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44歳、更年期?めまいがひどくて涙が溢れます。漢方を飲みたいのですが、粉薬が苦手で…

OTONA SALONE / 2022年9月17日 21時0分

青年期、壮年期などと同じような時期の呼び方として、女性の閉経の前後5年を更年期と呼びます。

日本人の閉経の平均は50歳のため、45~55歳は更年期にあたる人が多数。この時期に女性ホルモンの分泌が急激に減少するため、更年期障害と呼ばれる状態に至る人もいます。

乳がんのセカンドオピニオンを中心に診察する医師の新見正則先生は、丁寧に私たちの訴えに耳を傾けながら、「だいじょうぶ!更年期は絶対終わるから!」と太鼓判を押してくれる力強い味方。そんな新見先生に「医師に聞いていいのか迷うこと」をまとめて聞くシリーズです。

【Dr.新見の更年期あかるい相談室】#15

Q・めまいが治りません。不安感をなくして、明るく笑顔で暮らしたいのに

昨年末くらいから生理前に、不安、イライラ、頭痛が始まり、1ヶ月に1週間位しかスッキリした体調のいい日がない状態に悩んでいました。そんな時、フワフワするような、地面にぐぅーっと引っ張られる様なめまいが頻繁に起きるようになりました。

5年位前に頭位めまい症をやったので、めまいにはとても恐怖心をもっています。ネットなどで調べて更年期かな?と婦人科に行きました。

ホルモン剤(エストロゲンと黄体ホルモン)を処方してもらい、イライラや体調の悪さはかなり減ったのですが、めまいは変わりません。めまいが怖すぎて不安感が溢れ、涙が出てしまいます。子どもと笑って過ごしたり、テレビに夢中になったりしてると気にならないのですが、考え出すとずっとフワフワしている気がしてしまいます。

不安感とめまいをなくして、笑顔で普通の生活がしたいです。漢方薬も気になりますが、粉薬を飲むのが苦手なので踏み出せずにいます。市販薬には錠剤があると聞き、チャレンジするべきか悩んでいます。

(みかんさん・44歳 更年期症状の度合い/とてもつらく、耐え難いと感じることがある)

 

▶新見先生の「意外な」アンサーとは?次ページからスタート

A・めまいは医師もあまり丁寧には話を聞いてくれない傾向があります

みかんさん、こんにちは、めまいはつらいですよね。ぼくのところにもめまいに苦しむ患者さんがいらっしゃいますが、めまいは苦しんでいる本人の辛さに比べて、命を取らないので医師が塩対応になる典型です。ぼくは自費診療なのでみなさんに寄り添って気が済むまで愚痴を聞きます。すると、大抵の人は「……先生に聞いてもらったら、何だか治った気がします。ありがとう!」と言って帰って行きます。実際、専門家が丁寧に話を聞くことで、結構な確率でよくなるのがめまいです。カウンセリングに点数のつかない保険診療には限界があるんです。

 

さて、最初にぼくが1つだけ気になったのは、みかんさんが「粉薬を飲むのが苦手」という点です。「子どもと笑って過ごしたり」とお書きですから、現在は育児中ですよね。ぜひお子さんは嫌いでもいいから粉薬を飲めるように訓練してください。できればお母さんも一緒に訓練してください。食事と同じで、嫌いでもいいからひと口だけでも食べるようにしてください。この「嫌いでもいいから」の努力はお母さんにしかできないことで、必ず先々お子さんを助ける宝物になります。たとえば、海外旅行中に被災して医薬品が足りないときに、粉が嫌で飲めずに命を落とすという不幸が防げます。

 

面白いことをしていればフワフワしないというみかんさんの日々を想像すると、もしかして悪いことばかりが気になり、悪いことにフォーカスすることで逆に病気を呼び込んでしまっているかもしれません。楽しいことをいっぱいして、フワフワしない時間をどんどん増やしていってください。薬だけで治すのではなく、余裕を作ってよい時間を作り出していくのが薬の目標です。

 

