更年期Q&A 更年期の辛さを夫にうまく伝えるにはどうすれば?身体症状が強いときの治療は?
OTONA SALONE / 2022年8月14日 19時30分
東京・銀座にある『女性の健康クリニック 小山嵩夫クリニック』。小山嵩夫先生は、25年以上にわたって更年期世代を中心に、女性の健康、QOL向上に尽力し、更年期治療のエキスパート。更年期女性の現状及び、臨床現場からの意見をいただいた。
【女性外来のパイオニア・小山嵩夫先生に聞きました#3】
Q.メンタルの症状が強い場合、身体的な症状が強いときなど、症状に合わせて治療をすべき?
A.ホルモン補充療法(HRT)で改善はするけれど、新たな生きがいを見つけることも大切
「更年期に見られる体の不調は、女性ホルモンの低下だけが原因ではなく、ご自身を取り巻く環境、もともともっている性格が絡み合って引き起こされます。しかもエストロゲンは、脳や中枢神経、心臓血管系、脂質代謝系、乳房、皮膚、生殖器、泌尿器、骨と、作用する部位が多いため、その不調症状はメンタルから身体的症状まで100種類以上あると言われています。女性ホルモンの欠如が原因であれば、HRTを行うことで、メンタル的な症状も、身体的な症状も治まります。ただし、メンタル症状が強い場合は、人間関係での悩みが多く、そのことに執着している場合も。相手が変わることはもう期待せず、友人との付き合いを充実させる、趣味・レジャーを楽しむなど、これまでとは違う人生の生きがいを見つけることも更年期症状改善につながります」
井一「これまでとは違う生き方⁉ と聞いて、離婚を想像しまいましたが…」
藤井「もちろん、パートナーとの関係で離婚したほうが身も心も軽くなるのであれば、それも1つの解決方法だと思うけれど、更年期で判断能力が鈍っている可能性もあるから、いきなり離婚は待ったほうがいいのでは?」
井一「あ……、確かに。気力が湧かないとなかなか新しいことに挑戦するのは難しいけれど、自分の視野を広げてみると、今まで悩んでいたことを吹っ切れる可能性もありますね」
藤井「多少なりとも気持ちが上がったときに、今後やりたいことを想像し、タイミングがあえばエイッと始めてみるのがいいのかも」
Q.つらい更年期症状を周囲に理解してもらうには、どのように伝えるのがいい?
A.冷静に。静かに繰り返し伝えましょう
「あれがツライ、これがツライとしつこく騒ぎ立てると、周囲は『またか』となり、反応が冷たくなっていく可能性があります。伝えるときは、とにかく冷静に。静かにツライ症状を伝え、『毎日10分でいいから話を聞いてほしい』『家事のこの部分をやってほしい』など、自分が望んでいる答えを提示するのも1つの方法です。また、人に自分のツライ症状を話すということは、自分を客観視することができますから、生活習慣を変えたりなどして、コントロースする方法を探っていけると思います」
藤井「私はパートナーに伝える際、直接対話だと感情的になり、ケンカになってしまうので、LINEで淡々と自分の状態を伝えました」
井一「文章にすると冷静になれる気がしますよね」
藤井「これで理解されているもの、と思っていたのですが、私が落ち着いていると相手は更年期のことを忘れてしまうようで(苦笑)。定期的に静かに伝えることが大切かも、と改めて実感しました」
井一「感情のアップダウンが激しく、理路整然と状態を伝えるのが難しいのが更年期。伝えるにしても『肯定だけされたいときは占い』『アドバイスが欲しいときは医師や専門家』など、自分が落ち着く答えをしてくれる人を考えておくのも手かも」
お話を伺ったのは…
小山嵩夫クリニック院長 医学博士
小山嵩夫(こやまたかお)先生
1968年東京医科歯科大学医学部卒業後、東京医科歯科大学医学部婦人科講師、同助教授を経て、1996年より女性の健康増進(若々しく元気に)を目的にした自費のクリニックを東京都中央区に開業。専門は、生殖内分泌、女性ホルモン、健康増進。2006年よりNPO法人更年期と加齢のヘルスケア理事長を務めながら、卵巣機能、女性ホルモンの啓発のためのメノポーズカウンセラー育成にも力を入れている。
女性の健康クリニック 小山嵩夫クリニック
更年期からの世代を中心に、女性の健康を総合的にサポートする自費クリニック。全身の基本的な検査から健康や老化度のチェックのための抗加齢的な検査を豊富に行っている。時間に余裕を持った診察と、ホルモン補充療法、漢方療法、オリジナルサプリの処方、各種点滴、膣レーザーの治療など、女性に寄り添う治療を提案。
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