57歳「更年期が終わったあと」には何が起きますか?美容ジャーナリスト・小田ユイコさんの場合は
OTONA SALONE / 2023年9月23日 21時0分
閉経の前後それぞれ5年を更年期と呼びます。日本人の閉経の平均年齢は52歳なので、47-57歳は更年期に当たる人が多いもの。体の不調に苦しみ、「更年期障害」の状態に至る人もいます。
私ってもう更年期なの? みんなはどうなの?
オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています(ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです)。
今回は美容ジャーナリスト・小田ユイコさんがご登場。華やかな美容の世界は、いっぽうでスケジュール・プレッシャー・業務量、どれをとっても極めてハードな世界。そんななか、小田さんはどのように自分の体調の変化とつきあってきたのでしょうか。
お話/小田ユイコさん
1965年生まれ、57歳。日本女子大学文学部卒業、主婦の友社に入社し、女性誌の編集者に。1998年、主婦の友社を退社し独立。美容ライターとして、女性誌各誌の美容記事の編集、ライティングに携わる。2005年、集英社のビューティ誌『MAQUIA(マキア)』創刊エディターに。2008年より、美容ジャーナリストとして仕事をスタートする。集英社『MAQUIA(マキア)』『LEE(リー)』『eclat(エクラ)』『BAILA(バイラ)』、世界文化社『家庭画報』ほかで美容・健康特集を執筆。女性誌各誌で美容コメンテーターを務め、自身の美容術も披露。
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【100人の更年期#96】前編
不調を感じ始めた38歳、自律神経を測定したら「どちらも低いのは危険です」と言われ
20代後半、激務で昼も夜もないような生活になったときには順調だった月経が乱れたものの、30代で独立してからはどれだけ多忙でも月経は28日周期で安定していたという小田さん。PMSも軽く、医療機関を受診するほどの深刻さはなかったそうです。
「といっても、まったく不調がなかったわけではなくて。32歳で独立、33歳からはずっと自分の限界いっぱいまで仕事をし続けていたので、さすがに30代後半で無理が続かなくなりました。ちょうどそのころ『プレ更年期』という言葉が使われ始めたので、私はもしかしてそれかもしれないと思ったんです」
体がやたらと重く感じられ、歩くのもつらい日があったといいます。取材で自律神経を測定したところ、交感神経も副交感神経も世代平均より数値がはるかに下という結果になり、「どちらも低いのは危険、体をいたわって」と言われたのが38歳のころ。ちょうど女性ホルモンが減少し始める時期にあたります。
「美容を担当すると、女性医療の取材もたくさん手掛けます。産婦人科の先生にPMSのお話を伺うたび、症状を自分に当てはめて考えていました。もしかして私の不調も女性ホルモンの減少が原因かも?。毎日睡眠不足、食事もろくにとらず、休息、趣味、運動のような体にいいことはまったくできていない。自律神経が両方危険と言われて、もしかして私は本当にだめなのかもしれないと気づいたんです。そのころ私は『毎朝、起きた瞬間から疲れている』ことを実感していたので」
できれば運動は避けて通りたいタイプだったと振り返る小田さんですが、これが契機となり、30代後半からは定期的な運動をスタートします。最初に通い始めたのはスポーツジムでした。
「近所のビルの2階にあるジムだったのですが、いきなりインストラクターに『小田さんエレベーターで上がってきたでしょ?』と見抜かれました。『それ、どちらかというと普通じゃないです』。ここに来るまで10分、けっこう歩いたなと私は思っているのに、みんな当たり前のように階段で上がるんですって。どれだけ私が体に気をつかっていなかったかということですよね」
ここで運動に本腰を入れ、健康を取り戻せるかと思った小田さんですが、この直後に「並みではない」人生最大の多忙期が訪れます。
引き受けた大役は、わかってはいたけれどとんでもない激務。42歳でホットフラッシュが始まる
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42歳、ホットフラッシュが始まったころ。宮城県の温泉施設を取材中。仕事で全国を飛び回っていましたが、いつホットフラッシュに襲われるかとビクビク。
