)

 

ミサさん 47歳
夫と子ども3人との5人暮らし。更年期と付き合いながら医療事務員として勤めた病院を45歳で退職。現在は心と体のメンテナンス中。

 

40歳で更年期を疑い婦人科へ。そこで待っていた「まさかの診断」とは

診察室へ入ったとたん、先生はミサさんを見るなり『あなたは精神疾患です』と言い放ちました。

 

「ショックでした。診察もせずに『あなたは更年期なんかじゃない。精神疾患です』と言われたんです。診察の結果が精神疾患なら納得しますが……。たぶん、問診票に安定剤や睡眠薬を飲んでいると書いたからだと思います」

 

更年期の検査をして欲しいとお願いしても、先生は「更年期ではありません」の一点張り。さらにお願いしようとすると、看護師と一緒になって診察室から追い出そうとする空気を感じたため、途中で諦めたそうです。

 

「言えば言うほど、前後不覚の患者がわめきだしたみたいな雰囲気になって……。診察もせず判断されて、辛さを分かってもらえなくて、本当に悔しかった。なんでこんな目にあうのか、私が何か悪いことをしたのかと」

 

診察することもなく処方された薬は、90日分の漢方薬でした。さっそく何に効く漢方薬なのかをメーカーサイトで調べたところ……。

 

「『産後ヒステリーに』って書いてあったんです!産後2年以上も経っているのに!!」

 

激しい怒りがこみ上げたミサさんは、婦人科へ行くことをやめて、自分でケアすることにしました。更年期には大豆食品がいいと聞いて豆乳や豆腐を毎日食べるようにしたり、更年期に関する講習会に参加したり、更年期用のサプリメントを飲んでみたり。睡眠薬だけは服用を続け、できるだけ睡眠時間をとることで体を休めるようにしていました。

 

「また仕事休むの?」男性職員からの言葉に追い詰められた

さまざまな体調不良と付き合いながら過ごし、45歳のとき、勤めていた病院を退職しました。辞めた理由と体調に直接的な関係はないものの、たびたび仕事を休んでいた後ろめたさがストレスになっていたことは否めませんでした。

 

「職場の女性は理解をしてくれましたが、男性からは『1週間も休まれちゃ困る』『頭痛(程度)でまた休むの?』と言われることがあり、辛かったです。私だって元気に働きたいのに、働けないんです。理解されないことで、より自分を追い詰めていました」

 

もしかして男性も何気なく言ったに過ぎないのかもしれません。しかし、考えてもみてください、悪気も何もないまま配慮のない言葉で誰かを追い詰めるのは、本来はとても恐ろしいこと。なぜなら、「自分も同じことをしているかもしれない」からです。こうした「更年期離職」問題は昨今急に明るみに出つつありますが、昨日今日起き始めた問題ではありません。単にこれまで女性は声をあげる場所もなく、また声をあげられる体調でもなかったため、見過ごされてきたにすぎません。

 

辛いときは休める環境になって気持ちが楽になった

退職後すぐに、一切の薬を断ったミサさん。夜に眠れなくても眠たくなったらいつでも眠れる環境になったことで、睡眠薬を手放せたそうです。

 

「仕事を辞めたことで『辛ければ休んでもいいんだ』と思えるようになり、追い詰められるような不安感もなくなってきました」

 

退職と同時に生理不順やホットフラッシュが始まりましたが、一時期の強い不安感や不眠、吐くほどの頭痛の繰り返しに比べると、楽なほうだと感じてしまうそうです。

 

「もしも精神疾患の診断だけを信じてしまっていたら、自分の内面に原因があるのかと感じてもっと自分を追い詰めて、仕事も早々に辞めてしまったかもしれません。婦人科での診断に怒りが爆発したことがセルフケアをするきっかけになったので、今となってはあの出来事に感謝しています」

 

 

 

 

 

≪ライター・薬事法管理者 力武亜矢さんの他の記事をチェック!≫

 

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