心が疲れた日、無心に眺めたい。改めて『ライオンキング』が「ヒーリング成分」100%すぎるワケ【更年期50代のアフタヌーンエイジ日記】♯38
OTONA SALONE / 2023年10月7日 21時0分
劇団四季は今年の夏、創立70周年を迎えました。全国に7つの専用劇場を持つ劇団四季は数々のロングラン公演でもよく知られます。
その作品の一つ、今年12月に上演25周年を迎える『ライオンキング』にお招きいただきました。現在、東京・有明四季劇場で24年6月末までのチケットが販売されている同公演、見たら予想外なことにとっても心が浄化されてしまって驚いた。勇気や元気というより「癒された」のです。
その理由と、私たち更年期世代の心について考えてみました。
【更年期50代のアフタヌーンエイジ日記】♯38
私たちは「美しさ」にさまざまな種類がありつつ相似することに気づけるようになった
『ライオンキング』、子どもを連れて見に行きました!という方も多いと思います。子役も活躍する舞台で親しみやすく、楽しく観劇できますものね。
ですが、本作は30歳で、40歳で、50歳で、見るたびにその時々で違う要素に心を奪われ、気づきを得る作品だと思います。
今回、私はオープニングから「造形」に心を奪われました。舞台美術、衣裳、音楽、すべてのミニマルな力強さそのものに。オレンジのグラデーションというシンプルな背景表現から、突如として目の前にサバンナが広がり、熱風と生命の濃密な気配が押し寄せてくるかのように感じる体験、きっと私以外の方も覚えがあるのではと思います。
個人的に「無限に広がる舞台空間に自分も一緒に飲み込まれる」この体験こそが四季マジックだなと感じるのですが、これって例えば東博で等伯『松林図屏風』に魅入られている際にも起きることで、磨き抜かれた表現とはこうした域に達するもの、もう国宝と同等なんですね。
「私はアフリカに行ったこともないし、きっと行かないまま人生を終えるが、いまこの瞬間もアフリカではこのようなことが起き、それは永遠に繰り返されるのだろう」。目の前にそんな風景と音、匂いが濃密に漂う。そんな中でお話が進んでいきます。この時点で私はもうアフリカへ旅立ったも同然、4割ほど浄化されています。
世の中は単純な勧善懲悪ではできていない。社会の理不尽に立ち向かうハートを見せてもらえる
簡単にあらすじを。ライオン王の息子・シンバは王の地位を狙う王弟の策略で父を失い、その責任が自分にあると思い込まされて生まれ故郷を離れます。たどりついた地で暮らすイボイノシシとミーアキャットの友を得て心豊かに育ち、のちに偶然出会った幼馴染から故郷の荒廃を知らされその再建を誓う、そして生命は次の世代へと循環する。そんな「サークル・オブ・ライフ(生命の連環)」の描写はご存じの通りです。
癒されポイントの2つめはストーリーでしょう。『ライオンキング』には「理由もない悪役」、心底イヤなヤツが出てこない。
敢えて言えば王弟スカーは謀略で兄を殺しその息子シンバを追放するイヤなヤツですが、同時に「自分が王になることはなく、あとから生まれた子どもに王を奪われる」しんどい運命を背負っています。
これもまた四季マジックのひとつ、悪役を「単純な悪」としては描かない。その背景と心情を推察させることで、「人生こういうすれ違いが山ほどあるんだよね」「でも大丈夫だよ」と、私たちの日常にエールを送ってくれる。結果、悪役に対して応援の気持ちすら沸くシーンもあり、結果「あそこでこうすればうまくいったのに、残念だなあ。この気づき、私の仕事にも応用できそう」など前向きな気持ちになり、知らない間に励まされてしまうのです。ここで8割くらい浄化完了。
音楽と言語、その力強さに力をもらう。「明日も頑張ろう」という気持ちで帰路につくのでした…!
もう一つ、太鼓のリズムを主とした生命感あふれるアフリカ音楽と随所に織り込まれるアフリカ言語。この舞台に於ける「音」の要素は力強さの塊です。
一貫して流れ続けるこれらのリズムこそ、過酷な大地でも前を向き、疑うことなく明日へと生き続ける生命そのもの。目の前の細かな悩みごとなんて、15万年前のアフリカから今日まで人類が脈々と繰り返した連環から見れば本当にどうでもいいことだな……。こうして10割浄化されて、パワーチャージが完了したのでした。
時折挟まれるコメディ表現に沸く客席、突如として起きるサプライズ要素。観客に向かってアフリカという生命の塊そのものが語りかけてくる、そんなエネルギープールが『ライオンキング』なのですから、触れれば全員チャージされるに決まっています。子どもと行けばまだ見ぬアフリカへの憧れを与え、大人が行けば浄化される、そんな作品をぜひいまいちどお楽しみください。
≪OTONA SALONE編集長 井一美穂さんの他の記事をチェック!≫
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