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【史実解説】NHK大河『光る君へ』4話に見る平安時代の背景。実際女性たちは「どう生きていた」のか

OTONA SALONE / 2024年1月28日 21時1分

TOP画像/宴で踊るまひろ 大河ドラマ「光る君へ」4回(1月28日放送)より(C)NHK

 

4話のあらすじ▶▶【NHK大河『光る君へ』#4】円融天皇が詮子にかけた疑惑。権力者の娘でありながらも、不遇に耐える詮子。今後、作中の女たちはどのように自身の道を切り拓いていくのか

【史実】平安時代の女たちは制約が多い中でも、自らの存在を巧みに確立していた

そもそも、本作の見所の1つには女たちが自らの人生をどのように創り上げていき、男中心の社会にどのような影響を与えていくかという点にあります。

 

紫式部が生きた時代、貴族の娘は漢文など読まず、屋敷の奥に隠れているくらいがちょうどよいと考えられていました。また、当時の人たちは男も女も仕事や立場を自らの意思で選択できません。

 

紫式部は漢学者の娘で、先祖には歌人もいます。家柄は名門の藤原氏の家系であるものの、大臣などの家柄とは違ういわゆる中流貴族。父・為時は漢学者として優秀であったものの中下級官人になるのが精一杯であり、無官の時期もありました。

 

そうした中で、紫式部は約100万字にもおよぶ『源氏物語』という壮大なストーリーを書き上げ、日本を代表する作家として名を残しました。当時、女性の名前が後世に残ることは男性と比べて少ない傾向にありました。例えば、『蜻蛉日記』の作者は藤原道綱母、『更級日記』の作者は菅原孝標女として伝わっています。大半の女性の名前が記録されなかった時代に属しながらも、紫式部は本名こそ明らかになっていないものの、~の母、~の女ではなく、紫式部(※)というその人自身を表すかのような名前で語り継がれています。

 

また、史実における藤原詮子についても誇り高く、勝ち気で、気性も激しいところがあったと伝わっています。女は政治に関わることはなく、家柄のよい娘は御簾の奥に隠れていたような時代。また、男中心の世の中では誇り高き女は生きづらさを感じるものでしょう。しかし、詮子は地位を巧に高めていきます。隠然たる力をもっていたと言われており、政治にもしばしば介入して、弟・道長の政権獲得を支援しました。

 

歴史(history)とは彼の物語(his story)という意味が込められているように男主体で記録され、語られることが一般的でした。しかし、本作では史実との違いが多々あるものの、女たちが歴史の形成にいかにかかわっているかについても色濃く描かれています。

 

※紫式部の式部は父親、もしくは兄弟が式部省の役人だったことに由来する。紫は『源氏物語』の登場人物の紫の上にちなむと考えられている。紫式部は現代でいうペンネームのようなものだ。

 

参考資料

・倉本一宏(監修)「大河ドラマ 光る君へ 紫式部とその時代」

・遠藤遼「晴明の事件帖 頼光の剣と悪霊左府」

 

≪アメリカ文学研究/ライター 西田梨紗さんの他の記事をチェック!≫

 

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