更年期Q&A 閉経=女性でなくなる、と考えてしまう人も。どう捉えればいいのでしょう?
OTONA SALONE / 2022年8月14日 19時31分
東京・銀座にある『女性の健康クリニック 小山嵩夫クリニック』。小山嵩夫先生は、25年以上にわたって更年期世代を中心に、女性の健康、QOL向上に尽力し、更年期治療のエキスパート。更年期女性の現状及び、臨床現場からの意見をいただいた。
【女性外来のパイオニア・小山嵩夫先生に聞きました#4】
Q.閉経=女性でなくなる、と考えてしまう人もいます。どう捉えればいいのでしょう?
A.新たなライフステージの始まりのときです
「人生100年時代の今、更年期は人生の一時期。閉経を迎えると、妊娠ができなくなるのはもちろん、骨粗鬆症や脂質異常症、動脈硬化症、萎縮性膣炎、うつ病など、病気の進行がはじまることは否めません。しかし、更年期症状の緩和目的だったHRTを、更年期以降、病気予防として続けることもできます。女性ホルモンが低下したからといって、いきなり老人になってしまうわけではありませんから、もっと自信をもって人生を楽しんだほうがいいと思いますよ」
藤井「更年期の不調症状はいったん置いておき、私は、生理痛とPMSに約30年悩まされていただけに、閉経をしたら、この原因となるホルモンの影響がなくなるというのは、正直魅力なのかも⁉」
井一「一般的な閉経が47~53歳と言われていて、女性の平均寿命が86.39年(厚生労働省より)なわけだから、まだまだ人生は30年あまりあるわけですからね」
藤井「まさに第2の人生のはじまり、ですね」
Q.近年、更年期症状による経済損失について注目されるようになりましたが、これにより女性を取り巻く環境に変化は生まれるのでしょうか?
A.まだ具体的な動きはありませんが、女性のための法案が成立することを望みます
「更年期だけ限ったものではありませんが、今から10年以上前に女性のための法案が出され、厚労省が大規模な調査をしたことがありました。しかし、こちらは成立することがなく、現在に至ります。法案不成立に大きく関与したのが女性議員だったのも残念なことでした。近年は、女性のライフステージに注目した法案が掲げられ、ぜひとも期待したいところですが、どうしても視点が不妊治療にフォーカスされがち。もちろん、ここも大切ですが、女性医療に携わる医師としては、不妊治療だけでなく、更年期問題も積極的に取り組んでほしいところ。特に、カウンセリング体制が保険適用で確立されると、更年期症状ももっと健やかに過ごせるようになると思います」
藤井「HRTが保険適用なのはとてもありがたいのですが、もう少し薬の選択肢が多くてもいいのかな、と思います」
井一「カウンセリングが保険適用になれば、更年期で悩む人の解決の糸口になりますね」
藤井「メノポーズカウンセラーがもっと身近にいたら、すごく頼もしい!」
井一「生理休暇のように、不妊治療休暇、更年期休暇など、社会ももっと優しくなるといいなー」
Q.最後に、女性に寄り添い続けている小山先生から、更年期女性のためにアドバイスをお願いします
A.更年期は一時期。家族と協力して、上手に切り抜けて行きましょう
「更年期は人生の一時的な通過点。ここで苦労するのは賢くありません。今は情報も治療法もありますから、上手に付き合い、切り抜けてほしいです。特に、パートナーや家族問題は大きく影響を受けますから、更年期について話し合い、協力体制を築けるのがベストです」
井一「終わりがある、と思えると、今のツライ状態もがんばれますよね」
藤井「パートナーが更年期を理解するかしないかで、これから先の生活も変わってきそう。でも、そのためには、話し合いが大切なんだろうな」
井一「同年代だと、パートナーも不調が出始めているから、“自分のほうがツライ”となりがち。ここ、気をつけないと、ですね」
お話を伺ったのは…
小山嵩夫クリニック院長 医学博士
小山嵩夫(こやまたかお)先生
1968年東京医科歯科大学医学部卒業後、東京医科歯科大学医学部婦人科講師、同助教授を経て、1996年より女性の健康増進(若々しく元気に)を目的にした自費のクリニックを東京都中央区に開業。専門は、生殖内分泌、女性ホルモン、健康増進。2006年よりNPO法人更年期と加齢のヘルスケア理事長を務めながら、卵巣機能、女性ホルモンの啓発のためのメノポーズカウンセラー育成にも力を入れている。
女性の健康クリニック 小山嵩夫クリニック
更年期からの世代を中心に、女性の健康を総合的にサポートする自費クリニック。全身の基本的な検査から健康や老化度のチェックのための抗加齢的な検査を豊富に行っている。時間に余裕を持った診察と、ホルモン補充療法、漢方療法、オリジナルサプリの処方、各種点滴、膣レーザーの治療など、女性に寄り添う治療を提案。
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