05年、集英社の美容雑誌『MAQUIA』創刊の際、小田さんは創刊メンバーとして参画。3年間続けたところで40代に入り、そろそろ自分の年齢に合わせた大人向けの媒体の仕事にシフトしようかな……と考えたタイミングで、別冊雑誌をやりませんかと声がかかります。なんとまる1冊、一人で監修を任されることになったのです。
「大変だとわかって引き受けた大役でしたが、本当にものすごく大変で(笑)。別冊雑誌の1号めが出たのが42歳のときですが、体の中で何かのスイッチが入ってしまったことに自分でも気づくくらいでした。実質的に寝る時間がなく、毎日2、3時間の睡眠で半年以上を過ごしたら、食欲もなくなってものすごくやせてしまいました。ごはんも食べる気にならないし。そうこうしていたらホットフラッシュが始まったんです」
ホットフラッシュは毎日というわけではないものの、それでも週一度ほどは自分ではコントロールできない汗が噴き出すようになりました。
「自分ではまだプレ更年期と思っていたけど、これは本格的な更年期がきちゃったかな?と。でも、月経量は少し減ったものの、乱れることはなく続いていました。そうこうするうち別冊の2号に向けての準備が始まり、引き続き激務に。でも、これまでできていた自分の体のコントロールができないんです」
1日わずかの睡眠も眠りが浅く、スケジュール管理をしないとならないのにイライラが止まりません。任された雑誌を成功させないとならない重圧、その裏返しの不安感がつきまとうようにもなりました。ドキドキして眠れなくなる日もあったそう。
「とどめのように四十肩までやってきて。先に右、数年後に左もきました。着替えもままならないし、さすがに何か治療をしなければならないなと。ちょうど産婦人科専門医の対馬ルリ子先生を取材する機会があり、『ホットフラッシュが週1できます』という話をしたら『受診しなさい』って言われて。低用量ピルを処方していただきました。43歳でした」
女性ホルモン量の「減少」に気づいたのは髪の毛がきっかけ。お風呂上がりの排水口にぞっとするほどの…
最初は調子がよかったものの、途中で薬の種類が変わると急に不正出血が増えたそう。また、それまで月経だけはコンスタントにきていたので、自然に任せていた月経をコントロールするのが負担に感じたそうです。クリニックで「やめたい」と相談した際には「不正出血が気になるならホルモン補充療法(HRT)もあります」と助言を受けたものの、当時はまだ始める気にならなかったといいます。どうして?
「当時はまだHRTに乳がんや子宮体がんのリスクがあるといわれていたので、それが気になってしまって。自由診療クリニックでのナチュラルホルモン処方も取材で知り、体にも自然でいいなとは思いましたが、今後毎月かかる費用だと考えたら月1万円が高いなと感じて。そんなこんなで45歳を過ぎ、勧められたサプリや漢方があれば試すけれど手ごたえもなく、そもそも病院に行く時間がないので、自分のことは後回しになり続けました」
ですが、苦しめられたホットフラッシュは40代半ばにぱたりとなくなったそう。よかった!と息をつく間もなく、入れ替わりのように女性ホルモンの減少による老化現象を明らかに感じるようになりました。
「いまでもうなされるような記憶なのですが……お風呂上がり、いつもどおりに排水口のごみを取り除こうとしたら、ヒッと声が出たほど、ぞっとする量の髪の毛がたまっていたんです。……もしかして、いま1回でこんなに抜けたの?と。あまりにもショックで、それから髪が全部抜け落ちる夢を見るようになったくらいでした」
とはいえ、月経は目減りはしたものの規則正しく28日周期を維持していました。ですが「忘れもしない」と振り返る48歳、ついに月経が乱れ始めます。
「あれ、生理がこないな?と。量の目減りは感じていましたし、日数も減って、前なら1週間続いていたのが5日で終わるようになっていましたが、ついに28日周期より遅れる月があった。そこから2カ月に1回、3カ月に1回と、どんどん不順になっていきました。これか、これが更年期か、とうとうきたかと」
つづき▶とうとうやってきてしまった……本格的な更年期。一番最初に「痛感した」こととは?
≪OTONA SALONE編集長 井一美穂さんの他の記事をチェック!≫
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