「こんな年齢なのに、まだ若い子にモテモテで」あなたはそう言いたいのね?【不倫の精算#55】前編
OTONA SALONE / 2022年6月24日 22時30分
後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。
不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。
後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。
不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。
どこかで聞いたような…不倫を「純愛」だと言い切る既婚女性
Lさんは43歳、会社員の夫とふたりの子どもに囲まれた暮らしは、聞いていると一般的な家庭に思えた。
自身はパート勤務でビジネスホテルの清掃の仕事をしており、「体力的に大変じゃない?」と聞くと「確かにしんどいけど、きれいになった部屋を見るとすっきりするのよ」と笑顔で話してくれるのが印象的だった。
元来きれい好き、と自分で語るLさんがどうして不倫のような「汚い」関係に走ったのか。「ネットであなたの記事を読んだ」と呼び出されたカフェで、意を決したように「実は私も不倫しているの」と打ち明けた顔は、緊張でこわばっていた。
「え、そうなの」
記事の感想を話すのかと思っていたら予想外の告白で始まり、手にしたスプーンを持ったまままじまじとLさんの目を見つめる。
その視線を避けるようにLさんは首を傾け、
「うん。
相手はアルバイトの若い子なのだけど……」
と言いにくそうにひしゃげた声で続けた。
自分の恋愛について人に話し慣れていないことは、展開が行ったり来たりして相手の情報がその場面で変わる不安定さによく現れていたが、違和感を覚えたのは
「これは純愛だから」
と繰り返し出たことだった。
「純粋さ」を強調すればするほど…ごめんなさい、あなた泥沼ね?
「私が結婚しているって、彼は最初知らなかったのよ。
バイトで入ってからずっと私が面倒を見てあげていてね、すっかり懐かれていたけど、大きな息子ができたわーなんて笑っていたのも冗談と思っていたらしくて」
「私に旦那と子どもがいると○○さんに聞いてから、ちょっと態度が変わったのね。
明らかに距離を置いているし、LINEもいきなりなくなったから、『私、何かしたの?』って聞いたら『結婚なさっているとは知らずにすみませんでした』って頭を下げるの。
純粋じゃない?
自分の行動が迷惑になるって思っていたらしくって」
「私はてっきり既婚者だともう知っていると思っていたのだけど、彼は『そういう情報を人に聞いたりするのは失礼だ』って。
まあ彼のバイトの時間に会う人は限られているし、話題に出なかったら確かに知ることはないかもね。
偉いよね、ちゃんと人を気遣うことを知っていて」
「でもね、彼のほうから好きだって言ってくれたのよ。
帰り際にね、『言いたいだけです』って言い訳して、本当に素敵な人だと思った」
23歳という男性の年齢にも驚いたが、それ以上に大きかった違和感は、Lさんが彼のことをひたすら清い人と表現することだった。
しかも、不倫と口にしたが実際は肉体関係には至っておらず、ふたりの状況は「性のにおいが濃密になる前」のような中途半端さがあった。
「寝てないんだよね?」
確認すると、
「まさか、まだ、そんな」
と顔を赤くして手を振るLさんの様子には、それを期待しながら「手を出していない自分」への安堵が見えた。
結ばれておらず、それよりも純粋にお互いを思いあっている。それが、Lさんの抱える「不倫」だった。
それは不倫なのか…「若い男性に好かれる自分」への陶酔だけがある
寝ていないのなら厳密には不倫といえないのだが、Lさんにとっては「夫がいながら若い独身男性と恋愛感情のある付き合いをしている」ことが、喜びでもあり悩みでもあった。
どうして打ち明ける気になったのか。「何かあったの?」と尋ねると
「うん、彼のシフトが変わりそうで、会う時間が減るかもしれないの」
と、肩を落として目の前のカップに手を伸ばす。
「なかなかデートに誘う空気にならなくって」と恥ずかしそうに言っていた姿が蘇り、まるで高校生の恋愛だな、とふと思った。
「彼、若いでしょう。
こんなおばさん、会わなければすぐ別の人のところへいっちゃいそう」
ぽつりと漏れた言葉からは、「若い男性に好かれる自分」を手放したくない気持ちが伝わった。
「それはわからないけど。
若いからって出会いの場が多いとは限らないし」
気休め程度の言葉だったが、Lさんの顔がぱっと明るくなった。
「彼ね、インドア派というか、普段は家で映画とか漫画を読むんだって。
友達はいるみたいだけど、飲み会みたいな騒がしいのは苦手らしくって。
そういうところも純粋でいいよね」
ひとりの時間を楽しむことが「純粋」、その穏やかな日常のなかで彼が愛しているのが自分、Lさんの陶酔はそこなのだなと思った。
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