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デヴィ夫人、大炎上で浮かび上がる「例のいやなクセ」(後編)

OTONA SALONE / 2023年7月29日 19時31分

芸能記事リバイバル企画! あのとき、あの人はいったい…?そして今は…。後編です。

<<この記事の前編:よく燃えた、デヴィ夫人の炎上事件簿を振り返る

「オトコがカネを出す」ことが意味することとは?

合意のないセックスは犯罪ですし、地位の高い男とヤレて嬉しいというのは、夫人の妄想にすぎません。性被害にあったら、警察に届けるのは当たり前のこと。

 

こういう現代の常識と、夫人の考えは相容れない故に炎上するわけですが、まぁ、夫人の来し方を振り返ると、そういう意見を持ってもおかしくないと思います。

 

極貧家庭に生まれるも、美貌を生かして高級クラブのホステスへ、そこから大統領夫人となったシンデレラ。若い人が知るデヴィ夫人のストーリーはこんな感じでしょうが、男尊女卑の強い昭和15年生まれの水商売はそんな甘いものじゃないと私は思います。

 

1978年に発売された「デヴィ・スカルノ自伝」(文藝春秋)によると、高校進学を経済的な理由で断念した夫人は、生命保険会社に就職します。芸能プロダクションに所属して女優を目指しますが、そう簡単に売れないことに気づいてしまいます。友人のつてで外国人専用のナイトクラブに勤めることになった夫人は、「(会社員としての)月給が、紅馬車(注:夫人のいたクラブ)では二時間か二時間半テーブルに座っているだけで手に入ってくるのである」と書いています。

 

▶水商売バンザイではなかった、デヴィ夫人の立場

水商売バンザイではなかった、デヴィ夫人の立場

それでは、水商売万歳!というと、そうでもないのです。夫人は外国人向けのクラブを選んだ理由を「日本の男性の圧倒的多数が、過去に水商売をした女性を許さないことくらいは、16歳の私でも知っていた」としています。つまり、水商売していたことがバレたくない、だから日本人の来ないクラブにしたわけです。

 

今は女子大生が水商売しても誰も驚かないと思いますが、昭和中期はそれくらい、水商売は低く見られていたということでしょう。

 

それなら、会社員でいたほうがよかったのではないかと思う人もいるかもしれませんが、夫人は10代でお父さんを亡くし、お母さんと弟さんを養う必要があった。学歴もなく、昭和中期ですから女性の昇進の可能性はほとんどゼロ。ほかに選択肢はなかったのです。

 

同書ではスカルノ大統領と出会う前に交際していた外国人男性についても書かれています。大人の女性としてのマナーやセックスの技まで教えこまれたそうですが、夫人の男性との交際にはカネが介在(生活の面倒をみてもらう)していて、かつ男性がジジ……いや、ご年配の既婚者が多いのです(スカルノ大統領も39歳年上)。

 

「愛に年齢は関係ない」と言ってしまえばそれまでですが、いくら何でも年が離れているし、フツウは男女が交際しても生活の面倒までは見てもらわないでしょう。

 

▶「カネで解決」という価値観がはらむ危険性

「カネで解決」という価値観がはらむ危険性

しかし、こういう見方もできるのではないでしょうか。

 

男性は既婚者ですから、結婚はできない。にも拘わらず、10代の美しい女性と食事をしたりセックスしたいのなら、誠意はカネで見せるしかないのではないでしょうか。同様に二人の間でトラブルが起きても、カネで解決するしか方法はない。「強い男に選ばれるとトク(カネが手に入るから)」「中絶すると不妊になる」「無理やりキスされたり、セックスさせられたことを不服に思ったら、カネで解決」は、この時にしみついた観念なのではないかと思います。

 

カネをもらえるという意味では、おトクかもしれません。しかし、違う角度から見ると、オトコからカネをもらう関係は、女性に文句を言わせなくするという目的があるのではないでしょうか。

 

なぜ夫人は、女性差別発言を繰り返すのか?意外な理由

差別が激しかった時代の水商売経験者だから、夫人が炎上発言をすると決めつけるのは、簡単です。けれど、私はあと一歩踏み込んで考えたい。

 

夫人が侮辱している女性たちは、「かつての自分」なのではないでしょうか?

 

「デヴィ・スカルノ自伝」で、夫人は「日本では、家庭、教育、過去、環境が整わねば女一人の人格なんてだれも認めてくれない」と書いています。赤貧家庭に育ち、勉強が好きだったのにお金がない故に高校進学をあきらめ、人には言えないという多少の後ろめたさを感じながら、水商売という仕事をしていた夫人。

 

そこから必死の思いで抜け出して、大統領夫人という「認められる人」になれたからこそ、夫人は「認められない人」を見下して差別してしまうのではないでしょうか。

 

わが子を虐待して殺してしまうという事件が後をたちませんが、「加害者」である親を調べてみると、親自身も虐待されていた「被害者」であることがわかるというのは、よくある話。

 

「そういうことは言ってはいけない」配慮ある多様性を

おかしな発言をしたからといって、夫人を追い詰めるのはよくありません。しかし、こうやって女性差別のような問題が炎上すると「そういうことを言ってはいけないんだ」という意識が浸透して、加害者も被害者も減らせます。炎上は必ずしも無意味ではないようです。

 

でも、夫人はしばらくはテレビ出ちゃダメだぞ☆きっと余計なこと言うから。

文/仁科友里

本記事は2020年10月に初回配信されました

 

≪主婦の友社 OTONA SALONE編集部さんの他の記事をチェック!≫

 

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