20年以上続いた滝汗にホルモン補充療法で終止符。52才、新たな人生が始まった【100人の更年期#96】後編
OTONA SALONE / 2023年10月29日 21時1分
オトナサローネは同世代の女性100人がいまどのような更年期を迎えているのか、そのあり方を取材しています。
ご本人の年齢や各種の数値は取材時点のものです。
前編『治療しても仕事を辞めても治らない、その道のりを告白 』に続く後編です。
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【100人の更年期#96】後編
ユミコさん 52才
アパレル会社勤務。会社員の夫と二人暮らし。30代から子宮内膜症に悩み49才で卵巣を摘出。
49才で卵巣を摘出。生理痛はなくなったけれどホットフラッシュがさらにひどくなった
子宮筋腫を持ったまま過ごしていたせいか、治療をしても経血量やホットフラッシュはなかなか改善しないまま時は流れ、症状はさらにひどくなっていきました。ついには、おむつタイプのナプキンを履いても2時間もたないくらいの経血量になり、体がつらく、仕事に支障がでるようになったため、49才のときに手術で卵巣を摘出しました。子宮内膜症と診断されたころは子どもが欲しかったから摘出を避けましたが、結局子どもはできなかったので摘出を決めました。
卵巣を摘出したことで、生理痛や経血量で悩むことはなくなりました。ホットフラッシュもなくなったらいいなと思っていたのですが、摘出手術後のほうがもっとひどくなりました。真冬でも冷え知らずで発熱素材のインナーは不要なほど。夏はクーラーで部屋をキンキンに冷やすため、夫が「寒いから」と別の部屋で寝るようになってしまいました。
加えて、デリケートゾーンがひどく乾燥したり、骨粗しょう症のような状態になったり、抜け毛が増えたりと、老いていくような症状が増えたので、かなりショックを受けました。でも、接客業でリーダーの私がくよくよしていてはいけないので、職場では「最近、薄毛で悩んでるのよね」とネタにして笑い飛ばしていました。
職場でのホットフラッシュ。同情するより笑い飛ばしてほしい
治療をしたり手術をしたりしてもなお、いろんな症状が出てくるから、あとは精神力でなんとかするしかないんですよね。ギリギリのところをなんとか乗り越えたり、これ以上はダメと自分を律したり。もう、気力だけがたよりです。立ち止まったら、下を向いたら、そこで終わり。そんな気持ちで過ごしてきました。幸い、職場の人がみんな明るくポジティブだったので、例えば私が大量に発汗しているのを見たら、「汗キター!」みたいな感じでネタにしてくれて、助かりました。私は、同情されるより笑いとばしてほしいので。
また、夫が私の1才年上で、年齢相応の体の変化を理解してくれる点でも救われました。夫の会社にも更年期世代の女性がいて、その女性がホットフラッシュについて話しているのを聞いたそうなので、なんとなく知っているみたいです。
そういえば最近、男性にも更年期があると聞きました。言われてみると、夫も若いときより怒りっぽいときがあったり、ネガティブな話をしたりすることが出てきた気もしますが、夫婦になって長いので、本音を話しやすくなっただけかもしれません。
もっと自分のために時間を使いたい。20年以上勤めた会社を51才で退職
手術後も続く体の不調と付き合いながら仕事を続けましたが、51才のときに会社を辞めました。理由は体調不良ではなく、50代から先の人生を、もっと自分のために使いたいと思ったからです。会社の従業員は代えがききますが、私の人生は私にしかできないので。
退職後、しばらくは無職状態でした。この間に、会社員時代はなかなか行けなかった旅行に好きなだけ行きました。合わせて、ホットフラッシュの治療を始めました。かかりつけの婦人科医に、卵巣摘出時に医師から教えてもらったホルモン補充療法(HRT)をしてみたいと相談しましたが、私に子宮内膜症の過去があり積極的には勧めないとのことで、ホットフラッシュを和らげる錠剤(血管の拡張に作用する薬)を処方されました。
ホルモン補充療法でホットフラッシュのつらさがみるみる楽になった!
錠剤は10カ月くらい飲み続けましたが、特に症状がよくなる感じがなかったので、ようやく1週間前からホルモン補充療法を始めることになりました。すると、開始から2~3日後で、1日にかく汗の量がかくだんに減り始め、常に首に巻いていた保冷タオルを外すことができました。さらに、閉経後から感じていたデリケートゾーンの乾燥がやわらぎ、長らく見ていなかったおりものが出てきました。こんなに即効性があるなら、もっと早く始めておけばよかったです。(編集部注:効果は個人差があります)
ホルモン補充療法のおかげで、いまは体調不良をほとんど感じることなく過ごせるようになっています。4カ月前から働き始めた新しい会社は、前職と同じアパレル業界ですが、ショップ店員として、大好きな接客の仕事を楽しんでいます。同じ業界へ転職するなら、前職の肩書を捨てたことはもったいなかったかもしれません。一瞬、そんな思いもよぎりましたが、たぶんあのまま前職にいたら、私はきっと今の自由な気持ちは持てなかったと思います。それに、ショップ店員も人生と同じで、私の接客は私にしかできないんです。いま私は、自分のための時間を生きている感じがします。
≪ライター・薬事法管理者 力武亜矢さんの他の記事をチェック!≫
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