▶次ページ、めまい専門医の間で「最新トレンドの漢方薬」って

めまいには桂枝加苓朮附湯。これは最新の医療トピックスです

漢方のエキス製剤はおっしゃる通り、大多数が粉薬ですから、粉が苦手だと漢方は飲めないと考えてしまいます。そして、これもお書きの通り、薬局に行って薬剤師さんに相談すれば、OTC薬にも錠剤があります。

 

めまいには「桂枝加朮附湯」(けいしかりょうじゅつぶとう)です。クラシエから錠剤が出ています。結構な割合でめまいが治りますので、めまいに悩んでいる人は試してみてください。この処方は「苓(りょう)」が大事で、「苓」のない「桂枝加朮附湯」はめまいには効きません。「苓」は茯苓というキノコの菌核部分で、よく水を捌きます。ぼくが提携している漢方JPのお医者さんいわく、へバーデン結節にも使われるそうです。

 

桂枝加苓朮附湯」はめまいの専門医の中でも最近のホットなニュースなので、ぜひ覚えておいてください。ぼくは最近「出雲漢方クリニック」の宮本先生をご紹介しています。全国からのオンライン診察に対応する保険診療の漢方クリニックで、処方は宅配してもらえます。ここで錠剤をリクエストしてみる手があります。また、OTCの漢方薬ならば笹森先生の「+kampo」に相談してみてはと思います。漢方専門の薬剤師とカウンセリングし、市販の漢方をサブスク送付してもらえるサービスです。

 

▶もう一つ、意外な「粉薬回避策」が。なんと、自分で作る…?どうやって??次ページ

知られていませんが、自分で丸薬を作るという手もあります。案外簡単です

どうしても粉薬が嫌という人は、ご自分で粉状のエキス製剤から「丸薬」を作ってみてはどうでしょう。はちみつを弱火で煮詰めて水分を飛ばすと茶色がかったキャラメルのような「煉蜜」ができます。それにエキス製剤を混ぜて、くるくる丸めて丸薬にするのです。漢方の中でも「散」「丸」とつく処方は、もともと原料の生薬全部を食べていたもので、ぼくが見学に行った福島県立医大の漢方講座は煉蜜と生薬で丸薬を作っていました。漢方は1800年前に日本に伝来したそのままを今でも続けていますが、その教えが江戸期にちょっと変わり、あとから「湯」ができました。葛根湯のようにエキスを煮出すものです。丸薬は見かけなくなってしまいましたが、漢方専門の医院や薬局ではまだ作っているところもあります。

 

最後に、まだ44歳でホルモン補充療法を始めているのは、閉経までまだ5年以上ありそうなことを考えると少々早いという気もします。婦人科によっては症状から見当をつけてエイッと出す場合もあり、必ずしもホルモンが処方されたから更年期というわけでもありません。ホルモン補充はメリットもありますが、ぼくの専門分野のうち2つ、静脈血栓症と乳がんの大きなリスク因の一つです。どちらも命をとる病気です。ぼくはHRT起因で生命が危うくなった患者さんをたくさん見てきましたので、HRTを否定こそしないものの、肯定的にも扱いません。服薬中はこれまでにも増して健康診断を慎重に受けてください。

 

■新見正則医院 院長 新見正則先生

1985年 慶應義塾大学医学部卒業。98年 英国オックスフォード大学医学博士取得(Doctor of Philosophy)。2008年より帝京大学医学部博士課程指導教授。20代は外科医、30代は免疫学者、40代は漢方医として研鑽を積む。現在は乳がん患者に対するセカンドオピニオンを中心に、漢方、肥満、運動、更年期など女性の悩みに幅広く寄り添う自由診療のクリニックで診察を続ける。がん治療に於いては、明確な抗がんエビデンスを有する生薬、フアイアの普及も行う。

■pluskampo(株)代表薬剤師 笹森有起先生

青森県出身。東北医科薬科大学を卒業し薬剤師免許を取得。調剤薬局での勤務を6年経験。薬剤師として働く中で漢方薬に出会い、自身の自然治癒力を最大限に引き出し、結果として症状が緩和する漢方薬の効果や考え方、哲学に感銘を受け、フリーランス薬剤師を経て起業。

 

≪新見正則医院 院長 新見正則さんの他の記事をチェック!≫

 

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