テレワークが始まって太った人が睡眠の質を疑うべき「言われてみれば当然な理由」
OTONA SALONE / 2022年7月11日 12時6分
働く女性、更年期世代の女性は、なぜ今眠れていないのか。そして、どうすれば眠れるようになるのか。
医療法人社団SSC 理事長であり、スリープ・サポート クリニック院長の林田健一先生にお話を伺いました。
「眠れない」と感じる女性が医師に共通して訴えることは
——先生のクリニックにいらっしゃるオトナ世代女性に共通する主訴があれば、教えてください。
50歳の女性10人が来たとします。その背景は更年期やストレスなど、まさに十人十色で、共通しないんです。「ただ眠れない」というのも多いのですよ。
——ただ眠れない、とは…?
「ただ眠れない」人は、それぞれの世代に均等にいます。
生まれつき覚醒が優位になりやすい神経バランスの方です。
——眠るのが下手な人、ということでしょうか?
そもそも、日本人は睡眠が短く、さらに男性より女性のほうが睡眠時間が短いです。
OECDが出している2020年のデータを見ると、加盟国の中で日本がワーストです。各国平均が500~700分のところ、日本の女性は435分と圧倒的に短いです。
NHKの国民生活調査で2015年のデータを見てみると、男性の平日の睡眠時間7時間21分、女性の平日の睡眠時間は7時間10分。かつ、50代の女性の睡眠時間は6時間31分と、全体の中で一番短い。昼寝の頻度も、男性より女性のほうが短いです。
睡眠時間が少なくても仮眠の時間は短く、日本の女性は「睡眠負債」がたまっている状態と言えます。
——つらければ仮眠を取るはずなのに、取っていないのはなぜでしょう?
先程のデータは、不眠症の人もそうでない人も混ざっているものですから一概には言えないのですが、「日本人は勤勉だから」というのが仮説としてあげられます。
寝ているのが恥である、睡眠時間が短いほうが頑張っている…というイメージが強いですよね。
その思い込みのせいで、知らず知らずに無理をしている人が多いのです。
女性の場合、朝早く起きて子どものお弁当を作る、それなのに夜遅くまで起きて夫が帰ってきてから夜食を作ってあげる、さらには夜中に介護が必要な家族をトイレにつれていくなど、他の人に合わせることによって睡眠時間が短くなりやすいです。
——ほかに、女性特有の症状はありますか?
むずむず足症候群(レストレスレッグ)というのがあります。足がむずむずして、じっとしていられない症状です。
夕方から夜にかけて症状が出やすく、布団に入ったときにその不快感で寝られなくなってしまうのです。これは女性に多いです。
原因としては、鉄不足があげられます。妊婦さんや、貧血患者さんによく見られる症状なんです。
働く女性と不眠にはこんな関係性がありました
——「働く女性」に多い不眠の症状ってあるのでしょうか?
不眠症、むずむず足症候群のほかに「睡眠不足症候群」があります。
睡眠不足(睡眠負債)により日中に眠気が出て、会議中に眠くなってしまったりするものです。
とくに最近はコロナ禍で、テレワークの人が多いですね。家にいますから、仕事と家事、育児、介護を全部やって、その結果生活リズムの不正が起こるのです。
テレワークなら家にいるから眠れるのでは? と思うかもしれませんが、むしろ、外に出ないことによって運動量・活動量も減り、睡眠の質も下がっています。コロナ禍は睡眠にとってはネガティブ要素です。
週末に寝ているから大丈夫、とおっしゃる人も多いのですが、例えば平日は5時間くらいの睡眠で、週末にドカンと寝る…という生活は、生活リズムを乱し、時差ボケと同じ状態になるのでオススメしません。
「眠れないこと」そのものを気に病む必要はありません
睡眠時間が短かったり不規則であっても、日中に元気に過ごせているようならば何の問題もありません。
夜によく眠れない結果、家事や育児など日中の生活に影響している場合は、受診しましょう。
「週3日以上眠れない状態が1ヶ月続く」というのが具体的な目安です。
日本の女性は睡眠時間が短いです。睡眠不足の人は、まずは7時間寝てみましょう。
いびきがあるなら、睡眠時無呼吸症候群を扱っているクリニックへ。時差ボケ状態になってるなら、生活リズムを見直しましょう。
それらをやってみて、やっぱり眠れないようなら、睡眠の専門クリニックへ行きましょう。
お話/林田健一(はやしだ けんいち)先生
医学博士、医療法人社団SSC理事長、スリープ・サポート クリニック院長
スリープ・サポート クリニックでは睡眠外来に加えて、終夜睡眠ポリグラフ検査など専門検査にも対応。
東京都品川区東大井1-18-8ミランビーナ1階(京急線鮫洲駅より徒歩2分)
03-3471-3020
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