52歳、はじめての不倫…。5歳年下のカレとのベッドで知った、最高の快楽とは（前編）

いつのころからか、ヤスヨさんは気になっていたーー「夫とのセックス、誘うのは私ばかりだ」。東海地方在住の、現在52歳。4歳上の夫とは結婚28年目、子どもは大学生から高校生までの３人。会話の多い家族で、友人たちから「円満だね」とよく言われる。 

 

「若いころは、夫から誘ってくることもないわけじゃなかったんですよね。お互い40代のころだったかな、気づいたんですよーーあれ、私、夫から誘われてない？　いつも私から誘っているよね、って」 

【40代、50代の性のリアル・リバイバル】前編

 

「僕にはセックスは必要じゃない」そう言ってのける夫に失望して

あらためてふり返ると、年に2回しかしなかったこともある。セックスレスの定義を調べてもみた。 

 

「その翌年には私から誘うこともやめたので、夫婦間のセックスは皆無となりました。私自身は40代で性欲の高まりを感じた時期だったこともあり、虚しい気持ちが胸に広がっていきましたね」 

 

自分は愛されているんだろうか。夫婦ってこんなものだろうか。自信のメーターは、目減りしていくばかり。ひとりで考えてもしょうがないと思い、ヤスヨさんは夫と話し合うことにした。 

 

「いまの状態は私が望んでいる形ではないよ、と伝えたら、夫は『僕にはセックスはそれほど必要じゃない、なんならちょっと面倒なくらい。ひとりでなんとかなるものだから』と言われてしまいました」 

 

セックスレスはコミュニケーションレスから、と言われるが、ヤスヨさん夫婦には当てはまらない。仕事柄、人の相談に乗ることが多いヤスヨさんは、夫にも日常的に「話、聞こうか？」と声をかけていた。そのような下地があったから、夫も本音を口にしたのだと思うが、 

 

「もう夫に求めるのはやめよう、って思いましたね」 

 

という結論にヤスヨさんが至ったのも、むべなるかな。すぐに友人から勧められたマッチングアプリをはじめ、５歳年下のナオユキさんに出会う。 

 

アプリで知り合ったカレは年下で、3人の子持ちだった

「女性として満たされたい、っていう想いがあったんですが、連絡をくれる男性はカラダ目当てのような人ばかり。私はまずはお友だちのような感じで仲よくなれる人でないと無理だなって。ちゃんと会話ができて、お互いを信頼できる人。ようやく会話がつづく男性とつながってメッセージのやりとりをしていたんですけど、ある日突然、音信不通になってしまって……」 

 

マッチングアプリでは、よくあること。だからといって傷つかないわけではない。その後にやり取りがはじまったナオユキさんは、「僕はそんなことはしない」といってくれた。その誠実さに加え、３人の子持ちという共通点にも惹かれた。 

 

「最初は、お子さんがいる方とのおつき合いは考えていなかったんです。何かあったときに向こうのお子さんが傷つくようなことがあってはいけない、と考えてのことです。でも実際に言葉を交わしてみると、子育についてもて共感することが多かったんです」 

 

アプリ上でどんなに親しくコミュニケーションし、「この人なら大丈夫そう」と気持ちが高まっても、実際に会うとなれば緊張もすれば警戒もする。 

 

「身分証明書となるようなものはぜんぶお財布から抜き取って、待ち合わせの場所に向かいました。でも顔を見たら、それまでLINEのやり取りでイメージしていたのと違和感がまったくなくて。はじめて会ったとは思えないほど楽しくお話できました」 

 

最初は、食事から。でもそのうち、ホテルに…

食事だけのデートが３回つづいた後、ヤスヨさんとナオユキさんはふたりでホテルに行くことを決める。彼は、妻から拒否をされてのセックスレスがつづいているという。ヤスヨさんも、夫との会話を打ち明けていた。 

 

「最初は、彼のほうがうまくいかなかったんです。ひさしぶりのことで緊張したみたい。あまり経験豊富ではないのかなと思いましたが、男の人にだってそういうときもありますよね。もの慣れたふうを装わないところにも、誠実さを感じました」 

 

そうしてはじまったナオユキさんとの関係は、すでに３年以上もつづいている。 

 

長続きしている秘訣のひとつは「お互いになんでも話すんです」ということだが、それはヤスヨさんが、昨今よくいわれる“傾聴”の達人だからではないか。口元のやわらかな笑みをみていると、「この人なら悩みや日ごろの想いを聞いてくれるんじゃないか」という気になる。 

 

秘訣は、もうひとつある。 

 

「彼は、ふたりのあいだに罪悪感を持ち込まないよう、気をつけてくれていると思います。はっきり聞いたわけではないけれど、そう感じるんです」 

 

お互いに、忙しい時間の合間を縫って会っている。週末の日中、ナオユキさんから連絡がくる。子どもを習いごとに送っていったあと、時間ができたという知らせだ。ヤスヨさんは、「ちょっとお買い物にいってくる」と子どもらに言い置いて、家を出る。高校生ともなると、母親が出かけても特に気にかけない。 

 

「私たちはお互いがとても大切で必要な存在だと思っているけど、家族を悲しませるようなことをしている自覚はあります。彼だっていまでも、悪いことしているなぁと、自分を責めたり悩んだりしていると思うんです。でも、ふたりのときはそれを出さない」 

 

彼の子どもたちの習いごとが終わるまでが、ふたりの時間。お茶だけして家に送ってもらうときもある、ホテルに行くときもある。 

 

「お互いの罪悪感を見せ合っても、きっと悩みが増えるだけですよね。ふたりでいるときは楽しく過ごそうとしてくれる彼のこと、年下だけどすごく大人だなぁと思います」 

 

こうしてヤスヨさんとナオユキさんが関係を育んでいるあいだ、夫にも変化があったようだ。

 

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