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50歳ピアニスト「ホルモン補充療法を断られた」衝撃から立ち直るまでの紆余曲折【100人の更年期#93】後編

OTONA SALONE / 2023年5月21日 21時1分

オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。

ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです。

【100人の更年期#93】後編

リツコさん 52歳
演奏家。夫と二人暮らし。趣味は夫と二人で借りた畑での野菜作り。

 

かかりつけ医に「ホルモン補充療法は勧めない」と言われてしまった。どうしろと言うのか

プラセンタ注射と睡眠導入剤の服用を続けながら仕事に励んでいたリツコさんでしたが、50歳を迎える頃には以前にも増して眠れなくなり、「明日の仕事、大丈夫だろうか」と不安におびえるようになりました。パニック障害のような症状が出ていなかっただけマシ、でもその一歩手前だったと振り返ります。

 

「ここまで追い込まれると、同世代の女性演奏家仲間たちがみんな輝くばかりに元気に見えるんです。なんで私だけしんどいの?と思ってしまい、そんな自分が嫌になる日々でした。仲間に元気に過ごすコツを聞くと『私も老眼で楽譜が見えないよ』『私だって毎日しんどいよ』と返してくれますが、それだって私への気づかいで言っているだけだって、ひねくれた考えになっていって

 

これまでのケアだけでは事態は改善しないと思ったリツコさんは、更年期用で知られる市販の漢方薬や、女性ホルモンと似た働きがあるとされるエクオールのサプリメントを飲んでみましたが、いずれも睡眠改善への手ごたえは感じられませんでした。そこで、前から気になっていたHRT(ホルモン補充療法)を始めてみたいとかかりつけの婦人科医に相談しました。

 

リツコさんは以前から、新聞や自分が信頼する雑誌に書かれたHRTの記事を見つけては切り取って、保管していました。その中の一つに「HRTは乳がんリスクを高めるとされてきたが、最新の研究でそのリスクは低いことが分かった」という内容の記事があり、これがHRTを受けたいと思う決め手になったそうです。

 

「ところが、かかりつけ医に『HRTは乳がんなどの疾病リスクを伴うから勧めない』と投薬そのものを断られてしまいました。事前に調べた情報で、HRTは推奨派と否定派の医師がいることを知っていたので、私のかかりつけ医は否定派だったんだなと受け止めて、改めて推奨派の病院を探すことにしました。もうひとつ、更年期治療はクリニックにとっては手間がかかるばかりで収入面では報われない、面倒がつのる治療だという話を聞いたことがあります。それも医師が勧めない理由だったんじゃないかと思ってしまいました。本当のところはわかりませんが」

 

HRTを始めたら睡眠以外のすべてが好転。イケメンの夢を見るように!女性ホルモンと関係あるの?

そのかかりつけの婦人科には5年ほど通い、すでに医師との信頼関係も構築されていたのですが、いちばん苦しいときに頼みの綱のHRTを受けられないのならばこれ以上通っていても仕方がありません。他の婦人科を探して通い始めました。このときリツコさんは51歳になっていました。

 

次の病院では、リツコさんより年上とみられる女性医師が担当になりました。元気な笑顔で「ホルモン値はそんなに低くないけれど、不眠や不安感が強くなっているなら、HRTを始めましょう!」と言ってくれたそうです。

 

すでに生理は数か月きていなかったものの、まだ閉経は確定しないというタイミングだったリツコさんの場合、治療は卵胞ホルモンを補充するためのパッチを毎日貼りつつ、補充によるがんのリスクを予防するため黄体ホルモンを月の半分だけ飲む方法でした。HRTを始めると不正出血が起きることがあるといわれますが、リツコさんの場合は1度それらしき出血があった程度でさほど気にならず、52歳になった現在もHRTを続けています。開始から3カ月ほどで効果が出始め、定期診断の結果もよくなっていきました。

 

「驚いたのが、効果が出始めた頃から、若いイケメンとデートする夢をたびたび見るようになったこと。女性ホルモンの関係でしょうか? 単なる偶然? これまでそんな夢を見ることはなかったので、不思議です」

 

さらに、毛量が増えて髪にハリやツヤが増した感じがあるのだとか。HRTを始めたころは毎月婦人科に通院して医師に経過を報告していましたが、いまは3カ月に1回、まとめて薬を処方してもらうときだけになりました。日常生活であの言い知れぬ不安感を覚える頻度はじょじょに減ってきましたが、それでも不眠は残っているといいます。

 

「不眠だけは、どうしても治らないんです。いまは、長期間飲んでも大丈夫な睡眠導入剤を処方してもらってしのいでいます。私は、60歳までは現役の演奏家でいたいんです。そのためには、なんとしても心と体のコンディションを良好にしていたい。演奏家は私の天職ですから」

 

つづき▶40代ピアニストが迎えた「驚くばかりの更年期」、このままでは現役生命があぶない

 

 

 

≪ライター・薬事法管理者 力武亜矢さんの他の記事をチェック!≫

 

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