尿もれ・腟のゆるみトラブルはいつかくる?予防&改善のためにできること
OTONA SALONE / 2023年9月27日 20時30分
女性ホルモンの減少で訪れる更年期。オトナサローネ世代から徐々に骨盤底筋(こつばんていきん)は衰えていきます。
尿もれや腟まわりに小さな不調を感じても、相談するのはなんだか恥ずかしい、婦人科は敷居が高い、と躊躇してしまう人もまだ多いようです。けれど、これから先もいきいきと過ごすためには、自分の身体のコンディションを整えていかなければいけません。
50年以上の長きにわたり、不妊治療、妊娠・出産、思春期・更年期医療で女性の身体と心に向き合い続けている産婦人科医・松峯寿美先生にお話を伺いました。
【50歳からの婦人科 #3】
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年齢による尿や腟の悩みは予防・改善を
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おなかに力をいれたときに尿もれしてしまうのを「腹圧性尿失禁」といいます。このタイプの尿もれで比較的症状の軽い人は、骨盤底筋のトレーニングが症状緩和に効果的です。7割ほどに症状改善があるといわれています。
また、骨盤底筋が緩んでいたり損傷があるまま年齢を重ねると、子宮が腟口から飛び出してしまう場合があります。これを「子宮脱」といいますが、子宮だけでなく直腸や腟などが腟口から脱出していまう状態を「骨盤臓器脱」といいます。割合は高くはないですが、これらのトラブルが生じると日々の生活の質が大きく下がってしまうのは想像に難くありませんよね。
これらの症状がまだなかったり、軽いうちからを、予防・改善のためのトレーニングを始めておくのをおすすめします。
骨盤底筋トレーニングを始めましょう
まずは基本の呼吸法をマスター
〝吐く〟〝吸う〟の呼吸をしながら、骨盤底筋を持ち上げたり、押し下げたりする動きを意識してみましょう。
力の入れ方がわからない人は、ショーツの上から、自分の腟まわりに手のひらをあてて、〝キュッと締めたとき〞と〝緩めたとき〞の違いを確かめると実感しやすくなります。このとき注意したいのは、〝吐くときに引き上げる〞イメージを意識すること。
押し下げるイメージで息を吐いてしまうと、子宮や膀胱を下垂させることになるからです。キュッと締めるときに息を止めてしまわないように、フーッと声を出して息を吐くといいでしょう。
軽度の尿漏れであれば、この呼吸法を1 週間続けるだけで改善されます。
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イラスト/内藤しなこ
吸う
息を吸い込むと、肺が膨らんで横隔膜が引き下げられ、それと連動して骨盤底筋も押し下げられます。骨盤底筋をフワッと緩めるイメージで息を吸いましょう。
吐く
息を吐いて肺がからっぽになると、横隔膜が引き上げられ、それと連動して骨盤底筋が持ち上げられます。吐くときに、骨盤底筋をキュッと締めて、引き上げるイメージで。
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イラスト/内藤しなこ
骨盤底筋を締めるコツ
息を吐くときに、尿道口、腟口、肛門の3 つの穴を、体の内側に引き込むようにイメージしながら、キュッと締めましょう。その際、顔や肩、おしりの筋肉に余分な力が入らないように注意します。
『50歳からの婦人科 ~こころとからだのセルフケア~』
松峯寿美・著
デリケートゾーンのトラブルとケア、尿漏れにも関係する骨盤底筋の変化やトレーニング法、骨のエイジング対策、全身のビューティーケア、こころの持ち方など……50歳からの自分自身をいたわりケアする方法を、読み物とイラストでやさしく紹介した一冊。
大切なのは、正しく知る、前向きにつき合うこと。50歳からはもちろん40代の方も知って欲しいことばかり。
【お話】
松峯寿美 (まつみねひさみ) 先生
1946年生まれ。産婦人科医。70年、東京女子医科大学院卒業。医学博士。(婦人科)とくに不妊治療、思春期・更年期医療に力を注ぐ。
卒業後は女子医大に10年間勤務、〝不妊外来〟を創設。80年東峯婦人クリニック(東京・木場)院長に就任。女性専門外来の先駆けとなる。著書やマスメディアへの登場、からだの不調で悩む女性へ向けた講演なども多数。
妊娠・出産・更年期・老年期まで、婦人科系QOL(生活の質)を保つ医療を実践。骨盤底筋トラブルの治療や子宮脱を改善する経腟手術も行い、高齢女性の健康管理を見守り支える一方、2018年3月第一回「日本産前産後ケア・子育て支援学会」では、大会長をつとめた。 女性の一生を支える存在でありたい、こころもからだも美しくいきいきと過ごせる人生であるように、との思いで日々診療に向き合っている。
※記事の内容は書籍刊行当初の情報です。
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